復讐者

私は目を覚ました。そこはベッドのような場所だった。しかし、こんな場所に見覚えは無い。さっきまで宇宙船の中にいたはずだが…。

「お目覚めかい？」

そこには、名状しがたい「ヒトガタ」が列を成していた。ヒトガタである以上ヒトなのか…とも思ったがそのどれもが私が見たことのあるヒトではなかった。その姿はまるで…宇宙人だった。

「君はあの宇宙船に乗ってこの星に辿りついた。きっと君を送ったやつらは、君を回収する気もなく見殺しにするつもりだろう。」



それを聞いて私の中に、ふつふつと憤りが湧き上がってきた。何故あいつらの研究のために私が死ななければならないのだ…！



「…君の考えていることはわかる、復讐したいんだな？それならこのボタンを押すんだ。君が元いた惑星にまで届く長距離ミサイルが発射される。君の手でやつらを葬り去るんだ。」



私は躊躇うことなくそのボタンを押した。動物実験として宇宙に送られ、死んでしまった全ての動物の代弁だ。ヒトに近い知能を持つ私が、彼らに報復を与えなければならない。

そう…サルとして私が引導を渡してやる。

その背中からは決意が表れていた。