【ラテクエ24　リサイクル】　「私を捨てないで！」

うーっ、寒い！　何か食って、暖まるか！



冷え切った台所の棚の中から、カップ焼きそばを見つける。とりあえず、コイツでいいか。



カップにポットのお湯を入れ、３分間待つ。　時間になったので、流しでお湯を捨てようとしたところ…

「熱っ！」　おもわず取り落とし…　フタがはずれ、中の麺まで流しに飛び出てしまった。



ほかほかと蒸気を上げる麺が、自分に語りかけてくるような気がする…

＜どうして？どうして私を捨てるの？ねえ！　捨てるのはお湯だけでいいのに！＞



（いや、俺だって、お前を捨てたくは無かったんだ！　しょうがなかったんだ！）

＜そんなこと言っても、もう遅いわ…　あたしの体、汚れちゃった…＞



（…そんなことはない！まだ、間に合う！）　俺は麺に手を差し伸べると、蛇口から水を出して洗い始めた。

＜きゃっ、何を…　いやっ、冷たい！　やめて！＞



（ちょっとだけの辛抱さ…）　洗い終わった麺をカップに戻し、もう一度お湯を入れて温める。

＜ああっ、冷たくしたあと、やさしくするなんて…ズルい人ね…＞



（おう！今からズルズルしてやるぜ！）　そして再度お湯を切り、ソースをかけ、いざ実食！！　しかし…

「…マズっ。」そう、何度も水にさらしたせいで、麺は水分を吸い過ぎて、すっかり伸びてしまったのだ。



（こいつ…付き合い出してちょっと優しくしたら、油断してブクブウ太るタイプだな）

＜何よ！別に、水っぽくなっても…お水っぽくなってもいいじゃない！＞



（うるせー！シツコイ（味）のは嫌いなんだよ！）



そして結局、焼きソバは男に、ゴミのように捨てられたのだった（生ゴミのポリバケツに）



※　食べ物は粗末にしないようにしましょう！





【別バージョン】



冷蔵庫ですっかり冷たく冷えていたピザ。男が電子レンジで温め、一口食ったところ「臭い！冷凍庫の匂いがする！」

そう、半年以上も冷凍庫で寒さの中で凍えていたピザは、すっかり凍（し）みていたのだ！　「うぷ、む、無理…」



せっかく温めてもらったというのに、あっと言う間に捨てられたかわいそうなピザであった…