「オイラが始めたいことは？」

オイラは亀助！チャキチャキの江戸っ子でい！



オイラは下町で蕎麦屋を開いてる蕎麦職人なんだが、この界隈は麺類の激戦区でねぇ。

多くの店がシノギを削りあってるんだが、問題は夏場。



夏、麺類といえば…　そう！



「ざるそば」　だよな！



ちゅるちゅるっとすすれば、蕎麦の香りがふわぁっと口から鼻に抜けて、なんとも言えない甘味が口に広がって…

うん、夏の風物詩だよな！まぁ、ここ最近は、有難いことに年中やってるけどな。



が、ウチは蕎麦と饂飩一筋（二筋？）でやってるんだが、他の店は夏場になると冷やし中華を出し始めるんでさぁ。

「冷やし中華始めました」って張り紙がそこいら中に張り出されるわけだが、これが意外と効果あるようで。



そいでまた、「お前んとこはやらねーの？」って毎年言われるわけだ。

てやんでぇ、こちとら江戸っ子でぇ！中華料理なんて出せるか！

…って思ってたんだがよ。



この前、まかないでうちのかあちゃんが作ってくれたの食ってみたら…　あれ？結構イケる (*'-'*)

麺やツユ、具なんかも研究しだしたら、面白くなっちまってねぇ。



ようし！ここは一丁、オイラも初めてやろうじゃねぇか…「冷やし中華」ってやつをよ！



で、どうせ始めるなら、今年、他の店が始める前に、先陣切ってやってみようかな、って寸法さ！

まだ時期的には早えぇが、近年は５月あたりでもかなり暑いから、結構需要はあると思うわけよ。



ちょっと汗ばむ陽気の中。

ほんのり甘く、酸味の効いたタレに、麺が絡んで。

うち特製のチャーシューに、錦糸卵。キュウリにトマト。

ああ、ゴマだれもいいよなぁ。そいつを、一気に啜って…おおう、よだれが出てきたぜ！



さぁて、準備は、万端。

そしてオイラはみんなにこう伝えるのさ。



－ 「冷やし中華　始めました」　と　 －