ワタルが遊びに来たのがいつだったか、ほとんどの日付はわかるのだが、
最後に来た日付だけがわからなかったため、ゴンゾウは微笑んだ。
どういうことだろうか?
15年07月10日 14:00
【ウミガメのスープ】【批評OK】
[牛削り]
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「なあ、ワタルが遊びに来たのって何日だったかな?」
ゴンゾウは妻に尋ねた。
「あれは6月の……ええと、私も忘れましたよ。廊下の柱を見てみればいいでしょう」
「ああそうか」
孫のワタルは、一年に一度だけ遊びにくる。
そして父親と一緒に廊下の柱に傷をつけて、身長の伸び具合を記録しているのである。
ゴンゾウは柱を眺める。
2003年5月6日 柱の傷はゴンゾウの膝くらいだ。
2006年5月8日 腰のあたり。
2009年6月1日 胸のあたり。
2012年5月5日 ゴンゾウの目線と同じ位置。
2014年6月8日 ついにゴンゾウの身長を超えた。
そして2015年……。
その傷はかなり高いところにあり、背伸びしても読み取れなかった。
ワタルももう15歳か……。
大きくなったなあ。
ゴンゾウは傷を見にきた目的も忘れ、一人しみじみと微笑んだ。
【要約解説】
孫のワタルが遊びにきた日付は、来る度に柱につけている身長の伸び具合の記録を見ればわかる。
しかし最後に来た日だけは、ゴンゾウからは見えないほど高い位置に記録されていたため、孫の成長を思って微笑んだのである。
総合点:3票 納得感:1票 トリック:1票 物語:1票
納得感部門からす山【
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「わからなくて、幸せですね。立場は全然違うのに共感、納得したのです。」
2017年10月25日21時
トリック部門のりっこ。【
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「まさに水平思考問題。構成が巧みです。」
2015年07月10日15時
物語部門からす山【
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「年月の詰まった、噛み締められるような物語。ノスタルジックな匂いを感じます。素敵。」
2017年10月25日21時