カメコはカメオから鍵を受け取ると、カメオが死のうとしている事に気付き、ひどく落胆した。
しかしもう遅い。
状況を補足してください。
15年06月07日 00:19
【ウミガメのスープ】
[甘☆党]
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☆無駄に長いのでお急ぎの方は下のまとめをどうぞ!☆
ついにカメコは、仲間と共に銀行強盗を実行した。
金を奪う事に無事成功し、深い山道を仲間が手配した車で逃亡していると、極度の緊張から解放された為か、カメコは尿意を催した。
逃走中だが、警察が追ってくる様子はない。少しの時間なら問題ないと判断した仲間達は山道のわきに車を寄せた。
カメコが車から降りた瞬間、仲間と金を乗せた車は猛スピードで発進し、すぐにカメコの視界から消えた。
瞬間的に、警察に追いつかれたのかと考えたカメコは藪の中に飛び込み、その身を潜める。しかしパトカーが追ってくることはおろか車など一台も通らない。
カメコは暫くして自分が置かれた状況を把握した。そう、
自分は裏切られたのだ
と。
日が傾き、辺りは薄らと暗くなり始める。
向かい森の中、街に出るには何時間歩かねばならないかもわからない。
途方に暮れるとは正に今の自分の事だ。
カメコはいつ警察が追って来るかもわからない恐怖の中、ただ歩くしかなかった。
車は一台も通らない。
辺りは完全に暗くなり、もはや自分がどこを歩いているのかわからなかった。
歩き続ければ町に出る事ができるのかさえもわからなかった。
いや、町に出たとして、その後無事に逃げおおせる事は出来るのか…
自分は自分なりに全てを賭けて犯行に及んだのだ、その見返りが裏切りなんて…
無意識の内に、カメコの右手が所持していた拳銃に伸びる。
その時、カメコは前方に一台の車が停車しているのを見つけた。
車の傍らには男(カメオ)が一人、どうやら山中にある自販機で黄色い缶コーヒーを買って休憩していたようだ。
この好機を逃す手はない。カメコはカメオに近づくと拳銃を突き出し言った。
「車のキーを渡しなさい!脅しじゃないわよ、ここに来るまでに警察官を二人殺しているの。」
するとカメオは一瞬驚いた顔をしたが、怯えるでも抵抗するでもなく
「…いいですよ、はい」
と車の鍵を渡した。
あまりの素っ気なさに、カメコは逆に面食らった。
しかし今は躊躇している場合ではない。カメオから車の鍵を受け取ると、カメコは警戒しながらも車に乗り込み、発進させた。
カメオの姿はすぐに見えなくなった。先とは逆の立場になった。カメオの事を気の毒に思わなかった訳ではなかったが、そんなことを気にしてはいられない、今更聖人ぶるつもりもない。
暫く車を走らせていると、徐々にカメコは興奮が冷めていき頭を働かせることが出来るようになってきた。
先の男はあんな場所で何をしていたのか、そもそもカメコが山道を歩いていた数時間、自分を追い抜いた車は一台もなかった。途中に分かれ道もなかった。つまりカメコの進行方向を向いて停車していたこの車は少なくとも数時間はその場所にとどまっていた事になる。休憩にしては長すぎる。
いまいち焦点の合わないような暗い眼をしたカメオの顔を一瞬思い出すが、そんなことは今やどうでもいいことだ。
ふいにカメコは、アクセルを踏んでいるにもかかわらず車のスピードが落ちている事に気付いた。そして同時に、ガソリンの残量がほとんどない事に気付いた。
なんてことだ!町にはまだ少なくとも十数キロはある。とても辿りつけない。
その時、カメコは全てを理解した。
あの男はそもそも帰るつもりなどなかったのだ、と。
ガソリンは完全に底をつき、カメコは再び山中に立ち往生することとなった。
不意に、複数のパトカーのサイレンが聞こえてきた。
あの男を乗せてくれば人質にでも使えただろうが、もう遅い。
カメコは逃げられない事を悟った。いや、すでに逃げる気力すらない。
再びカメコの右手は拳銃に伸び
★まとめ☆
・カメコはカメオの車を奪った
・ガソリンの残量がほぼ無いことで、帰りの事を考えていない=カメオが自殺するつもりなのだと悟った
・逃げられない!カメコは落胆した!
総合点:1票 その他:1票
その他部門ぽんぽこぺん【
投票一覧】
「この問題は、難易度設定が素晴らしいと思いました。瞬殺はまずありえないけど、きっちり質問していけば、いずれ真相にたどり着ける。そしてその時、最初に問題文を読んだ時に植え付けられた先入観に気づくのです。この難易度設定は意外と難しいと思います。」
2015年06月07日01時