【ラテクエ２５】クリスマスとはこういうものだぁ！

宇宙暦20120年　

人類ははるか昔に地球を見捨て、宇宙各地の惑星で生活を営むようになっていた。



男はそんな時代において、

かつての人類のゆりかご、『地球』の伝統的文化を研究する学問

【古代地球民族考古学】の研究者であった。



だが、男の研究は行き詰っていた。

地球地表からはるか昔の記録メディアを発掘したのはいいものの

解析はうまく進まず、

読み取ることができたのは、

かつて「クリスマス」なる祭りがあり、

「七面鳥の丸焼き」を12月24日に食するということだけであった。



それでも、功を焦った男はこのことを新発見として学会に報告を行った。



だが、学会の反応は以下のようなものであった。

【証拠が少なすぎる！】【バカバカしい】【お前の言うことはつまらん】

その発表は男に栄光をもたらすどころか、トンデモ学説を唱えるエセ学者のレッテルをもたらすものとなってしまった。



だが、男はあきらめなかった

「この宇宙全体には数億の開拓惑星がある！

その中にはこの奇祭を受け継ぐ少数民族が住む星もきっとあるはず！」



こうして、男の「クリスマス」探求の旅は始まったのだった。



プレアデス星系に、かつてアマゾネスと呼ばれた民族の生き残りがいると聞けば

押しかけてその風習を研究し

シリウス星系に、かつて忍者と呼ばれた一族の生き残りがいると聞けば押しかける



男はそんな研究一筋の生活を40年ほど続けていたが、

ついぞ『クリスマス』なる風習を受け継ぐ星を見つけることは出来ず、

男の心は折れかけていた



「もう最後にしよう、このオタクなる一族の生き残りがいるという星で

『クリスマス』を見つけることが出来なかったら・・もう、、死のう」



そう思いつつ雪のちらつく12月24日、男は最後に決めた惑星【オタク・フロンティア】を訪れた男は

調査前の腹ごしらえのためにレストランの門を叩いた。



ふぅ・・・また12月24日を迎えてしまったな・・・

どうせ有るわけもないが聞くだけ聞いてみるか・・



「すみません。この店に七面鳥の丸焼きはありますか？」



ウェイトレスが答える



「はい。　ございますよ。」



なん・・だと・・・！？　まさか！？



「な・・なぜそんな奇妙な食事がメニューにあるのですか！？！？！？」



ウェイトレスは怪訝そうに答える。

「だって今日はクリスマスじゃないですかぁ？この星のレストランならありますよそりゃぁ」



「どんな風習なのか教えて下さい！！！」



こうして、オタク・フロンティアの住人から情報を聴きだした男は

謎の奇祭【クリスマス】がかつて実在したこと、

そして今も細々とオタク・フロンティアにて受け継がれていること

を証明し、学会に改めて発表を行った。

それにより、今度こそ男は考古学者としての足跡を残すことに成功したのであった。



こうして今では考古学のテキストには【クリスマス】の項目が追加されている



【クリスマス】

かつて地球にて行われていた奇祭。

12月24日に七面鳥の丸焼きとケーキを準備し、

モニターに表示した2次元嫁と向かい合いながら

一人で食事を行う儀式。

また、この日にはリア獣なる存在を爆破する行為が許されていたという。

惑星オタク・フロンティアにのみ伝統が継承されており、

その他の星系において失伝した理由は不明。