【ラテクエ26リサイクル】数式とナイフ

彼

女はマジシャン。

テーブルマジックをメインとした演目をそつなくこなしていき、最後のマジックであるコインの瞬間移動を終え、にこやかに挨拶をする･･･、と思われたその直前。

彼女は思い出したように言った。

「そういえば、最初にきっちり封をした封筒がありましたよね？」

「あー、そういえば。」

「これもね。実は手品なんですよ。正真正銘、今日の最初で最後のマジックです。」

「え！？いったいどんな！？」

「予言です。これから、司会者さんにこのフリップへ、何でもかまわないです。５文字埋めてもらいます。」

「ご、五文字ですか？」

「ハイ。＜簡単な計算式＞でもかまいませんし、＜挨拶＞でもかまいません。小学生でもわかるものがいいですね。でも、何でもかまいませんよ？すでに予言されているわけですから。」

「は、ハイ。わかりました。」



彼が書いたのは#red#｢1+1=2｣



それを見てにっこりと笑い、彼女は封筒とナイフを手に取った。

封筒の封を切って中から紙を取り出す。

その紙には見事に#red#｢1+1=2｣と彼女の直筆で書かれていた。



どよめきの中で凛とした彼女が一言言った。



「すべては私が仕組んだ、メンタリズムなのです。これが、テーブルマジックの極意です。」