研究チームの資料担当・赤井が
異常なほどの赤色好きだったせいで、
青山の
身体中が数式でいっぱいになってしまった。
何が起こったというのだろう?
15年12月15日 00:07
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[牛削り]
解説を見る
「えーでは次の資料ですが」
プレゼン担当の青山は、手元のスイッチでスクリーンに映し出された資料を切り替えた。
チームで何日も頭を捻り、ついに導き出した定理の証明であった。
会場内に、この数式の美しさを理解できない者などいないだろう。
いたるところから感嘆の声が上がるはずだった。
ところが、何か空気が違う。戸惑うようなざわめきが聞こえる。
青山は妙な胸騒ぎを覚え、スクリーンを振り返った。
「げ」
表示された資料は、背景色が赤一色であった。
──赤井のやつめ、こんなところにまで自分の趣味を持ち込みやがって……。
赤井はなんにでも赤を使いたがる。車も、鞄も、靴下も。
リハーサルの段階では白バックだったのだが、直前で翻意したのだろう。
手元のレーザーポインタ(赤)を画面に照射してみる。
当然、見えるはずもない。これでは何を示しているのかがわからない。
「し、失礼しました!」
青山は慌ててレーザーポインタをしまうと、スクリーンに近付いて自分の手で数式を指した。
スクリーンに重なった青山の身体は、プロジェクタの投射する数式でいっぱいになった。
【要約解説】
赤好きの赤井が研究発表用の資料の背景色を赤にしたせいで、
赤のレーザーポインタでは説明している箇所を指し示せなくなり、
青山は自らの手で数式を示さざるを得なくなった。
結果、プロジェクタの投射する数式が青山の身体に映し出された。
総合点:2票 チャーム:1票 納得感:1票
チャーム部門からす山【
投票一覧】
「意味不明系の、説明不要のチャーム。読んでみれば分かります。」
2017年10月25日21時
納得感部門からす山【
投票一覧】
「見事に数式でいっぱいにしましたね。そこに至る過程も分かりやすく順序だてて説明されていて、納得です。」
2017年10月25日21時