【タブー！？】

とあるレストランで男が注文したウミガメのスープを１口すすり、

その味が素直に美味しいと思えたので、

外国人店員に『とても美味しいですね』と言った。

次の瞬間、店員は血相を変え、

『NO―――――！！！！！』

と叫んでいた。

男はそのあまりの緊迫感にビクリとしたが、

店員の視線が自分の背後に向けられている事に気付き、

その視線を追う為に後ろを振り向こうとした時には既に、体は宙を浮いていた。

店員に思い切り突き飛ばされたのだ。



男は尻餅をつき、自分が座っていた席とは離れた椅子に背中を打ち付けたが、

そんな痛みなどどうでも良かった。



それはあまりにも大きな音と衝撃だった。



男の視線は釘付けになっていた。



物凄い轟音と客達の悲鳴や何やらが入り雑じったものが耳をつんざくと同時に、

レストランの窓ガラスが大きく損壊し破片が飛び散り、

自分が座っていたテーブルはその瞬間に何処かへ吹き飛び、

まるでイリュージョンの様に大型トラックのフロント部分が姿を現した………







そのあまりの壮絶な状況に周りの客は騒然としていた………







…大惨事だった。







後日談、警察の取り調べでは、

大型トラックの運転手は仕事の疲労から居眠りをしてしまい、

ハッと気付いた時にはレストランの窓ガラスを突き破っていたそうだ…

当の運転手はかなりの重傷を負いながらも一命をとりとめ、

本人からこの供述を取れたのは事故から数週間後の事だった。







…もしも店員が窓際の席の男性客を突き飛ばしていなかったら、男はもうこの世にいなかったかもしれない………



男は後日、危険を察知して瞬時に自分を突き飛ばしてくれた【命の恩人】である店員に会い、

心から感謝を伝え、深々と頭を下げた。