エンドレスクラッシャー

こ

こはとあるゲームセンタ。

男が立ったのは、ポッ○ンミュー○ックの筐体の前。

コインを投入、男は静かに曲を選定した。

最高難度の曲を、最高ＬＶ難度でゲームを開始した。

「相当自信があるんだろうな・・・ｗ」

ギャラリーが少しずつ集まりだす。

曲が開始した瞬間に、周囲がざわめきだした。

「そんな、ばかな！？」

「お、オールパフェだと・・・！？」

「それだけじゃない！やつは、目を瞑っている！！！」

そう、固く目を閉じ、一切画面を見ずにたたき続けているのだ。

どんなに上手い人間だろうと、普通は楽譜を見ないでパーフェクトのみコンボで進むことなんて不可能だ。

完璧に楽譜を覚え、完璧な指捌きでなければ到底不可能・・・、それを、男はギャラリーの前で成し遂げつつある。

一曲、二曲とオールパフェフィニッシュを決め、最終曲を開始…、と思われた次の瞬間！

男は筐体に背を向けた！

そう！いわば完全記憶・前後左右逆転操作だ！

見る間につみあがっていくパフェコンボ。

後は大サビだけ・・・。

そのとき、プレイヤーが声を上げた。

「あ」

画面に黄色く光る〈ＣＯＯＬ〉の文字（パフェのひとつ下の評価）。

普通のプレイでも十二分な成績にもかかわらず男は悔しがっていたが、ここまで完璧なトリックプレイを見せ付けられた無数のギャラリーは、惜しみない賞賛の拍手を送ったのだった。