自
らの意思でその場から立ち去ろうとしたさしゃを、アザゼルは引き止めた。
あまつさえ、その理由をその場にいる人に暴露して、だ。
しかし、結果としてさしゃは喜び、その場にいる全員がアザゼルへの賞賛を惜しまなかった。
一体何があったのだろう。
14年11月05日 13:32
【ウミガメのスープ】
[ツォン]
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あ
る朝の通勤ラッシュ時、アザゼルが運転手を務めるバスに乗ったさしゃ。
その背中には赤ん坊のマコを背負っています。
終点の電車の駅まで停留所数箇所に迫ったころ、マコがぐずりだしました。
「(lll゚д゚)オギャーオギャー!(暑苦しいのです!人が一杯で怖いのです!!)」
どれだけあやしても泣き止む気配はありません。
周りの人も心配そうな、うるさそうな表情でチラチラ。
その視線にも耐え切れず、停車ボタンを押しました。
「すみません!降ります!」
「(lll゚д゚)オギャー!オギャー!(不愉快なのです!むずがゆいのです!腹減ったのです!)」
満員のバスの人を押し分け、泣き続けるマコをあやしながら何とか運賃箱までたどり着いたさしゃ。
電子マネーのカードをポケットから出そうとした瞬間、運転手のアザゼルが声を掛けました。
「お客さん、本当はどこまで行くの?」
「え、エエと、○○駅です。主人と合流して帰省する予定だったんですが泣き止まないし、たぶんおなかすいてるんだと思うんですが…。皆さんに迷惑になっちゃうので…。」
「(lll゚д゚)オギャー!オギャー!(いい加減泣きつかれてきたのです!でも腹減ったのです!)」
「そうか…。でもここで降りてもコンビニとかないし、ミルクなんて用意できるところなんてないよ?それにご主人が心配するよ。ちょっと待ってね。」
それまで切っていた車内放送のマイクのスイッチをいれ、話し出すアザゼル。
「ご乗車の皆さん!ここに赤ちゃんをつれたお母さんがいます。赤ちゃんが泣き止まないので皆さんに迷惑をかけるからと、2つ前の停留所で降りると言っております。どうか、○○駅までこのお母さんと、赤ちゃんにお付き合い下さい。」
一瞬、マコの泣き声だけが車内に響きます。
次第に、自然と拍手が巻き起こり、早く駅に行こうと口々に言う乗客たちと運転手アザゼルに、さしゃは瞳を潤ませながら何度も礼を告げました。
「(lll゚д゚)オギャー!オギャー!(何で私泣いてるのですか!もう覚えてないのです!)」
*まとめ:泣いてる赤ん坊が迷惑だからと降りようとしたが、運転手の機転で目的地までバスを降りなくてすんだという話。
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