【無茶振り三題噺6-2】それは「あいす」ぢゃない！

カメオはカメコを一目見た時から恋をした。

大好きなカメコを一日中見ていたくて、カメオはストーカーになった。

カメコはエスカレートするカメオのストーキングに危険を感じ、

交番のカメジに相談し、巡回してくれるよう頼んでいた。



カメコがなかなか素直になってくれないと困ったカメオは

カメコが友達に出した「ジェラート大好き＼(^o^)／」のメールから

プレゼントをすることを思い立った。

「俺が送った、カメコのメールは全て俺へ転送されるソフトを

カメコが自分でダウンロードしてくれたから、俺たちの信頼関係は本物だ。」

転送されたカメコのメールを見直して、自然と笑みがこぼれるのを止められない。

苦労してカメコのお気に入りの店を見つけ、好みのジェラートを手に入れた。

きっと喜んでくれるに違いない。最期は好きなものを食べさせてあげたいし。



可愛いカメコを愛しているが、このままでは俺達は引き裂かれてしまう。

と、新年の一大決心で、カメオは今日絶対に、カメコを刺そうと決めていた。

最近警察が、カメコに近づくな、とか俺たちの邪魔をしようとする。

俺たちの仲を権力で裂こうという魂胆か。強引に拉致でもされたら大変だ。

カメコは二人で出かけていても、俺の身を案じて、いつも数歩先を歩いて、

俺がちゃんとついて来ているかどうか、時々振り返って確かめながら歩くようないじらしい女の子だ。

カメコも薄々は、俺達の純愛を世間は認めてくれないと気が付いているはずだから

この愛を貫くためにはもう死ぬしかないし、今日しかないとわかってくれているだろう。

二人が永遠に結ばれる場所は、カメコに選ばせてあげたほうがいいかな。

カメコが恥ずかしがって、なかなか合鍵を渡してくれないから

びっくりさせてあげようと、こっそり合鍵も手に入れて家に入った。

あれ？カメコはどこだ？

部屋の電気は消えていたが、廊下でオンピカスイッチが光っている。

「ん？なんだ、シャワーを浴びているのか。

俺が来ること、ちゃんとわかっていたんだな。

やっぱり俺たちは心が繋がってるんだ。カメコも覚悟を決めてくれていたのか。」

その時、オンピカスイッチが消灯した。カメコがお風呂から出てくる。

それを見計らって、カメオはゆっくりと包みを開けてナイフを取り出した。



カメコが、ナイフを構えているカメオに気付いて、「た、助けて・・」と手を挙げた。

カメコの方へカメオが一歩踏み出した瞬間、カメコは小走りに玄関へと逃げドアを開けた。

そこには、偶々様子を見に来た警官のカメジが立っていた。

カメコの取り乱した様子から、危険を察知したカメジは家の中に駆け込むと

カメオを押し倒し、取り押さえようと揉み合った。

カメオは激しく抵抗したが、持ってきた包みの上で取り押さえられ、

ジェラートに塗れた冷たい床にキスをするような体勢で逮捕された。

カメジに手錠をかけられ、連行されていくカメオを見送りながら、

言葉にならない恐怖を感じ、カメコは引っ越しを決意した。