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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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項目についての説明はラテシンwiki

法螺吹き翁(問題ページ

昔の話をしよう...」

そう言って老人は男に話をする。
聞くとそれは信じるに値しない与太話で、それが男には可笑しかった。

「もう一度、昔の話をしてくれるかい?」

男はそう言ったが、老人はそれに応えなかった。
男はついに絶望した。


どういうことか。状況を補完し説明してください。

17年07月01日 15:29
【ウミガメのスープ】 [野生のキャベツ]



解説を見る
下に要約解説もあるでよ。


「昔の話をしよう...」

そう言って老人が話を始めた。

「この辺りで大きな火事があったんじゃ」
「隣の国はこぉんな大きな竜巻が来て国ごと吹っ飛んじまったよ」
「北の方の氷がみんな溶けちまって、そこら中がプールみたいになったもんだ」

老人の話は出鱈目だった。
実際そのような災害の記録はどこにもなく、明らかに呆けた老人の妄想話であった。
法螺吹き爺さんなどと呼ばれたその老人の話を、当時少年だった男も笑って聞いていた。

「本当に恐ろしいのはその後じゃった。人間のほとんどが死んでしまったんじゃ」


男が大人になり、老人の話などすっかり忘れた頃。
男が住んでいた地域で大規模な火災が起きた。
男は辛くも生き延びた。

数年後、隣の国が巨大な竜巻で壊滅した。
男は我が身が助かったことを神に感謝した。

数年後、温暖化の影響で氷河が溶け、近い未来に多くの国が海に沈むというニュースを見た。
男は神妙にその事実を受け止めた。

数年後、大きな洪水があった。
数年後、地震があった。
数年後、遠い地で戦争も起きた。
何年もの間で起きた災害を通して、男はようやく理解した。

そうか。

すべては老人の話の通りであった。
出鱈目などではなかった。
老人は実際に未来を見ていたのだ。
老人にとっては「昔の話」――それは昔彼がまだ未来にいた頃の話ではなかったか。
そうして男は思い出す。

この後、ほとんどの人間が死ぬ。

男は老人を探した。
老人ならばその大災害から逃れる術を知っているはずだった。
記憶を頼りに辿り着いた老人の家は、今にも瓦解しそうなほどにボロボロで、玄関は開け放たれており、老人は椅子に深く腰掛け何か書き物でもしているようだった。

「お久しぶりです」

男は声をかけたが返事はない。

「もう一度、昔の話をしてくれるかい?」

男は老人に近寄り、肩に手をかける。
その瞬間、老人は崩折れた。
老人は息を引き取っていた。

男は呆然として老人の向かっていた机の紙切れに目をやった。
そこに書かれていた文字を見て、男はついに絶望した。



“お前は遅すぎた”



※要約解説
老人は未来人で、「昔の話」とは彼にとって昔、まだ未来にいた頃に見た災害を語ったものであった。
時の流れとともに老人の話が現実となっていくのを見た男はその事実に気付く。
予言された未曽有の大災害から逃れる術を聞きに再び老人のもとを訪ねるが、老人は既にこと切れており話を聞くことはできず絶望に至る。

総合点:3票  トリック:2票  物語:1票  


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トリック部門しゃっくり2
投票一覧
「この問題文からこの物語は浮かびませんでした。老人から昔話を聞かされる事は皆さんもある事でしょうけど、この結末は意外性もあり言葉の使い方も上手いです。」
2017年10月27日01時
トリック部門からす山
投票一覧
「真相が、問題文から想像される状況とあまりに違いすぎて、驚愕です。問題文全体がトリックで、真相まで掘り下げていくには相当厚いベールがあるでしょう。」
2017年10月26日19時
物語部門からす山
投票一覧
「解説の物語は、どこかで似たようなものを何度か見たことがあるような気もしますが、それでもこれを構成したのはお見事で、そこから問題文のような一見ごく普通の日常文章を作り出したのは凄いだと思います。全体をつなぎ合わせる物語に1票。」
2017年10月26日19時

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