魔導師探偵・T【シティ・ブレイク】

ま

ず、建物内にいくつかの金属器が残っていたことに注目した。

特に、キラリスキー氏がめり込んでいた壁のあった部屋。

そこには金の塊のようなものがあった。

よくみると文字が書いてある。



＜MAGIC　LAMP／WIPE　THISWAY　THREE　TIME／ONLY　USE　AT　OUTDOORS＞



魔法のランプ／この方向に三回払う／屋外専用



そう、このランプは室内で使ってはならなかったのだ。

キラリスキー氏はそこを読んでいなかったんだろうな。



トーコと法規省の連中を同伴して、郊外の広い場所で試しにランプ（だったもの）を擦ってみた。



ランプから煙が出て、見る見るうちにジーン（ランプの精）が現れた。



『お前が我が主だな？願いを言うがいい。』



でかい。

１５メートルはゆうにある。



キラリスキー氏の家は地上部分が非常に小さい。

高さ３ｍ、六畳のワンルームのような小さな建屋。

生活用品は地上階にあるが、コレクションは地下に保存してある。



そんな中にこの巨大なジーンを呼び出してしまったとしたら、それはああなる。



念のため聞いてみよう。



「質問に答えてもらおう。お前はキラリスキー氏の召喚に応じてこの世界に姿を現したか。」

『うむ。』

「そのとき、キラリスキー氏を潰さなかったか？」

『…私がこの世に完全に召喚されようとしたとき、何か良く分からんが箱？を魔法で破ったところで前の主の魔力が途切れてな。敢え無くランプの中に戻された。そういえば…、誰かの叫び声が聞こえたような･･･。』



「おそらくそれはキラリスキー氏だ。」



『え。エーと、そ、そうだ、私の住処はどうなった？』



「…これだ。」



ランプだったもの、金の塊を見せた。



『…。なんか、ごめん。』



「悪意は無かったんだ。…もう戻って良いぞ。」



ジーンは指をちょいちょい動かした。

ランプがベゴン！と奇怪な音を立てて元の形に戻った。



『前の主に陳謝すると伝えてくれ。』



ボシュウ！と音を立てて煙のように姿を変えて勢いよくランプへ入って行った。



「パパー、せいれいさんもきらりーさんもかわいそうだね」

「あ、ああ。不運な事故だな。…用法を守らなかったキラリスキーの自業自得にしてはひどい代償だな…。」



－－－－－－－－－－－

トーコ「なのでしゅ！」

Ｔ「ということだ。

そうだ、トーコの核について話をしていなかったな。

クリア・コランダム（無色透明のルビーやサファイアなどの原石）だった。

通常若干でも色がつくそうなんだが、完全な透明だから、珍しいんだそうだ。そういえばアカネはルビーだったな。娘だという証拠だな。うん。」

「トーコのなまえはとうめいなこらんだむで＜透子＞っていいみなんだって！」

「よく覚えてたな。」

「うん！…ねー、パパ、はやくかえりたいの？」

「…えっ？」

「あたまのなかでママのなまえよんでるよー？」

「うわばばばばば」







Ｔはトーコを抱えて逃げ出した！

心なしか顔が赤かったような気がする。