被疑者も被害者も皆、神の子（問題ページ）

※下に簡易解説もあります。

橋本は凶悪な犯罪を犯していた。殺人である。
同僚の松田をナイフでメッタ刺しにし、死体を荷物に偽装して車のトランクに隠した。

犯行現場から自宅に帰る途中、橋本は所用のため銀行に立ち寄ったが、あいにく駐車スペースは埋まっていた。
「仕方ない」橋本は大通りから裏道に入り、路上駐車に及んだ。
犯行後で気が動転していた為か、彼はうっかり標識を見落としていた。
『駐停車禁止』

銀行内で思いのほか手続きに時間を取られた橋本が裏道に戻ると、停めていた車が無い。
アスファルトには車のナンバーと警察署の電話番号がチョーク書きしてある。
道の彼方に、自分の車が大型のレッカー車で運ばれて行くのが見えた。
「まずい。あの中には松田の死体が…」
橋本は慌てて管轄の警察署に出頭した。

窓口で警察は橋本からレッカー代と保管料を受け取ると、青切符と反則金納付書を手渡し、違反車両の一時保管場所を案内した。
担当した警察官は中に死体があることなどつゆ知らず、「以後気をつけてね〜」なんて呑気な事を言いながら車を返してくれた。



※簡易解説※
レッカーされた違反駐車の車両内に死体が隠してあり、
犯人（殺人と駐車違反の）である橋本は慌てて管轄の警察署に訪れレッカー代と保管料を支払う。
警察は車内に死体が載せられているとも知らず一時保管場所で橋本に車を引き渡してしまった。