祖父が大好きなのでパーを出し続ける孫。
一体なぜ?
15年08月30日 02:28
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[のりっこ。]
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祖父はいつも笑顔で遊んでくれた。
孫は、そんな祖父が大好きだった。
こないだ、ジャンケンを教わった。
たくさんたくさん、遊んでくれた。
寝ている祖父に、今日も遊んでとねだった。
その日、祖父は起きなかった。
祖父の体を揺さぶった。
いつもの様に、遊んで欲しくて。
祖父は、シワだらけの、その優しい目を開けなかった。
祖父の体は、冷たかった。
祖父の手は、パーを出したまま、動かなかった。
孫は、また、いつもの様に大好きな祖父とジャンケンをし続けたくて、
“勝ち” も “負け” も、しなかった。
“いいかい、ふたりでジャンケンをして、もしも相手と同じ手を出したら、
それは『あいこ』と言って、また勝負がつくまで何度もやり直すんだよ。”
祖父の声は、いつまでも、いつまでも、孫の頭の中にあった。
孫は、もう動かない祖父に、何度も、何度も、呼び掛けた。
“ほら、おじいちゃん、ほら、あいこだよ!
ほら、次もまた、ジャンケンしなきゃ、ね?
おじいちゃん、ほら、ねぇ、あいこだよ。
ジャンケンしなきゃ、ねぇ、おじいちゃん。”
総合点:4票 チャーム:1票 納得感:1票 伏線・洗練さ:1票 物語:1票
チャーム部門からす山【
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「短すぎる問題文はチャームも高しです。この解説を表現するのに、これ以上チャームの高い問題文があるのか。」
2017年10月07日17時
納得感部門からす山【
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「孫の心情に納得です。自分だってパーを出し続けたくなるでしょう。」
2017年10月07日17時
伏線・洗練さ部門からす山【
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「短すぎ、完成され過ぎの問題文。解説とあいまって、ただただ、美しいです。タイトルも素晴らしい。」
2017年10月07日17時
物語部門からす山【
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ネタバレコメントを見る
「悲劇を優しさで包み込んだ、愛情あふれる物語。なぜ物語部門の投票がないのか、不思議です。孫はいつまでもパーを出し続けていたいのです、たとえそのときがいつか来なくなるとしても。」
2017年10月07日17時