素人が強盗を取り押さえるなんて無理ですから！

「動くな！　全員、おとなしくしろ！」



突然、銃を手にし、覆面を被った男たちが飛び込んできた。

強盗だ！

カメオは慌てて両手を上げ、無抵抗をアピールした。

見れば、従業員も他の客も、同じように恐怖に顔を歪ませながら、両手をあげている。

銃口は油断なくカメオたちに向けられており、カメオに出来たのはただ祈ることだけだった。





客と従業員を壁際に誘導し、男たちがケースを乱暴に叩き割ると、途端に警報装置が鳴り響く。

しかし男たちは慣れているのか、慌てることもなく、商品のジュエリーを手当たり次第に麻袋に詰め込んでいった。



「よし、撤収だ！」



警報が鳴ってから、時間にして１分か２分。これは明らかにプロの犯行である。

素早く店を後にする男たちに、カメオ達数人がハッと我に返ってその後を追った。



しかし、店の外に出た時、既に男たちの姿はなかった。

遠くからクラクションの音が聞こえたことから、逃走用の車も用意していたのだろう。

その車もカメオからはすでに見えなくなっており、ナンバーも車種も確認できなかったことに、唇を噛んだ。









突然に訪れた恐怖の時間。

しかしカメオは後日、親しい友人にはこう語ったと言う。



「確かに怖かったけど・・・まぁ、悪くなかったな」



なぜだろう？