江戸川乱子の事件簿

男子とはどうしてああも馬鹿揃いなのだろう！

私こと江戸川乱子、明智小学校五年二組クラス委員長は、常々思う。

昨日は風邪をひいたために不本意ながら自宅休養していたが、昼休みのできごとは

おおよそ、懇談会のプリントを届けてくれた親友である夢野久子から聞いていた。

またあのいともたやすく行われるえげつない行為が繰り広げられていたという。

そう、今、私の目の前で繰り広げられている、この忌々しい遊びが！



給食の時間ももう終わろうかという頃。

教室の真ん中、向かい合わせに並べられた四つの机、腰掛ける四人の男子。

うち三人が、口の中に牛乳を含み、それに対する隼野丈（自称、笑わせること風の如し

『ハヤブサのジョー』）が両手のスプーンを目にあてた。

「ウルトラマン！」

「ぶばあ！」と、下品な音をだして男子の一人が口から牛乳を吐き出した。

「あはは！　おまえ、その顔ひいっ！　おもしろすぎっ！　あはは！」

笑ってる。

それを見ながら隼野丈も満面の笑みを浮かべ、残り二人に対して、また寒いギャグをかます。

飛び散る牛乳。叫ぶ女子。笑う男子。

まったく、こいつらが牛乳を吐くのを我慢できた日を見たことがない。

牛乳を吐くためにこの遊びをしてるんじゃないだろうか。



やれやれだわ、と、私は重い腰をあげて、隼野丈たちに向かっていく。

「おら男子！　汚い遊びするんじゃねえ！」

「げっ、江戸川lっ！」

「げっ、じゃねえ！　次やったら蹴るって言っただろうが！」

「いいじゃん！　どうせ次掃除の時間だし！　俺ら掃除すんじゃん！」

「そういう問題じゃっねえ！」

そうして、私こと江戸川乱子、明智小学校五年二組クラス委員長は、

牛乳臭い男子どもにドロップキックをかますのであった。