【無茶振り三題噺26】季節外れの

愛していた。

だけど、愛していたのは私の方だけだったみたい。



カメミは町の商店街の先。

見たこともない美人と腕を組んで歩いている彼氏を見たときに、直感的にそう悟った。



とたんに、それまでのどこか浮ついた気持ちは恥ずかしさに変わり、そして憎悪に変わった。



彼が憎い。

殺してしまいたい……！



そうして、カメミは彼氏を呪うことにしたのだ。

いわゆる、丑の刻参りだ。

早速、深夜に神社で執り行おうかとも思ったが──。



一つ問題があった。



この小さな町には夜中に幽霊が出るという、心霊スポットが二つあった。

一つがウミガメ墓地。そしてもう一つがこの村唯一の神社、ウミガメ神社だったのだ。





そしてこの夏の季節、町のわんぱくな子供たちはしばしば深夜にどちらかの場所で肝試しを行うのだった。





丑の刻参りは、見られたら呪いが自身に跳ね返ってしまう。

姿を見られる訳にはいかないのだ。



もしはち合わせてしまったらまずい。

運良く日にちや時間がずれたり、向こうの墓地の方へ行ってくれればいいのだが……





そこでカメミは一計を案じる。



ウミガメ神社の噂を払拭させるのは骨だ。ならば、もう一つ、ウミガメ墓地の噂を強くさせてやればいいのだ。



カメミはそれからしばしば墓地へ行き、幽霊の仮装をした。また、炎色反応を利用して火の玉もおこしたりした。



昼、こそりと少年たちの噂を盗み聞きすると、ウミガメ墓地での幽霊の話で持ちきりになっていた。



──もう安全かな、そろそろ頃合いだ。





それから、数日後。

町の少年たちは意気揚々とウミガメ墓地で肝試しを行った。

一方、神社では──