息子に、メガネ型のカメラをかけさせたヨーコは、
「今からこのカメラで、私の顔を撮ってほしい」と頼み、
息子の目の前に立って、スタンバイした。
隠し撮りするわけではないのに、
わざわざメガネ型カメラで撮らせるのは、なぜ?
*オリオンさんにSPしていただきました。ありがとうございました!
16年03月17日 19:39
【ウミガメのスープ】
[みん]
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駆け落ち同然に結婚して、父に勘当されていたヨーコ。
母とは密かに連絡をとっていたのだが、
父から手紙が届いたのは初めての事だった。
夫と離婚した事を、母から聞いたのだろう。
だから反対したんだと、怒られると思ってたのに…
手紙には、ヨーコ達を心配する言葉が綴られ、
締めくくりには孫の顔が見たいと書いてあった。
厳しいとばかり思っていた父の優しさに触れ、
ヨーコは、張っていた気が緩むのを感じた。
地元に戻って、これからは親孝行しよう。
そう決意したヨーコだが、こちらで働いているので、
退職するにしても、すぐにというわけにはいかなかった。
ヨーコは、父の見たがっている息子の写真だけでも、
早く見せてあげようと思った。
しかし、ヨーコの息子イヅナは、落ち着きがなく、
写真を撮る時も、じっとしていられない。
顔写真を上手く撮るにはどうしたら良いだろう。
と、ヨーコは思案した。
撮影者は、被写体に焦点を合わせて写真を撮るので、
被写体にも撮影者を撮影させれば、確実に撮影者の方を向く。
つまり、お互いに撮影者かつ被写体になれば良いのではないか。
まず、イズナにカメラを渡し、「ママを撮って」と頼む。
写真を撮る事に集中するので、イヅナは自動的に立ち止まり、
ヨーコの顔をじっと見てくれるだろう。
その姿を狙えば、カメラ目線のイズナの写真を撮ることができる。
顔が隠れては意味がないので、使うのは隠しカメラが良いだろう。
メガネ型のカメラなら、スパイっぽいと息子も興味を持ってくれそうだ。
いつもと違うメガネ姿になってしまうが、やむを得まい。
そう考えたヨーコは、メガネ型カメラを購入した。
【要点】
ヨーコの目的は、落ち着きのない息子の顔写真を上手く撮る事。
息子を撮影者、被写体をヨーコと指定する事で、
撮影中の息子は自然と、じっとヨーコの顔を見る事に集中する。
その姿を狙えば、ちゃんとカメラ目線の息子の写真が撮れる。
メガネ型のカメラを使ったのは、普通のカメラだと顔が覆われてしまうから。
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