動画内など、他所でラテシンの問題を扱う(転載など)際について
ウミガメのスープ 本家『ラテシン』 
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ナットルーム

作成者:ディダムズ
部屋名:ナットルーム
ルームキー:納得感
とりあえずこのルームキーを押さえておこうという某国の商標戦略的発想

【目的】
ラテシンの問題における「納得感」に関して考察する。
また、考察を公表することにより、意見・疑問・反論等、何らかの示唆をいただく。

【ルール】
それほど来客が期待できないため、今のところ特にルールは定めません。
私は匿名を気にしない性質なので、シャイな方、後腐れなく話がしたい方、しがらみに苦しめられている方、あえて極論を語ってみたい方などは匿名歓迎です。

ちなみに当部屋ですが、ナットー・ナットウ(納豆)ではなく、問題をきっちり締める「ナット」とお覚え下さい。

【注意事項】
説明するまでもありませんが、当所の記述は全て筆者の個人的な見解であり、正当性を保証するものではありません。
また、内容および筆者の考え方は予告なく変更される場合がございます。

【更新記録】
17.3.20 ケーススタディに着手
17.3.14 広義の納得感、狭義の納得感の分割
17.3.11 紹介文に記載方式に変更、二章の序論を修正




---以下本文---


【納得感】
理想的な流れ
「納得感とは何ぞや」→「納得感を構成する要素は何か」→「納得感を向上させるためには」→「ケーススタディ」


【1】納得感とは何か?

-世間一般における定義
『納得感』
条件がもっともなものとして理解できる感情。納得できる感じ。 *weblio
『納得 』
他人の考え・行為を理解し、もっともだと認めること。 *大辞林

納得感が感覚的要素であることは疑いない事実であろう。
ある人が納得する事柄を、またある人は全く納得できないという例も多々見られる。
このような感覚的な概念を扱う場合、その対象は以下の二つに大別できるものと考えられる。

主観的納得感: 特定の個人が感じる納得感。ここでは当然、筆者の主観的な納得感を指す。
集団的納得感: 集団 (ラテシンを見る人全体) が感じる納得感の傾向。平たく言うと、一般的にどう感じるか。

本稿で扱う納得感は主に前者を指す。これは、個人レベルで後者の考察を行うことはひとえに困難であり、妥当性に欠けると思われるためである。

-ラテシンにおける納得感とは何か?

言葉の定義が定まっておらず、各人が各用語をそれぞれの感覚、解釈で用いていることが多いラテシンであるが、「納得感」に関しても、概ね以下の2つの意味で用いられていることが明らかとなってきた。

・広義の納得感
問題とその解説が、「ラテシンの問題として」適切である、相応しいと感じること。
ここで、「適切さ」は個々人のラテシン哲学を反映している。
すなわち、個々人の「ラテシンの問題とはどうあるべきか」という感覚によるものである。
このため、「広義の納得感」とは、極端に言ってしまえば「問題の質全体を指す」とも言える可能性がある。
一言で表すと「問題に対する満足感」と言える。

・狭義の納得感
問題とその解説が、「問題の状況 (問題世界) において」適切である、自然であると感じること。
ここでも、「適切さ」は個々人の一般的な感覚を反映しているわけではあるが、背景としては世間の常識や普遍性など、集団的、社会的な傾向を踏まえていると考えられる。
こちらは一言で表すと、「問題の妥当性」であり、問題と解説がロジカルにつながっているかどうかであると思われる。

ex. 狭義の納得感が高いが、広義の納得感の低い問題
例えば、以下のような問題を考える。
「今日僕は先生に怒られました。 一体なぜ?」「宿題を忘れたから」
このような場面は、現代日本で考えて極めて常識的、普遍的である。
すなわち、「狭義の納得感」としては非常に高いものと思われる。
一方で、チャームやトリック、クルーいずれも乏しく、誰にでも思い付くいくつかのありそうな答えの内の1つを選ぶだけの問題に過ぎない為、「この問題はラテシンの問題として適切である」と思う人はほとんどいないのではないだろうか?
これは問題への満足感たる「広義の納得感」に乏しいことを意味する。
このような、「状況としては非常に妥当でる」が「問題としての面白みに欠ける」問題は、狭義の納得感が高いが、広義の納得感の低い問題であると言える。


しかしながら、上記のようにこれらの用語の使い方は統一されていないため、どういうニュアンス、解釈で「納得感」と言っているのかは適宜判断する必要がある。


では、さらに具体的に、何をもって解説の「適切さ」を測っているのか?という観点を納得感に影響を与える因子として捉え、次の章にて述べることにする。

-納得感多次元論
納得感はそれぞれの項目が関係しあう(独立ではない)レーダーチャートのようなものである。
一次元的な尺度で高低を測ることは (何らかの変換を行わない限り) 困難である。
ex: 解説の意外性はあるが問題文との噛み合いが悪い。極めて妥当だが問題文との対応が悪い。 など


【2】問題において納得感に影響を与える因子

 本章では前章の内容を受け、どのような解説が適切であると言えるか(= 納得感を形成するか)を列挙する。
(ここでの納得感とは、主に主観的納得感を指すが、そのうちいくつかは集団的納得感にも繋がると思われる。)

-問題文の記述と矛盾がない
 問題と解説に矛盾があってはならない。
これは大原則であろう。
問題文には、「男は死んだ」と書いてあるにもかかわらず解説では死んだふりなど、問題文の嘘も避けた方が良い。

-問題文が解説によく対応している
 問題文のパーツ (単語、表現、文の構成等) がクルーとして解説に反映されていると納得感を感じやすい。
逆に、問題文に余計な情報 (ノイズと呼ばれることもある) が付加してあることを嫌う人もいる。が、個人的にはそれはそこまで気にしない。ある程度ならば情報の選別もまたゲームの楽しみである。

-問題文がフェアである、不自然ではない
 表現の妙を楽しむのもラテシンの醍醐味である。
だからこそ記述、表現はフェアでなければならない。
ただし、言葉遊びや表現技法の分野では好まれる場合もある。
強引な表現・アンフェアな表現の方が参加者を騙しやすいなどの点があることも事実であり、意見が分かれる。

-解法の世界観ランクが低い
 謎 (謎めく状況) を解決 (状況の説明) に導く「解法」には様々なものがあるが、その自由度は世界観によってある程度規定される。
自由度の高い (= 高ランクの) 世界観を用いると解法を作るのは容易である反面、自由度の低い (= 低ランクの) 世界観を採用すると解法に制限がかかるため解説を作るのは難しくなる。
よって、高ランクになるほど解法の「なんでもあり」感が高くなるため、可能な限り低ランクの世界観を採用した方が解法の唯一性が高まる。
・解法ランク
現代日本 (普遍的事例)
現代日本 (特殊事例)
過去海外
非現実 (モチーフ)
未来地球外
固有名詞
作中作
非現実 (オリジナル)、想像世界

-解法がシンプルである。
 良いアイデアと言うものはシンプルであることが多い。
逆に、物事をシンプルに上手く運ばせるアイデアが良いアイデアとも言える。
可能な限りシンプルに謎を解決させる解法が優れた解法である。

-解法が合理的である
 合理的とは、「道理や論理にかなっている様」を意味する。
道理や論理を無視した解説は斬新なのではなく強引・無理矢理なだけである。
水平思考のみならず垂直思考も納得感の形成には必須である。

-解法が妥当である。
 妥当とは、「物事の実情などによくあてはまっていること。
考え方や処理の仕方に無理なところがなく適切であること。」とされている。
メタ的なものも含めた妥当性 (問題として適切であること) が納得感そのものであるとすると、ここでは、問題文の中の世界に限った、メタ的な視点 (トリックが面白い、問題文が面白いなど) は含まない非メタの妥当性を指す。
問題の中の世界に入り込んだ時、その世界でその状況が妥当と言えるものは、メタ的な観点からも納得できると思われる。

-解法が普遍的である
解法は広範に成立する方が好ましい。
○○で××で△△なのでこの解法が成立する という特殊な物より、問題文の状況であれば概ね常に成立する という方が、広く使えて良い解法であると考えられる。
また、複雑な状況を無理に組む必要が無く、普遍的な方法の使用をうまく考え付けるかと言ったパズル的な観点からも優れていると思われる。

-話の筋道が明確である
これは受け手の問題としてであるが、分かりにくいもの、ややこしいものは理解しがたい。
理路整然とした筋道のある物語の方が分かりやすく、納得感も上がる。
ちゃんと伝われば納得してもらえるものでも、納得できるまで読んでもらえなければそれは納得感にならない。

-登場人物の感情や行動に共感・理解できる
人間・それに類するその他キャラは常に合理性のみで動くわけではなく、感情によって行動が左右される (見方によっては、感情を無視して合理性が判断できない)。
このことは物語として当然のことであるが、その感覚が理解できないと納得感には繋がらず、むしろ、なんでそんな感覚を持っているのか?という新たな謎が生まれてしまう。
確かにそう感じる、そう行動するだろうなという理解が出来ないと納得感は生まれない。

-解説に意外性がある。
問題文から大体予想されるような解説より、方向性すら思いも付かなかったような解説の方が発想の広がりを感じられるため望ましい。

-(以降随時追加予定)


-その他外部要素
「広義の納得感」はその他の要素とも密接に関わり合っていると思われる。
それも単純な加算性や一方的な影響などではなく、相互に影響しあう複雑な関係である。
例えば、チャーム (これは問題文と解説との対応関係にも関係ありそう) やトリック (これは解法の妥当性や合理性などと関係ありそう) に優れたものは納得感も高くなる(ただし、見方は様々あり。)ものと思われる。
逆に、他の要素が優れていないと納得感を感じる前の段階でつまらないと感じ、納得感そのものを考えなくなってしまうとも思われる。
ex: 「今日僕は先生に怒られました。 一体なぜ?」「宿題を忘れたから」
これは、矛盾なくシンプルで普遍的で妥当で上記の要素のほとんどを高レベルで満たしていると思われるが、「この問題はとても納得できる!」と思う人はほとんどいないのではないだろうか?

以上より、具体的には以下の要素も納得感との間に関係(相乗効果?)があるものと思われる。
これら要素に関しての考察は他の文献に譲ることとする。
-チャームが高い
-物語性が高い
-トリックが優れている
-アイデアが優れてる
-言葉遊びが上手い
-文章が上手い


【3】納得感を向上させるための手法

-ウミガメ登山モデル
頂上「問題文の状況の説明」
登山道「解 (そのうち1本が本解説、その他が別解) 」
山 (麓)「問題文、謎」
解説はゴールと考えられがちであるが、ゴールそのものではない。
ゴールは問題文の状況を説明することである。
ゴールに至るアプローチの1つが解説なのである。

クイズは問題に対応する答えが1つ存在するものである。
ウミガメは対応する答えが無数に存在する。
(ただし、「正解」はそのうちの1つ)


【4】ケーススタディ

 ラテクエなどの「共通の問題文で異なる解説」の問題文を複数集め、それぞれ比較検討することによってケースステディが可能であると思われる。

トピック1 『現実にこんなことがあるとは思えないのに高い納得感』のワケ
 現実的にはほぼ起こらない、現実的ではない、現実としては妥当性が無い問題においても、「納得感がある」と評されることがある。
現実的であることは納得感を形成するのに必須の要素ではないため、何らおかしい事はないのであるが、問題全体における現実的な妥当性が無くなるため、それを補って余りある納得感が必要になると思われる。
1つには、単純に現実的な妥当性以外のポイントをうまく抑えているからという理由が考えられる。
中でも特に、「特殊な場面」と「類似の妥当な事例」の組合せによる妥当性の付与が考えられる。
例えば、パラシュート落下において息子のリュックとパラシュートを取り違えることは現実的にほぼあり得ないが、自分のリュックと形の似た他人のリュックを取り違えるという事例はよくある。
もう一つとして、算数の問題を解かせて受験者の数字の癖を見抜くということは現実的にほぼあり得ないが、実際に数字を書かせることでその癖を見抜くこと自体は問題なく行える。
このように、「その場面においてはほぼあり得ない事例」でも、「特殊な場面」と「他の場面では妥当性のある事例」を組み合わせることで、なんとなくありそうというイメージを誘起することができるのではないだろうか


現在 ディダムズさん プエルトリコ野郎さん が入室してます。(2人)
【総発言数:20】
[317963]ディダムズ[★★幾星霜]
結局のところ、納得感も主観的な要素なので、厳密な解析は難しいですよね。

現実的な納得感が低いと、非現実のワクワク感とか、粗が見えにくい(現実は違和感や矛盾に気づきやすい)点、思っていたものとのギャップ、(現実に縛られずに話が作れるので)話としての面白さなど色々カタルシスを増すような要素は入れやすいという面もあるのかもしれませんね。
[17年04月28日 20:54]
[317774]プエルトリコ野郎
コメント遅くなりました。

確かに、納得感が二種類あるとすれば私のモヤモヤも解決する気がします。問題としてはふさわしいが、現実的なシチュエーションとして納得はできにくい。そこが上手く言語化出来ませんでしたが、スッキリしました。ありがとうございます。

こういう場合、むしろ現実的な納得感が低い方が、解答を見た時のカタルシスとかは増すのかもしれないですね。たまに言われる、「解答の力強さ」とい
[17年04月26日 22:55]
[317702]ディダムズ[★★幾星霜]
プエさんコメントありがとうございます。

最近加筆した部分ですが、納得感と言われている物には、広義と狭義の2種類があるものと思っています。

・広義の納得感
問題とその解説が、「ラテシンの問題として」適切である、相応しいと感じること。
・狭義の納得感
問題とその解説が、「問題の状況 (問題世界) において」適切である、自然であると感じること。

タミテイは、前者が高く、後者が低いのかなと考察しています。
「パラシュートと取り違えてしまった」というお話、発想は面白いですが、「パラシュートと取り違えてしまった」なんて状況は現実的に考えてまず起こらない (不可能ではないが、極めて起こりにくい状況) と思います。

解法ランク的にはターミナルテイストは現代日本(特殊)に当たると思います。
実際、現代日本の話とは明言されていませんが、現代日本でも成り立ち、かつ、過去や他国などに場面を移しても状況の普遍性に差が無いので、ここでは「現代日本(特殊)」と考えます。


[17年04月25日 21:00]
[316991]プエルトリコ野郎
そのときは、「この問題は非現実的だけど納得感がある不思議な問題」だと勝手に納得していたのですが、後々考えてみると、別に私は納得していたわけではないんじゃないかな…って思ったりするんですよね。「パラシュートと取り違えてしまった」という発想の面白さに感動したのであって、細かいシチュエーションで納得したわけではない。(自分にとっての)良問=納得感がある という先入観から、ターミナルテイストは納得感のある問題である、と勝手に結びつけてしまったのではないかな〜と。

解法ランク的にはターミナルテイストは現代日本(特殊)にあたるんでしょうか?
[17年04月18日 22:06]
[315784]プエルトリコ野郎
「ターミナルテイスト」って実はそんなに納得感が高い訳じゃないかもしれないです。
私は初めてターミナルテイストを見た時、「この問題面白い!」と思って殿堂入りを押したのですが、しばらく経った後にとてつもなく非現実的なシチュエーションであるということに気がついてしまい、この問題は良問なのか普通の問題なのかとうんうん唸っていた記憶があります。(今は良い問題だと思っています。なささんごめんね。)
[17年04月12日 23:09]
[315770]ディダムズ[★★幾星霜]
プエさんいらっしゃいませ。

考えがまとまってから来ていただいても、まとまらない考えを記していただいても、はたまた見なかったことにして立ち去っていただいても構いませんよ。
[17年04月12日 22:07]
[315688]プエルトリコ野郎
入ったはいいけど考えがまとまらない〜
[17年04月12日 14:07]
プエルトリコ野郎さんが入室しました。
ウミガメのスープを一つください。[17年04月10日 23:49]
[311333]ディダムズ[★★幾星霜]
メモ
狭義の納得感 (状況の妥当性) と広義の納得感 (ラテシン問題としての納得感) の分離

「現実にこんなことがあるとは思えないのに高い納得感」のワケ
組合せの納得感?
非現実的な設定でも、根底に合理的な理由がある」みたいな感じのこと?
[17年03月11日 23:05]
[311322]ディダムズ[★★幾星霜]
ということで、この部屋のメインルームは紹介文にしました。

チャット欄は来客の方と話をする応接間として利用することにします。
[17年03月11日 21:01]
[311321]ディダムズ[★★幾星霜]
秘密の部屋って量のある構造的な文章をまとめて置くのにはあまり向かないですよね。
ちょっと検討した結果、wikiは面倒な上にそこまでフレームがしっかりしている必要性が無い、idea*padは機能が紹介文並なので、それならば外部にする意味がないということで、紹介文形式にすることに致しました。

見てくれ変わるとなんか更新されたって気がしますね。
大事なのは本質、中身ですがw

[17年03月11日 20:50]
[311320]ディダムズ[★★幾星霜]
これやっぱり、ある程度の量になってきたら紹介文の方で展開した方がいいんですかね?
いっそのことwikiで独立?
[17年03月11日 20:49]
[311319]ディダムズ[★★幾星霜]
チャージマン氏改めマミさんようこそいらっしゃいました。
私も1ヶ月に一度くらいの頻度で更新(後進?)したいと思います。
[17年03月11日 20:47]
ディダムズ[★★幾星霜]さんが入室しました。
ウミガメのスープを一つください。[17年03月11日 20:46]
松神[軍曹]さんは勘定を済ませ、帰宅した。
[17年01月23日 19:13]
[306976]松神[軍曹]
(チャージマン氏って僕のことかなと思ったのでなんとなくここに書き残しておきます。
因みに1ヶ月に一度くらいの頻度で見てます。)
[17年01月23日 19:12]
松神[軍曹]さんが入室しました。
ウミガメのスープを一つください。[17年01月23日 19:11]
しばらく発言していないのでディダムズ[★★幾星霜]さんはスープになりました。
[16年06月26日 22:15]
[279683]ディダムズ[★★幾星霜]
チャージマン氏とのチャット以外でここを出したことないと思いますが、実はここ見てる方がいたという確信。
モチベーション向上につき、更新を試みる。

更新記録付けましょう。


【納得感】
理想的な流れ
「納得感とは何ぞや」→「納得感を構成する要素は何か」→「納得感を向上させるためには」→「ケーススタディ」


【1】納得感とは何か?

-世間一般における定義
『納得感』
条件がもっともなものとして理解できる感情。納得できる感じ。 *weblio
『納得 』
他人の考え・行為を理解し、もっともだと認めること。 *大辞林

納得感が感覚的要素であることは疑いない事実であろう。
ある人が納得する事柄をまたある人は全く納得できないという例も多々見られる。
このような感覚的な概念を扱う場合、その対象は以下の二つに大別できるものと考えられる。

主観的納得感: 特定の個人が感じる納得感。ここでは当然、筆者の主観的な納得感を指す。
集団的納得感: 集団 (ラテシンを見る人全体) が感じる納得感の傾向。平たく言うと、一般的にどう感じるか。

本稿で扱う納得感は主に前者を指す。これは、個人レベルで後者の考察を行うことはひとえに困難であり、妥当性に欠けると思われるためである。

-ラテシンにおける納得感とは何か?
「問題文の謎」に対する解答としての「解説」が適切であると感じること。
ここで、「適切さ」は個々人のラテシン哲学を反映している。
すなわち、個々人の「ラテシンの問題とはどうあるべきか」という感覚を反映している。
このため、「納得感」とは、極端に言ってしまえば「問題の質全体を指す」とも言える可能性がある。
では、さらに具体的に、何をもって解説の「適切さ」を測っているのか?という観点を納得感に影響を与える因子として捉え、次の章にて述べることにする。

-納得感多次元論
納得感はそれぞれの項目が関係しあう(独立ではない)レーダーチャートのようなものである。
一次元的な尺度で高低を測ることは (何らかの変換を行わない限り) 困難である。
ex: 解説の意外性はあるが問題文との噛み合いが悪い。極めて妥当だが問題文との対応が悪い。 など


【2】問題において納得感に影響を与える因子

 本章では前章の内容を受け、どのような解説が適切であると言えるか(= 納得感を形成するか)を列挙する。
(集団的納得感のみを扱うと言っておきながら、筆者の主観的納得感についても言及しているのに関してはメモとでも思ってください)

-問題文の記述と矛盾がない
 問題と解説に矛盾があってはならない。
これは大原則であろう。
問題文には、「男は死んだ」と書いてあるにもかかわらず解説では死んだふりなど、問題文の嘘も避けた方が良い。

-問題文が解説によく対応している
 問題文のパーツ (単語、表現、文の構成等) がクルーとして解説に反映されていると納得感を感じやすい。
逆に、問題文に余計な情報 (ノイズと呼ばれることもある) が付加してあることを嫌う人もいる。が、個人的にはそれはそこまで気にしない。ある程度ならば情報の選別もまたゲームの楽しみである。

-問題文がフェアである、不自然ではない
 表現の妙を楽しむのもラテシンの醍醐味である。
だからこそ記述、表現はフェアでなければならない。
ただし、言葉遊びや表現技法の分野では好まれる場合もある。
強引な表現・アンフェアな表現の方が参加者を騙しやすいなどの点があることも事実であり、意見が分かれる。

-解法の世界観ランクが低い
 謎 (謎めく状況) を解決 (状況の説明) に導く「解法」には様々なものがあるが、その自由度は世界観によってある程度規定される。
自由度の高い (= 高ランクの) 世界観を用いると解法を作るのは容易である反面、自由度の低い (= 低ランクの) 世界観を採用すると解法に制限がかかるため解説を作るのは難しくなる。
よって、高ランクになるほど解法の「なんでもあり」感が高くなるため、可能な限り低ランクの世界観を採用した方が解法の唯一性が高まる。
・解法ランク
現代日本 (普遍的事例)
現代日本 (特殊事例)
過去海外
非現実 (モチーフ)
未来地球外
固有名詞
作中作
非現実 (オリジナル)、想像世界

-解法がシンプルである。
 良いアイデアと言うものはシンプルであることが多い。
逆に、物事をシンプルに上手く運ばせるアイデアが良いアイデアとも言える。
可能な限りシンプルに謎を解決させる解法が優れた解法である。

-解法が合理的である
 合理的とは、「道理や論理にかなっている様」を意味する。
道理や論理を無視した解説は斬新なのではなく強引・無理矢理なだけである。
水平思考のみならず垂直思考も納得感の形成には必須である。

-解法が妥当である。
 妥当とは、「物事の実情などによくあてはまっていること。
考え方や処理の仕方に無理なところがなく適切であること。」とされている。
メタ的なものも含めた妥当性 (問題として適切であること) が納得感そのものであるとすると、ここでは、問題文の中の世界に限った、メタ的な視点 (トリックが面白い、問題文が面白いなど) は含まない非メタの妥当性を指す。
問題の中の世界に入り込んだ時、その世界でその状況が妥当と言えるものは、メタ的な観点からも納得できると思われる。

-解法が普遍的である
解法は広範に成立する方が好ましい。
○○で××で△△なのでこの解法が成立する という特殊な物より、問題文の状況であれば概ね常に成立する という方が、広く使えて良い解法であると考えられる。
また、複雑な状況を無理に組む必要が無く、普遍的な方法の使用をうまく考え付けるかと言ったパズル的な観点からも優れていると思われる。

-話の筋道が明確である
これは受け手の問題としてであるが、分かりにくいもの、ややこしいものは理解しがたい。
理路整然とした筋道のある物語の方が分かりやすく、納得感も上がる。
ちゃんと伝われば納得してもらえるものでも、納得できるまで読んでもらえなければそれは納得感にならない。

-登場人物の感情や行動に共感・理解できる
人間・それに類するその他キャラは常に合理性のみで動くわけではなく、感情によって行動が左右される (見方によっては、感情を無視して合理性が判断できない)。
このことは物語として当然のことであるが、その感覚が理解できないと納得感には繋がらず、むしろ、なんでそんな感覚を持っているのか?という新たな謎が生まれてしまう。
確かにそう感じる、そう行動するだろうなという理解が出来ないと納得感は生まれない。

-解説に意外性がある。
問題文から大体予想されるような解説より、方向性すら思いも付かなかったような解説の方が発想の広がりを感じられるため望ましい。

-(以降随時追加予定)


-その他外部要素
「納得感」はその他の要素とも密接に関わり合っていると思われる。
それも単純な加算性や一方的な影響などではなく、相互に影響しあう複雑な関係である。
例えば、チャーム (これは問題文と解説との対応関係にも関係ありそう) やトリック (これは解法の妥当性や合理性などと関係ありそう) に優れたものは納得感も高くなる(ただし、見方は様々あり。)ものと思われる。
逆に、他の要素が優れていないと納得感を感じる前の段階でつまらないと感じ、納得感そのものを考えなくなってしまうとも思われる。
ex: 「今日僕は先生に怒られました。 一体なぜ?」「宿題を忘れたから」
これは、矛盾なくシンプルで普遍的で妥当で上記の要素のほとんどを高レベルで満たしていると思われるが、「この問題はとても納得できる!」と思う人はほとんどいないのではないだろうか?

以上より、具体的には以下の要素も納得感との間に関係(相乗効果?)があるものと思われる。
これら要素に関しての考察は他の文献に譲ることとする。
-チャームが高い
-物語性が高い
-トリックが優れている
-アイデアが優れてる
-言葉遊びが上手い
-文章が上手い


【3】納得感を向上させるための手法

-ウミガメ登山モデル
頂上「問題文の状況の説明」
登山道「解 (そのうち1本が本解説、その他が別解) 」
山 (麓)「問題文、謎」
解説はゴールと考えられがちであるが、ゴールそのものではない。
ゴールは問題文の状況を説明することである。
ゴールに至るアプローチの1つが解説なのである。

クイズは問題に対応する答えが1つ存在するものである。
ウミガメは対応する答えが無数に存在する。
(ただし、「正解」はそのうちの1つ)


【4】ケーススタディ

 ラテクエなどの「共通の問題文で異なる解説」の問題文を複数集め、それぞれ比較検討することによってケースステディが可能であると思われるが、権利的に難しそうであるため保留。

[16年06月25日 22:47]
ディダムズ[★★幾星霜]さんが入室しました。
ウミガメのスープを一つください。[16年06月25日 22:21]