明暗（問題ページ）

今夜は花火大会。
とある人気花火師の新作がお披露目されるのだ。
花火の開始を待っていた男と女は、暇つぶしにあっち向いてホイをしていた。


百回目の勝負の時。


男が上を指差した瞬間、新作一発目の花火が打ち上がった。
花火に気づき、思わず夜空を見上げる女。


自然、あっち向いてホイで男が勝ち、女が負ける。


はじめは花火に気づかず、得意気な顔の男。
しかし女を見てすぐに、新作一発目を見逃してしまったことに気づく。
ショックを受けた男の表情は暗い。
そして、男は花火を背にしていたので、花火の発する光が顔に当たらず暗い。
（背にしていたからこそ、はじめ気づかなかったのだが）

一方、一発目の花火に見とれた女の表情は明るい。
そして、女は花火のほうを向いていたので、花火の発する光が顔に当たって明るい。


次々と打ち上がる花火。


ショックから立ち直った男は振り返り、女と一緒に花火を見ることにした。


……九十七発目、九十八発目、九十九発目。……百発目。


男は花火が舞う上空を指差す。
女は男の指す空をさらに見上げる。
色とりどりの花火に男の顔も女の顔も明るい。