貴方を待ち続けた百の夜と百一番目の黎明

少女は行方不明の双子の妹にずっと会いたかった。

そんな時、一人の男と出会ったのだ。

男は、「妹さんに会わせてあげるよ」と彼女に言った。

少女は喜んで男について行った。



「此処に妹さんがいるよ」と通された部屋に人影はなかった。

代わりに、足元にバラバラにされた骨が転がっていた。

「このパズルを完成させられれば、会わせてあげる。これが見本の写真だよ」

男は数葉の写真を少女に手渡し、重たい鉄の扉を閉めた。

此処から出るためにも、少女はパズルをするしかなかった。



人体の骨とは結構な数があり、複雑に組み合わされている。

これを組み立てるのは、一日ではできなかった。

少女はこのパズルに何日もかけて取り組んだ。

その間、差し入れられる食事は何故か肉料理ばかりだった。

押し込むようにそれを食べつつ、彼女は黙々とパズルに取り組んだ。

そして、ついに完成させた。少女は達成感と解放感で泣き出した。



「じゃあ、最後にこのピースをはめて完成だよ」

少女に呼ばれ、部屋に入った男が手渡したのは、二個の眼球とウイッグだった。

怯えつつ、少女はそれらを完成したパズルに付けた。

目にも、髪にも見覚えがあった。

ずっと組み立てていたのは、ずっと会いたかった双子の妹の骨格だった。

今度は恐怖で泣き出した。泣き崩れた少女を男は黙って見下ろしている。

蹲り、顔を覆って泣く少女の耳元で、唸りをあげるチェーンソー。





「これで、妹さんとずっと一緒だね」