某月某日　某国にて

某国にて。

仕事の移動のため、終日借り切ったはずのタクシーに逃げられ（！）、

しかし、次のアポイントの時間は迫ってくるため、

慌てて電車移動することにしたさしゃこ。

つい今しがた、世知辛いお国事情を実感したばかりのせいか、

電車に対しても警戒心も露わに、乗り込んだ。



日本でならあまり気にしない乗客の客層にも目を配り、

乗ろうとしたドアに少年グループが輪になっているのに気付くと、

別のドアから乗り込み、距離を取ることした。

更に、ドア近くから離れず、何かあったらすぐ降りれるように万全の体勢！(￣―￣)ﾆﾔｿ



電車が走りだし、次の駅へ到着する直前、降車の人の移動に紛れて、

少年グループがさしゃこに近づいて来て、現地語で何かを言い、手を掴んできた。

現地語なんてわかるわけない！

や、ごめん、ちょっと盛りました。仮に英語でもきっとわかんない(;´Д｀)



慌てて手を振り払うさしゃこ。すると彼らの一人がさしゃこのバッグを引っ張り始めた。

盗られてなるものか！とばかりに必死にバッグを引っ張り返すさしゃこ。

その間も少年らは何か言いながら、だんだんと車両中央へと引っ張られて・・・。



何なん？言いたいことあるなら言えや！（しかし、彼らは現地語で言っている！ｗ）

と思った矢先、トンと肩を押され、さしゃこは電車の座席に座り込まされた。



目の前に立っている少年たちを座席から見上げ、

彼らが満面の笑みで、まだ現地語で何か言っているのを隣の乗客が、

「外国人のしかも女性に、席を譲るのは当然のこと」だと言っていると教えてくれた。

それだけではなかったかもしれないが、またそれを言わないのも優しさかもしれない。



いくら直前に、タクシーに逃げられていたとはいえ、

最初から彼らを良からぬ集団と思い込み、

彼らの好意さえ、悪意としか受け止められなかった自分の愚かしさを恥ずかしく思い、

また、あれだけ大騒ぎをしてしまったにもかかわらず、

今、笑顔を向けてくれる彼らの寛大さに敬意を表し、

「ありがとう」と敢えて日本語で答え、頭を下げてきました。



当たり前のことを当たり前にできる某国の少年たちが大人になる頃、

この国は、きっと良い国になっているでしょう。

その時日本が、当たり前のことを当たり前にできない国になっていないと良いなぁ、と思います。