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ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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忘れられないミステリー(問題ページ

は推理小説を読んでいた。しかし、半分も読まないうちに、間のページを飛ばして最後の結末を読み始めた。そして、読み進めるうちに、男はみるみる青ざめ、震え、恐怖した。

どういうことだろう?
14年10月17日 22:15
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [とかげ]



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理小説を読んでいた男は、先の展開をどんどん予測できることに違和感を覚えた。

平和な町を突如襲った、悲惨な事件。
被害者はまだ幼い、何の罪もない少女。
容疑者が多すぎて絞り切れない警察。
目ぼしい証拠も見当たらず、遅々として進まない捜査。
そして、影でほくそ笑む犯人。

知り合いの家に呼ばれ、少し待つように言われたリビングで、無造作に机に置かれた小説だった。見たことも聞いたこともない作家の本だったが、暇つぶしにと読み進めていたのだが……

知っている。この話を、俺は知っている……!

半分も読まないうちに我慢できなくなり、慌てて最後の結末へとページをめくる。犯人は警察からの追及を逃れ、事件は未解決のまま幕を閉じていた。悔しがる警察、被害者を悼み涙するしかできない家族や友人、そんな中、近くにいながらも全く疑われることもなかった犯人が、ひとりうすら笑を浮かべる――。

ここまでは知っている。自分の記憶とぴたりと合う。
この犯人は……まぎれもなく、自分だ。
なぜ知っている。誰も知らなかったはずだ。誰も気づかなかったはずだ。完全犯罪だった。証拠もない。もはや時効だ。
男は頭の中で疑問を繰り返す。

小説には続きがあった。鳥肌が立ち、歯が鳴り始めていたが、それでもページをめくることをやめられなかった。

『罪から逃れた彼は、しかし数年後、一冊の本に出会う。知り合いに招かれた家で、偶然手に取ったはずの小説には、彼の罪がすべて告白されていたのだ。知らずに読み進めた彼は、あまりに自分に似た登場人物と、経験したことのある状況に、恐怖を覚える。誰かが知っているのだ。誰かが自分の罪を。恐怖に駆られながら、それでもページをめくる指は止まらない。
誰だ。誰なのだ。完全犯罪のはずなのに、自分の過去をここまで詳細に暴いた人間は。
男は焦り、恐怖する。
さて、誰が彼の罪を知り、その小説を書いたのか。
その答えは……



あ な た の う し ろ に あ る 』

END


男は未解決事件の犯人。過去に犯した罪と似た事件が書かれていることに驚き、結末を読むと、そこには男の知らない事件の続きが記されていた。自分の罪を知る者がいること、そして復讐される可能性があることに気付き、男は恐怖した。
総合点:1票  物語:1票  


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物語部門蓮華
投票一覧
「似たトリックを思いついたのですが、ここまで美しく料理されたスープがあることを今発見しました。ちょうどこういう物語が読みたかったのです。さすが、とかげさんの文章です。素敵です。」
2016年05月11日09時

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