ウミガメのスープ

名工の剣

作者: 枯れた植木

これはとある中世っぽい世界での話。

ある高名な鍛冶屋が持てる技術の粋を使い、丹精こめて作り上げた一振りの剣がありました。
その剣は軽くて丈夫でよく切れる名剣でした。誰もがその剣を褒め称えるのですが、ほとんど誰もその剣を買いません。
買っていく人がまれにいるのですが、しばらく後には鍛冶屋の手元に返してきます。

さて、なぜでしょう?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

祝い事に使う宝剣ですか?

いいえ、実用するための剣です。外見に多少の特徴はあるものの、特別豪華だったりはしません。

買っていく人にはなにか共通点がありますか?

買っていく人はみんなその剣を使うために買っていきます。

返す前に、買った人たちは剣を使いましたか?

ほとんどの人が使いました。使った人も使っていない人も、程度の差はあれ困ったことになったので、みんなが鍛冶屋の元に返しにきます。

はい

その剣は一振りしか存在していない?

はい。存在していません。ですがその鍛冶屋の腕ならば、材料さえあればもう一振りや二振りほどは作れるでしょう。

いいえ

オカルト(魔法やのろいなどの意味で)は関係しますか?

いいえ、関係しません。

剣を買っていく人は共通した職業についていますか?

あえて言うのならば剣によって身を立てる“冒険者”というところでしょう。

いいえ

買っていく人達は皆自分がその剣を返すであろう事を予測していましたか?

いいえ、予測していません。予測できる人はその剣を買いませんでした。

その剣は形は一般的なものでしたか?

基本的に一般的ですが、つかに剣をつるすための輪がついていました。

はい

その剣の切れ味が良すぎた事が問題だった?

はい。その剣は『何でも』切れました。

答え

その鍛冶屋の至高の一振りはつるされた状態でガラスの扉の棚に固定されていました。
その剣は軽くて丈夫で『何でも』切れる剣でした。あまりに切れすぎるので、鞘に収めることすらできません。
その旨を鍛冶屋は説明してから売るため、買おうと思っていた人のほとんどは説明を聞いて諦めるのですが、それでも買ってゆく人がまれにいます。
そんな人は鍛冶屋の説明を話半分に聞いていたり、自分なら扱えると自信満々だったりします。
鍛冶屋は売るときに『説明はしたからクレームは受け付けない。返品するなら6割の金額を返す』と約束してそんな客に剣を買わせます。
案の定扱い切れなかったり、自分で自分を斬ってしまったりして、剣を返してくる人が後を絶ちません。
ひどいときは再起不能の大怪我をして、代理人を立てて返品することすらあります。
持てる技術の粋を集めて作った剣は高額で、鍛冶屋は剣を売って返品された時の4割の差額でウハウハです。
そんなこんなで、たくさんの人が鍛冶屋のところにお金を落としていくのでした……

以上、意外にちゃっかりした鍛冶屋のお話でした。
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