ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
いらっしゃいませ。ゲスト様 ログイン 新規登録
項目についての説明はラテシンwiki

勇者へ(問題ページ

学二年生のアキラ少年が、ある日突然、自分の左目には邪神の力が宿っているということにしたのは、いったい何故?
17年02月12日 01:03
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [az]



解説を見る
日前――。

事が起きたのは体育の時間、ソフトボールの試合中だった。ショートを守っていたアキラが試合から目を離したのは、向こう側のテニスコートでテニスをしている女子たちの中に、教室で隣の席に座るハルカちゃんの姿を認めたからである。笑った時の笑窪が可愛らしい彼女の姿を、自然と目で追うアキラ。
その一瞬の油断が良くなかった。

ガキンッ!

強烈な打球音が響く。アキラが慌てて前を向いた時には、もうボールは目の前に迫っていて――

ゴン、という鈍い衝撃を最後に、アキラの意識は途絶えた……



次に目が覚めたとき、アキラは病院のベッドの上だった。気絶したアキラは、救急車で運ばれたらしい。

医者の話によると、打球は左目を直撃していたが、幸い、失明という最悪の事態は免れたそうだ。しかし、目の奥の神経を傷つけた恐れがあり、しばらくは経過観察が必要だという。目の周りがひどく腫れあがっていることもあり、当分は眼帯を付けての生活となる、ということだった。


白い眼帯を左目にあてた自分の姿を、鏡で見るアキラ。あんまりかっこよくないな、せめて黒とかならちょっとワルそうで雰囲気あるのに……アキラは少し、顔をしかめた。


一日の検査入院を経て、学校に復帰するその日。アキラは朝からちょっと憂鬱だった。ボールをぶつけてぶっ倒れた自分は、さぞ皆の笑い者になっているに違いない……。とぼとぼと登校し、教室に入ったアキラを出迎えたのは、心配そうな表情のクラスメイト達だった。みんな次々と、アキラの周りに集まってくる。

アキラ、大丈夫だった!?
目……どうだったの?
痛そう……

笑われるとばかり思っていたアキラにとって、思いがけない反応だった。ふと見ると、ハルカちゃんがものすごく心配そうにこちらを見つめている。そんな表情では、チャームポイントの笑窪が台無しだ。
その少し奥では、例の打球を打ったコウジが、申し訳なさそうな表情で目を落としている。図体のデカい彼が、二回りほど縮んだようだ。

笑われなかったのは良かったが、これではどうにも申し訳ない。そもそもは自分の不注意なのだし……
少し悩んだアキラは、ふと思いつくと、右手を眼帯に当てて、クラス中に聞こえるように叫んだ。


「お前ら……命が惜しいなら俺に近づくんじゃねえ……。左目に封印した邪神が、血を求めて暴れだしちまう……っ!」


シン、と静まり返る教室。あれ、失敗したかな。アキラは焦る。この空気、どうすればいいんだろう?

ぷっ、と最初に噴き出したのは、意外にも真面目がウリのクラス委員長・マサヒロだった。それを引き金にして、次の瞬間にはもう、クラス中が爆笑の渦に包まれていた。


なんだよそれー!
似合ってねーっつーの!
心配して損したー!


一気に明るくなった教室の中、コウジを見やると、まだ少しだけ気まずそうに笑いながら、こちらを見ている。アキラがニヤリと笑いかけると、ようやく彼も、同じようにニヤッとした笑顔で返してくれた。
その近く、ハルカちゃんに目を移す。彼女も笑ってくれていた。その笑顔があんまりにも可愛かったので、眼帯が取れた暁には、彼女に告白しよう、とアキラは決意したのだった。



【要約】
クラスメイトに目の怪我を心配させないため。
総合点:1票  チャーム:1票  


最初最後
チャーム部門からす山
投票一覧
「突然の中二病。問題文は端的に一行。赤字付き。強いチャームを感じます。それでいて解説の納得感も充分です。」
2017年08月13日19時

最初最後