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家事が苦手(問題ページ)
天気予報が外れて、窓の外は土砂降りだった。
それを見た私は、急いで庭に出て、洗濯物を干した。
私は何か間違えているだろうか?
それを見た私は、急いで庭に出て、洗濯物を干した。
私は何か間違えているだろうか?
14年08月12日 13:36
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [牛削り]
【ウミガメのスープ】【批評OK】 [牛削り]
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「久しぶりに会おう」
そう言って、私は聡子の家を訪れた。
聡子は私を迎え入れ、紅茶をいれてくれた。
「実はね……」
私が切り出した時、 ざあーと雨の音が鳴り始めた。
今朝の天気予報は晴れだったのに。 まるで私の気持ちを代弁するかのような土砂降りだった。
「ごめん、洗濯物、取り込んでくるね」
聡子は小走りに庭に出た。
そんな様子を眺めながら、私は恋敵のいれてくれた紅茶をすすった。
美味しい。相変わらず、家事のうまい彼女。
嫌でも、花瓶の隣にある写真立てに目がいく。
浩介と聡子のツーショット。浩介ははち切れんばかりに笑っている。
親友の彼氏に手を出すなんてありえない。
以前の私ならそう切り捨てただろう。でも、恋は理屈ではないのだ。
「私の彼、かっこいいでしょ」
聡子に紹介された瞬間に、恋に落ちてしまった。
恋に落ちて、それから、すべてが転がり落ちていった。
いけないと思いつつも密かにアプローチを重ね、そして、ある雨の日、彼に抱かれた。
「今夜限りにしよう」
彼はそう呟いた。私は一人ホテルに残り、泣いた。
聡子がすべて悪い。私が先に会っていたら、浩介は私のものだった。
屁理屈だとわかっていながら、そう思わずにはいられなかった。
「今日晴れのはずだったのにねー」
聡子が能天気な顔で戻ってきた。
「聡子」私はさりげない調子で言った。「最近、彼とはどう?」
「浩介? 順調だよ」
「喧嘩とかしてない?」
「全然。すごく気が合うんだよ、うちら」
聡子の方が気が合うかもしれない。でも、カラダなら私の方が、絶対。
「もし喧嘩になったら激しいかもね」
「ないない。だって浩介、私にメロメロだから」
聡子はいたずらげにウインクしてみせた。
「そういうこと言ってるカップルが、案外大喧嘩したりするんだよ」
「ないって」
「わかんないじゃん」
「なんでそんなこと言うの? 美沙ちゃん、今日変じゃない?」
「だって私が……!」
浩介とのことを話した。無我夢中だった。
聡子の顔からは、だんだんと表情が消えていった。
「……へえ。で、何が言いたいの?」
「別れてよ! 浩介は私といるのが幸せなの!」
完全に血がのぼっていた。
聡子は鼻で笑って、「はあ?」と言った。
気づくと私は花瓶を握っていて、目の前には頭から血を流した聡子が倒れていた。
──殺してしまった。
まず思ったのは、このままでは浩介に嫌われる、ということだった。
浩介の顔を思い浮かべると、急に理性が戻ってきた。
誤魔化さなきゃ。そうだ、 泥棒の仕業に見せかけよう。
花瓶の指紋を拭い、紅茶のカップを洗って戻し、部屋中をひっくり返した。
通帳は足がつく。現金だけを掴んでカバンに入れる。後でどこかに捨ててしまおう。
"犯人"の侵入経路として、庭に通じる窓の鍵を開けた。
何か、見落としはないか。
部屋を見回す。取り込まれたままの洗濯物があった。まだ半乾きのようだ。
これ以上余計なものに触らず、早く出て行った方がいい。
踵を返しかけた時、私はあることに気づき戦慄した。
今日の天気予報は晴れだった。雨が降ることなど誰も予想していなかった。そんな日に、 半乾きの洗濯物を雨が降るより前に取り込む人はいない。
もしこの状態で死体が発見されたら、警察は取り込まれた洗濯物から、 犯行は雨が降り始めた後に行われたと推理するだろう。
それはまずい。 雨が降っている中侵入したのなら、犯人の足跡が残っていないのはおかしいからだ。
私は急いで散らばっている洗濯物を拾い集め、庭の物干しに干した。
──これで大丈夫なはず。
もう一度部屋の中を見回してから、私は聡子の家を後にした。
雨はまだ激しく降っている。その中を、傘も差さずに走る。
動悸が激しい。浩介に会いたい。
彼は、家事の苦手な私を、また愛してくれるだろうか。
そう言って、私は聡子の家を訪れた。
聡子は私を迎え入れ、紅茶をいれてくれた。
「実はね……」
私が切り出した時、 ざあーと雨の音が鳴り始めた。
今朝の天気予報は晴れだったのに。 まるで私の気持ちを代弁するかのような土砂降りだった。
「ごめん、洗濯物、取り込んでくるね」
聡子は小走りに庭に出た。
そんな様子を眺めながら、私は恋敵のいれてくれた紅茶をすすった。
美味しい。相変わらず、家事のうまい彼女。
嫌でも、花瓶の隣にある写真立てに目がいく。
浩介と聡子のツーショット。浩介ははち切れんばかりに笑っている。
親友の彼氏に手を出すなんてありえない。
以前の私ならそう切り捨てただろう。でも、恋は理屈ではないのだ。
「私の彼、かっこいいでしょ」
聡子に紹介された瞬間に、恋に落ちてしまった。
恋に落ちて、それから、すべてが転がり落ちていった。
いけないと思いつつも密かにアプローチを重ね、そして、ある雨の日、彼に抱かれた。
「今夜限りにしよう」
彼はそう呟いた。私は一人ホテルに残り、泣いた。
聡子がすべて悪い。私が先に会っていたら、浩介は私のものだった。
屁理屈だとわかっていながら、そう思わずにはいられなかった。
「今日晴れのはずだったのにねー」
聡子が能天気な顔で戻ってきた。
「聡子」私はさりげない調子で言った。「最近、彼とはどう?」
「浩介? 順調だよ」
「喧嘩とかしてない?」
「全然。すごく気が合うんだよ、うちら」
聡子の方が気が合うかもしれない。でも、カラダなら私の方が、絶対。
「もし喧嘩になったら激しいかもね」
「ないない。だって浩介、私にメロメロだから」
聡子はいたずらげにウインクしてみせた。
「そういうこと言ってるカップルが、案外大喧嘩したりするんだよ」
「ないって」
「わかんないじゃん」
「なんでそんなこと言うの? 美沙ちゃん、今日変じゃない?」
「だって私が……!」
浩介とのことを話した。無我夢中だった。
聡子の顔からは、だんだんと表情が消えていった。
「……へえ。で、何が言いたいの?」
「別れてよ! 浩介は私といるのが幸せなの!」
完全に血がのぼっていた。
聡子は鼻で笑って、「はあ?」と言った。
気づくと私は花瓶を握っていて、目の前には頭から血を流した聡子が倒れていた。
──殺してしまった。
まず思ったのは、このままでは浩介に嫌われる、ということだった。
浩介の顔を思い浮かべると、急に理性が戻ってきた。
誤魔化さなきゃ。そうだ、 泥棒の仕業に見せかけよう。
花瓶の指紋を拭い、紅茶のカップを洗って戻し、部屋中をひっくり返した。
通帳は足がつく。現金だけを掴んでカバンに入れる。後でどこかに捨ててしまおう。
"犯人"の侵入経路として、庭に通じる窓の鍵を開けた。
何か、見落としはないか。
部屋を見回す。取り込まれたままの洗濯物があった。まだ半乾きのようだ。
これ以上余計なものに触らず、早く出て行った方がいい。
踵を返しかけた時、私はあることに気づき戦慄した。
今日の天気予報は晴れだった。雨が降ることなど誰も予想していなかった。そんな日に、 半乾きの洗濯物を雨が降るより前に取り込む人はいない。
もしこの状態で死体が発見されたら、警察は取り込まれた洗濯物から、 犯行は雨が降り始めた後に行われたと推理するだろう。
それはまずい。 雨が降っている中侵入したのなら、犯人の足跡が残っていないのはおかしいからだ。
私は急いで散らばっている洗濯物を拾い集め、庭の物干しに干した。
──これで大丈夫なはず。
もう一度部屋の中を見回してから、私は聡子の家を後にした。
雨はまだ激しく降っている。その中を、傘も差さずに走る。
動悸が激しい。浩介に会いたい。
彼は、家事の苦手な私を、また愛してくれるだろうか。
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