「ラテ・ラテ」を飲む女

『亀越様、お久しぶりです。シンディと申します。

　一週間前、そちらのレストランでお食事を摂らせていただきました。

　その際、レストランの評判に悪影響を及ぼしかねない不適切な発言をし、ご迷惑おかけしましたことを、深くお詫びいたします。

　あの行為は決してイタズラではなく、このほど出演いたしました映画の演技を練習することが目的だったのです。

　このような事は非常に申し上げづらいのですが、作品の登場人物が口に合わない料理を食べるシーンがあり、リアリティのある演技のため、独特の味に定評のあったあのスープを注文したのでございます。

　おかげさまで、大変良い映像が撮れたと監督が喜んでおりました。

　このお礼はいつか必ずいたしますので、どうか、ご勘弁のほどをお願いいたします。

　シンディ』



この手紙を読んだ亀越シェフは複雑な気持ちになったが、どういうわけかラテ・ラテの提供を再開した。



【解答例】

シンディはグラビアアイドルとしての人気上昇にともない、映像作品への出演が決まっていた。

脚本にマズイものを食べる演技があったのだが、女優は本業ではないため、演技の練習は不足している。

そこで、マズイと評判の料理を食べてリアクションの研究をしようとした。

実際にスープは驚くほどマズく、演技の研究に役立ったので、お礼の手紙を送った。