【ラテクエ　通な？】　「埋められた手紙」

オレは、絶賛失業中。

就職面接でも、ことごとく落とされる…。



でもまぁ、それも已むなしか。　正直、オレ自身「何がやりたい」のかわからない。

試験官も、オレのそういうところを見抜いているんだろう。



子供の頃は、何になりたかったんだっけ…？　………。　だめだ、思い出せない。



ん？　そういや小学生の時、「１０年後の自分」に手紙を書いて、タイムカプセルに

入れて埋めたんだっけ。　あれはたしか、公園の…　桜の木の根元だったはず。



オレは深夜、こっそり公園で穴を掘り始める。まるで不審者だが、昼間よりマシか。

スコップで掘り始めると、意外に浅いところで何かにぶち当たった。



（あれ？もっと深く埋めなかったか？）　思いながら土をどけると、機械式の小さな

カプセルが見つかった。　なんだこりゃ？　こんなの埋めた覚えないぞ？



フタを開けてみると、中には手紙が入っているようだ。　（んー…　いいのかなー）

とか思いながらも好奇心には勝てず、開いて読み始める。 書かれていたのは…



『やあ、１０年前のオレ。元気か？　突然だが、お前はこれから命を狙われる。』



…は？　なんだこりゃ？　…でも、確かにオレの字だな。　とりあえず読むか…



『狙われる理由は、オレが優秀なタイムポリスで、その犯罪組織を壊滅にまで

追い込んだからだ。それで奴らは、オレがまだ素人のうちに消そうとしてるのさ』



『お前を狙っている敵は、未来の犯罪組織が送り込んだ小型の殺人ロボットだ。

…本当なら、オレ自身がそっちに行きたいんだが、今の技術では、小サイズの

カプセルを使って無機物を送ることしか出来ない。人は時間移動できないんだ』



『お前には、自分の身は自分で守ってもらうしかない。公園の向かい側にある

柳の木。その下に武器が埋めてある。大丈夫、お前なら使いこなせるはずだ』



『タイムマシンに乗れたら ”パイロットになる”夢も叶ったんだがな。少し残念だ』

『あ、あとウミコは別の男と結婚したよ。その代わり、美人の奥さんがいるぜ！』



…ああ、そうか、子供の頃は、 ”おまわりさんになる” のが夢だったな…！

将来、夢は叶ったってことか。 しかもタイムポリスって、花形職じゃないのか？

『という訳で、未来のカッコいいオレと妻の写真を同封しておく。がんばれよ！』



自分でカッコいいとか…どれどれ…　！？　やだなにカッコイイ！（←自画自賛）

写真には、渋い３０代のオレと、本当に美人の奥さんが写っていた。



…しかし、絶賛無職中のオレが、１０年後にこうなってるとは信じられん…。

まあいい。今は、オレが今やるべきことをやるだけだ。





次にオレは、公園の反対側にある柳の木の根元を掘り始めた。

出てきたのは、大きめの箱型タイムカプセル、いやタイムボックスというべきか？



中には、新たな手紙と、おもちゃの光線銃のようなピストルと、ピコピコハンマー。



『このピストルはスタンガン。電撃によって、人もロボットも痺れさせるやつだ。』

『ハンマーは、見た目も重さもピコピコハンマーで、叩くとピコッと音が鳴るが…』



まさにピコピコハンマーじゃねぇか。



『…非生物に命中すると、固有振動共鳴で対象をチリと化す。銃は扱い慣れて

ないと当てにくいが、ハンマーは、これからくる敵にはいい武器になるはずだ…』



ガサリ。　！？　背後に何者かの気配を感じたオレは、スタンガンをぶっ放した。

チュン！ スタンガンが当たった部分の地面に、穴があいている。 銃の威力で…？



…違う。　敵は、穴に潜って電撃をよけたのだ。つまり、この敵は…

ドゴッ！　地面から突如現れた、そのモグラ型ロボを、オレはハンマーで叩いた。



＜ピコッ♪＞　電子音とともに、ロボの頭部に命中。 モグラロボは砕け散った。

「なるほど、確かにこいつはちょうどいい…！」　



そしてオレは、地面から続々現れるモグラロボを、次々に破壊していく。



…その後も、次々に襲いかかる未来からの刺客たち。だが、その試練がオレを強くし、

優秀な戦士として成長するきっかけになった事に、オレ自身も、敵も気づいていなかった…