以下問題文
食事中の男。
彼が塩を一振りすると、
絶対に笑わないはずの女が笑みを見せた。
なぜ??
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この問題には解説を用意しておりません。皆様の質問がストーリーを作っていきます。
今回は、5質問につき1つを選定としております
以下のルールをご確認ください
【ルール】
#####要素募集フェーズ#########
出題直後から質問を受け付けます。
皆様から寄せられた質問の中から、出題者(滝杉こげお)が
15個、5質問につき1つを選定し、良質化します。
※良質としたものを以下【要素】と呼びます
※良質以外の者は「YesNo?どちらでも構いません。」とお応えします。こちらは解説に使わなくても可 です。
各要素を含んだ解説案をご投稿ください。
※また、矛盾が発生した場合や、あまりに条件が狭まる物はMC権限で採用いたしません。(矛盾の場合は前者優先)
矛盾例)田中は登場しますか?&今回は田中は登場しませんよね? 前者優先
狭い例)ノンフィクションですか? 不採用
狭い例)登場キャラは1人ですか? 不採用
狭い例)ストーリーはミステリー・現実要素ものですよね? 不採用
など
その後、選ばれた要素を取り入れた解説の投稿フェーズとします。
なお、一応要素が揃った後、まとめもに要素を書き出す予定です。
#####投稿フェーズ#########
解説投稿フェイズでは、要素に合致するストーリーを考え、質問欄に書き込んでください。
言葉遊び・とんでもネタ設定・超ブラック真面目設定などなどおすきなようにお創りください。
15要素あとから入っていることがわかりやすいほうがありがたいので、投稿される解説にはそれぞれの要素に対応する部分に番号を振ることをお勧めします。
また、質問欄への投稿になりますので、誰かの投稿中(複数質問に分けて投稿される方もいらっしゃいます)に割り込んでしまうことを避けるため、投稿解説が仕上がってから一度に投稿する、投稿解説の終わりには終わったことが分かるような言葉を付ける(「終」でも「了」でも「END」でも、終わりだと分かればなんでも構いません)ことをお願いいたします。
※説明が不十分な部分がありますが、過去の「正解を創りだす」もぜひご覧ください。
魅力のある銘作(迷作?)・快作(怪作?)等いろいろ先例がございます。
■時間割
・要素募集期間
出題~15個要素が揃うまで。
・投稿期間
15個揃ったあと~4月9日(日)23:59
・投票期間
4月10日(月)0:00~4月12日(水)23:59
そして今回は、以下3賞をご用意いたしました。
なお、見事シェチュ王になられた方には、次回の【正解を創りだすウミガメ】を出題していただきます。
■最も好きな解説に投票
・最優秀作品賞(投稿毎 別々にカウント)
・シェチュ王(投稿者毎 でまとめてカウント)
■最も組み込むのが難しかった要素(もしくは投稿してない人は、難しそうな要素)に投票
・最難関要素賞(最も票を集めた要素に与える賞)
なお、質問欄の文字数制限は全角300文字?のようです。
(でも編集すればもっとはいります。まあ、やや仕様バグ技っぽいのでいつか修正されるかもしれませんけど・・
あと、良質表示で大文字になることは覚悟お願いします。)
質問した人は、できるだけ正解を創り出すと投票にも参加いただけると盛り上がるかと思います。
通常の出題と違い、趣味丸出しで構いませんw言葉遊びも、お笑いが好きな人も、カニバが好きな人も、ミステリーだってOKです。
(まあ、要素的に難しいとは思いますがww)
今回もたくさんのご参加お待ちしております!
それでは~ 開始~
【新・形式】
結果発表!
蜂の巣に石を投げつけますか?
YES‼ 蜂の巣に石を投げつけます‼ [良い質問]
苦笑いますか?
YesNo?どちらでも構いません。
1万円札を燃やしますか?
YesNo?どちらでも構いません。
神はいますか?
YesNo?どちらでも構いません。
わんこは登場しますか?
YesNo?どちらでも構いません。
コーヒーをこぼしますか?
YesNo?どちらでも構いません。
闇の封印が解かれますか?
YesNo?どちらでも構いません。
砂時計が重要ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
お婆さんは重要ですか?
YES!! お婆さんは重要です‼ [良い質問]
男は田中でしたか?
YesNo?どちらでも構いません。
煙草に火をつけますか?
YesNo?どちらでも構いません。
外国へ旅行に行きますか?
YesNo?どちらでも構いません。
オレオレ詐欺に引っかかりますか?
YesNo?どちらでも構いません。
男は歌手ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
零点のテストを隠しますか?
YES‼ 零点のテストを隠します‼ [良い質問]
ガラスを割りますか?
YesNo?どちらでも構いません。
爪楊枝アートは重要ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
高そうな花瓶を割ってしまいますか?
YesNo?どちらでも構いません。
引きずり回されますか?
YesNo?どちらでも構いません。
お金を貸しますか?
YES‼ お金を貸します‼ [良い質問]
Gは重要ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
ペットボトルを振りますか?
YesNo?どちらでも構いません。
雪だるまはもう溶けましたか?
YES‼ 雪だるまはもう溶けました‼ [良い質問]
青汁を飲みますか?
YesNo?どちらでも構いません。
テレビに出ますか?
YesNo?どちらでも構いません。
かくし芸をしますか?
YesNo?どちらでも構いません。
パルメザンチーズは重要ですか?
YES!! パルメザンチーズは重要です‼ [正解][良い質問]
ヨーデルしますか?
YesNo?どちらでも構いません。
シールをはがしますか?
YesNo?どちらでも構いません。
3日後は日曜日ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
油は関係ありますか?
YesNo?どちらでも構いません。
宇宙飛行士は登場しますか?
YES!! 宇宙飛行士は登場します‼ [良い質問]
ノリノリですか?
YesNo?どちらでも構いません。
横断歩道を手を上げて渡りますか?
YesNo?どちらでも構いません。
癖は関係ありますか?
YesNo?どちらでも構いません。
カウンターを喰らいますか?
YES‼ カウンターを喰らいます‼ [良い質問]
バナナは腐っていましたか?
YesNo?どちらでも構いません。
目玉焼きにはソースをかけますか?
YesNo?どちらでも構いません。
出会い頭に頭突かれますか?
YesNo?どちらでも構いません。
お皿の上にはヘッドホンが乗っていましたか?
YesNo?どちらでも構いません。
鉛筆の芯が折れますか?
YesNo?どちらでも構いません。
着信履歴がありませんでしたか?
YesNo?どちらでも構いません。
霧が濃くなってきますか?
YES‼ 霧が濃くなってきます‼ [良い質問]
盗聴器が仕掛けられていますか?
YesNo?どちらでも構いません。
布団にくるまりますか?
YesNo?どちらでも構いません。
彼女はスパイですか?
YES‼ 彼女はスパイです‼ [良い質問]
雨漏りしますか?
YesNo?どちらでも構いません。
降水量は重要ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
イソップ物語は重要ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
地獄の帝王は関係しますか?
YesNo?どちらでも構いません。
隣の家で火事が起きましたか?
YesNo?どちらでも構いません。
セグウェイが破壊されますか?
YesNo?どちらでも構いません。
靴下に穴が開いていましたか?
YesNo?どちらでも構いません。
『この位置から叩き込むしかないッ!』ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
突然変異したペンギンが空を飛びますか?
YES!! 突然変異したペンギンが空を飛びます‼ [良い質問]
星が綺麗ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
スープなんて初めから飲む気がないですか?
YesNo?どちらでも構いません。
語彙力がないですか?
YesNo?どちらでも構いません。
SNSに潜む闇は関係しますか?
YES!! SNSに潜む闇は関係します‼ [良い質問]
塩酸が重要ですか?
YesNo?どちらでも構いません。
波が伝わってきますか?
YesNo?どちらでも構いません。
首が飛びますか?
YES!! 首が飛びます‼ [良い質問]
ブラックホールに吸い込まれますか?
YesNo?どちらでも構いません。
みんなが大好きですか?
YesNo?どちらでも構いません。
演奏会は見事に中止されましたか?
YesNo?どちらでも構いません。
ドミノ倒しの世界記録を更新しますか?
YesNo?どちらでも構いません。
二匹の狐が出てきますか?
YES!! 二匹の狐が出てきます [良い質問]
'Cause we were never being boring.ますか?
YesNo?どちらでも構いません。
素っ気無く返事しますか?
YesNo?どちらでも構いません。
礼が過ぎて無礼になってしまいましたか?
YesNo?どちらでも構いません。
落とし穴にはまりますか?
YesNo?どちらでも構いません。
猫がキーボードに乗りますか?
YesNo?どちらでも構いません。
キャンデーを噛み潰すタイプですか?
YesNo?どちらでも構いません。
振り返れば頼りになる友がいませんか?
YES!! 振り返れば頼りになる友がいません‼ [良い質問]
小麦粉を買いますか?
YesNo?どちらでも構いません。
要素の一覧はまとメモに書き出してあります。
一周回ってむしろまともでしたか?(すみませんミスです) [編集済]
YesNo?どちらでも構いません。
投稿に際しては、以下の点にご留意ください。
・解説の、各要素に対応する部分にその要素番号を振る
・質問欄への投稿となるため、割り込みを避けるために仕上がった解説を一度に投稿した上で、解説の最後に【完】や【End】など終了がわかる言葉をつける
・解説にはタイトルを付け、タイトルを解説本文とは別に投稿する
皆様の力作をお待ちしています。
【辺境の黄昏】
何かが壊れた世界と少女の話 [良い質問]
長文チェックミス [編集済]
ミスwwタードーナツ
【scene1‐a】
暖かい春の日射し―雪だるまはもうとっくに溶けてしまっていた(⑤)―私、和泉星華(いずみせいか)は高校の入学式を迎えていた。
私は元来、真面目な性格であった。
中学のころ、物理や科学といった理数科目に興味を持った。
理科は私の目には世界の神秘を解き明かす、魅力的でそれでいて蠱惑的なものに映った。
反対に国語は嫌いだった。学ぶ意義が見出だせなかった。
時には国語の試験で零点を取ったこともあった。
しかし、私の性格上、零点のテストを隠す(③)卑怯なことはしなかった。
【scene1‐b】
―「新時代生物開発機構」。
それが俺、近藤伸二(こんどうしんじ)の仕事場の名称。
俺が子どもの頃夢見てきた『宇宙飛行士(⑦)』って、職業はいつの間にこんなことになっていたのか。
「新時代生物開発機構」はどんな非人道的なことも「新時代の革命には犠牲がつきものだ」の一言で片付いてしまう。
最近では2匹の狐(⑭)が胴体だけ接合して頭は二つあるキメラや薬品を投与して突然変異させた空を飛び回るペンギン(⑪)が開発された。
ひどいときには人間のサンプルが必要だと言い、お婆さん(②)を生きたまま解剖することだってある。
連中に言わせれば「もう十分に生きた」からお婆さんならいいそうだ。
俺みたいな下っ端には「新時代生物開発機構」の目的がさっぱり分からない。
本当に俺が夢見て必死に勉強してやっとの思いでなった「宇宙飛行士」がこんな反吐が出る職業だったなんて。
【scene2‐a】
私は所謂優等生だった。勉強は理数科目に関しては断トツだったし、スポーツも万能、集団を纏めることや人前で話すことにも長けている。
しかし、私はどうやら他人の気持ちを推し量る能力はなかったらしい。
発端は高校の話にまで遡る。
内容はお金を貸した(④)、いや貸してない、といったよくあるトラブルなので割愛するが、もともと私を嵌めるつもりだったらしい。
私は知らず知らずのうちにその自身の能力から恨みをかっていた。
自分は孤高の花を気取ってた。
振り返れば頼りになる友達などいなかった(⑮)のだ。
【scene2‐b】
俺は宇宙から地球に帰ってきていた。「新時代生物開発機構」からは一刻も早くおさらばしたいと思っていたが、あいにく休暇は2週間。
そして、不穏な動きや研究内容を他人に口外したりすると即消されるだろう。
どこにも神経の休まる場所などない。
【scene3‐a】
徐々に私の立ち位置は悪くなっていった。
私についてあることないこと噂が広まり、参ったことにそれはSNSで拡散された。
私はSNSに潜む闇に触れた(⑫)ような気がした。
むしゃくしゃして蜂の巣に石を投げる(①)など普段の真面目な性格からは考えられない行動に出たりもした。
それほどまでに私の精神は疲弊しきっていた。
私の人生という道に深い霧がかかっていく(⑨)ようだった。
何もかもに絶望しきって行くあてもなくフラフラと道を歩いているとき、誰かとぶつかった。
慌てて謝ろうと私は声をかける。
【scene3‐b】
俺はどうしたら「新時代生物開発機構」から抜け出させるかを考え、そしてそれは不可能だ、という結論を導く、という思考をループさせていた。
思考に夢中になり前が見えていなかったのか、高校生ぐらいの少女とぶつかった。
慌てて謝ろうと顔を見やると……。
少女は絶望しきった目をしていた。
俺は直感で話しかける。
「どうしたんだい?」
【scene4】
星華と伸二は互いの境遇について語り合った。何故か、二人は直感で話すべきだと思った。
そして二人の出した結論が……。
「和泉さん、スパイ(⑩)にならないか?」
それは合理的な判断だった。
星華は理数科目が強いし、絶望の温床である地球から出て宇宙に行ける。
伸二は「新時代生物開発機構」の真の目的を暴けるかもしれず、あわよくばお役御免となるかもしれない。
2週間の休暇を終えて、2人は宇宙へ飛ぶ。
【scene5】
現実は甘くなかった。伸二はそれを痛感する。星華を自分の子どもの設定で親の職場見学とするには無理があった。
星華の目の前で伸二の首が飛んだ(⑬)。
それは職を失うという比喩でも冗談でもなく本当に伸二の首が飛んだのだ。
そして、星華は将来有望な人物として監禁された。
しかし、彼女がまともな生活を送ることはなかった。
特に厳しかったのが食事。
成長期の星華にとってまともな食にありつけないのは致命的で、置いてあったパルメザンチーズ(⑥)を監禁部屋にあるカウンターにかけてかぶり付き(⑧)飢えを紛らわした。
星華は絶望のどん底にいた。
【scene?】
星華の父親がホカホカ炊きたてのご飯に塩を振りかけ口一杯に頬張る。
その様子を幼い星華と母が見つめる。
家族団欒を絵にかいたような生活の一片。
星華は狭く暗い、地球ではない異境で、もはや光の宿っていない目で笑っていた。
【要約】
星華は絶望しきっていたので笑わないはずだが、幼い頃の父親がご飯に塩をかける記憶を見て笑った。
※これは、フィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
[編集済]
全編通してダークチック。よくまとまっています。
『南アフリカにて』――アンドロイドと少女 第2部
1
「まだこんなところが残っていたなんてね」
自然保護区。
アイリーンと私が訪れたのは、そんなふうに呼ばれた場所であった。
世界政府の魔の手から逃れることが出来た『幸福の地』だと、アイリーンは呼ぶ。
「何もかもが同じだなんて詰まらないとは思わないかい?」
「思います」
「思います、ね。シェリル。君の発言も同じものが多いから気をつけると良い」
「アイリーン、あなたも同じことを何度も言っています。その注意はあの日から八十四回目です」
参ったな、とアイリーンは苦笑した。
あの日。私とアイリーンが世界政府から逃亡を決めた日。私が初めて人間らしい感情というものに気がついた日。そして私が人間ではないのだとハッキリと自覚した日。
南アフリカ。
脳内で検索をかけてみる。国の歴史から主婦のブログまで様々な情報が流れこんだ。
〈プロテクト/拒絶主体:0/プロテクト解除〉
データをいくら削除しようが、残滓めいたものはインターネット上に残る。それはいくら清潔にしようと菌が身体に付着したままであるように、とうてい消し去ることは出来ない。強力なプロテクトがかけられていようが閲覧することはいくらでもできた。アイリーンが私のコンピューターをいじったあと、私は政府の機密情報ですら自由に見ることが出来た。
ただ、どうでも良いような内容の(たとえば、パルメザンチーズを使った料理の作り方など)ものまでもプロテクトがかかっていて、かかっていないものなど殆どなかった。……⑥
「『文化的なもの』を否定すると、ご覧の通りの有様なわけだよ。文化のない生活なんてありえない」
ため息混じりに言うアイリーンの言葉に「そのセリフはあの日から二一回目です」と返し、ネットワークとの接続を切断する。インターネットにつなげたまま会話すると、アイリーンの機嫌を損ねた。
「君のやっていることはね、大昔に『ながらスマホ』と呼ばれたものと同じだ。私と話すときくらい私と向き合いたまえ」
とのことだった。それは嫉妬ですか、と訊ねるとアイリーンはしばらく無言だった。
「それにしても、南アフリカでは雪なんて降るのかい。凄く暑いと昔の文献で読んだが」
「南アフリカで雪が降ったというデータは二三〇三年以前は見当たりませんが」
「データが古すぎたな」
目の前には雪原が広がっていた。吹雪が顔に吹き付ける。
「寒い」
震えるアイリーンは顎のあたりまで服の襟を持ち上げ、首を覆う。
「はい。バッテリーが最大限に稼働しています」
「身体を交換しないかね」
「よろこんで。私も人間というものを経験したいです」
「良いものじゃない」
吐き捨てるかのようにアイリーンは言う。「大昔からそうだ。SNSサイトを君の権限で閲覧してみろ。碌でもないものが多いだろう」……⑫
検索をかけると罵詈雑言の波が頭を満たした。私は肩をすくめていう。
「たしかに人間は良いものじゃないかもしれません。しかしアンドロイドも良いものじゃないとお答えしましょう。もちろん、あなたに作っていただいた幸福、そしてあなたと出会えた幸福を忘れはしませんが」
2
わたし、ベアトリックス=ジョーダンはいたずらっ子だったのだという。だったのだという、というのは周囲の人間が言うから「ああ、そうだったんだな」と思うだけだからで、つまり自覚はなかったのだ。
蜂の巣に石を投げては、あるいは零点の答案を隠しては、祖母にとんでもない勢いで叱られた。……①②③
「死んだお前の親が悲しむよ」
というのが殺し文句で、それを言われるとわたしは弱かった。だが、生まれきっての性というものは直るものではないらしい。祖母は息を引き取る間際、
「実はお前の父さんも、お前と同じようないたずらっ子だったんだよ」
と告白をした。「ありがとうね、ベア。その名が示すとおり、幸福になりなさい」
「お婆ちゃん、貸していたお金、返してもらってないよ。タバコを買うお金を貸したでしょう」
そのとき泣きそうになりながら、わたしは言った。「返してもらうまで死んでもらっちゃ困るのに。死んでも取り立てるからね」……④
この冗談に口元をかすかに歪めた祖母は、周囲の人間によれば「幸せそうな死に顔」なのだそうだ。霧の濃い夜。家に戻ったわたしの頭の中に「幸福になりなさい」という祖母の遺言がこだました。いったい幸せとは何なのだろう?……⑨
わたしは祖母の死後、笑うことができなくなってしまっていた。育て親を失ったショックというのは想像以上に心に響くらしい。それを見かねた友人が代わる代わるに電話をかけてくれているのだ。恵まれているとは思いながらも、どこかうっとうしいと思う自分がいた。そんな醜い自分の感情がわたしを更に憂鬱にさせた。いつの間にかわたしの周りからは友人がいなくなっていた。……⑮
来客を知らせるインターホンが鳴る。女性の二人組がカメラの前にいた。
「どなた?」
「少し迷ってしまいまして」
と抑揚のない声で片方の女性が言った。彼女はまるで人形のような美しさで、月の光を受けていた。雪原が後ろで広がっている。雪狐が追いかけっこをしているのがカメラ越しに見えた。……⑭
見たことのない顔だ、とわたしは焦点を来客に戻してから考える。
ここは広いとは言っても、入ってくる人間というのは限られている。いや、おそらくこの村には知り合いしかいないだろう。外観保持のためにわたしたちの家は一列に並べられている。それは蟻の群よりも統率のある、しかし意思のまるでない、人工的な自然だった。
だが、とわたしは思う。
わたしが死んだところで誰が悲しむというのだ?
3
「ここは資本主義なんですね」
とアイリーンが英語でベアトリックスさんに言った。買い物の最中である。「外の世界は共産主義なんです」
「きょう……何ですって?」
「共産主義。皆が同じものを支給されているんです。娯楽用品もすべてね」
「すべてのものを支給されたら、家がパンパンになっちゃうわ」
「食物と家具、それからごく僅かな装飾品以外はすべてコンピューター内で支給されるんです」
「折り紙とかはないのかしら」
「資源の無駄ですから、いずれ破棄するものは支給されません」
さんざん世界政府を批判した結果として追放される形になったアイリーンは怖いものなしだった。追放といっても国外に追い出されるわけではない。なんせ国なんてひとつしかない。追い出すも何もないのだ。では何処からかといえば、この世からである。「破棄しないと誓約をし申請が通れば支給されます」
徹底した共産主義は家畜のようだと、アイリーンは顔をしかめる。いったい何故アイリーンが積極的にこんなことを教えているのかというと、これも世界政府への健気な抵抗なのだという。いわく「政府の努力を無駄にすることほど楽しいことはない」のだそうだ。だが、本当はこのベアトリックスさんの知的好奇心を満たしてやることで、アイリーンも満たされているのだろう。彼女は話したがり屋で、相手のリアクションを楽しんだ。わたしとはもう何年も付き合っているから話のネタというのも決まってしまっている。こうして人と話せるというのは斬新な経験なのだろう。何せ外ではどこに『耳』があるか分かったものではない。
ベアトリックスさんの家にお邪魔して、三日が経った。政府関係者による身辺の『チェック』はちょうど私たちが訪れる日の昼にあったため、残りの四日ほど猶予があった。当日になってモタモタしていては逃げ遅れるから、その前の日にはお暇する予定ではあるが。
「……そんな話は、ペンギンが突然変異して飛び出すことと同じくらい現実味がありませんよ」
私はアイリーンの話が聞き取れなかったが、彼女が冗談を言っていることは分かった。しかしその最中に、ベアトリックスさんが愛想笑い以外で笑うことはなかった。
それはそうと。
「アイリーン、現実にペンギンが突然変異して羽ばたいた事例が、二〇九一年に観測されています」……⑪
私が茶々を入れると、アイリーンは頬をふくらませて言った。
「知っている」
嘘だった。アイリーンには嘘をつくときに、人差し指を小刻みに動かす癖があった。「確率は低いが実際には起こるかもしれない、という話だ」
そのとき、ベアトリックスさんはかすかに笑った。アイリーンは気が付かなかったようだが愛想笑いではない〈表情分析/笑い〉に分類されるものの種のような表情だった。私はベアトリックスさんに訊ねる。
「何の話でしたか?」
「アイリーンさんが『外』のスパイなんじゃないかって」……⑩
「おや、実際に起こるかもしれない話だったんですね。アイリーン、私は知りませんでした」
ふてくされたようなアイリーンを尻目に、私とベアトリックスさんは目配せをして笑いあった。紛れもない笑顔だった。
「祖母が死んでから」
とベアトリックスさんは言った。「たくさんの人がわたしに電話をしてくれました」
話したがりのアイリーンもこのときは空気を読んで静かだった。
「でも、どれも気遣うような内容ばかりで、つらいでしょう、悲しいでしょう、笑えないでしょう、……そんなことを言われている気分でした。確かにつらく、悲しく、笑えなかった。でもいつの間にか、そういう状態にならざるを得なくなっていたんです。
「あなた方は違いました。これは責めているわけではなくて――純粋に、お礼を言いたいんです。もちろん知らなかったというのが多いんでしょうけど――何だか、笑って良いんだって思えました。馬鹿ですよね、わたし。もっと気づく機会はあったはずなのに……」
ぽつりぽつりと言う彼女の目には、私にはない涙が浮かんでいた。〈表情分析/後悔・笑い〉。こういった感情が入り交じった状態を私は理解することができなかった。嬉しいなら嬉しい、悲しいなら悲しい。私にも感情があるとアイリーンは太鼓判を押すが、複雑な感情を出力することはできなかった。
買い物から返るとアニメがやっていた。宇宙飛行士となることを夢見た少年が宇宙飛行士となり、異国の人間と友人になるアニメだった。
「大昔なら宇宙怪獣と戦うべきシーンだったんだがな」
とアイリーンは言った。「大昔はそんなアニメばかりだったんだ。宇宙といえば怪獣だ。首が飛ぶ描写だってあった。そんなのを見たって私はこの通り、正常だ」……⑦⑬
世界政府批判を続けるアイリーンに、私とベアトリックスさんは同じことを思ったに違いない。残虐なアニメを見ても正常でいられると仰いますが、あなたを見たら世界政府は勝ち誇って「ほら見ろ」と言うことでしょう、アイリーン。
それからの数日はあっという間に過ぎた。ベアトリックスさんは、私がバーカウンターをかじってもアンドロイドだということを信じなかったが、最終的にはアンドロイドであると認めた。……⑧
「でも」とベアトリックスさんは言う。「あなたは人間だわ、紛れもなくね」
私たちは最終日に雪だるまというものを作り、ベアトリックスさんは「一生取っておくわ」と笑った。「不格好だけどね」
「本人の性格が出ていますね」
と、私がアイリーンを見て笑うと、アイリーンは拗ねたように私たちから目を逸したのだった。
4
「それはね」
とわたしは夫となった人に言った。「突然変異したペンギンが飛び始めるくらい……」
夫は笑って、目玉焼きに塩をふりかけてくれた。『外』と村を分離する海の存在をそれに感じたわたしはあの奇妙な二人組のことを思い出して、目玉焼きを口に運ぶ。
「じゃあ片付けるわね」
皿を洗って、昼食は何にしようかと考えて冷凍庫を探った。何度も冷凍庫を開け閉めしているうちに、雪だるまは小さくなっていた。もう春が来たのだと、わたしは思った。……⑤
〈了〉
[編集済]
世界を回る二人を見て、少女は何を思うのか。 [良い質問]
【青から始まる】
失われる平穏。それでも少年は前に向かう。 [正解][良い質問]
世界は一面の青色だ。
潜水服を通して感じる水の冷たさ。
身体全体を覆う浮遊感。
吸い込まれる息と吐き出される泡の音。
「地球は青かった」とは宇宙飛行士【7】の言葉。
今の私と同じように、彼も世界を眺めていただろう。
足ひれで水をかき分けながら、私は青い世界を進む。
しばらくして、お目当ての彼らに辿りついた。
自由自在に空を舞う鳥たち。
否、空の代わりに海を飛ぶ、ペンギンの群れだった。
彼らの存在は、私の常識も価値観も根底から覆した。
鳥の癖に翼を持たず、鳥の癖に海を泳ぐ、突然変異の塊【11】。
しかし彼らにとっては海が空であり、当たり前に海を飛ぶ。
そして世界はそれを当たり前に受け入れている。
そのことを理解した瞬間から、私の人生は始まったように思う。
山に囲まれた小さな国の小さな村に、私は祖母【2】と二人で住んでいた。
空気はいつも冷えていて、雪が解けるのは年に2、3か月ほど。
夕方から夜にかけて深くなる霧【9】が、窓越しの針葉樹の森を包み、蠢く化け物に見せる。
森に閉じ込められ、身を寄せ合うように並ぶ数十件の民家。それと小さな学校に小さな図書館。
実りは少なく、畜産や林業で細々と暮らす、薄暗く陰気な村だった。
その陰気さが私は大嫌いで、村ではとかくやんちゃに振る舞った。
蜂の巣に石を投げつけたり【1】。友達とそりの早駆けをしたり。山の洞窟を隠れ家にして、0点のテストやいたずら道具を隠したり【3】。
何かしら騒いでいなければ、村の陰気さに押し潰されて死んでしまいそうだった。
私は子供だったのだ。
暖かな毛布にくるまって、ぬくぬくと毎日を過ごしていた。
それを支えているのが何だったのか、気づこうともしなかった。考えればいくらでもおかしなことはあったのに。
会話の少ない祖母。写真も思い出話も出てこない両親。働いていないのにありつける食事。時折訪ねてくる金貸しの男【4】。
あれは、雪だるまが溶け切った【5】、短い夏の始まりの日。
落書きのための泥を運び込もうと、私は裏口からこっそりと家に入った。
そのまま居間を横切ろうとする直前、見慣れない黒いスーツの男が2人、表玄関から入ってきた。
「あらこんにちは。うちに何か御用ですか?」
祖母の声に顔を向けると、あの金貸しの男がテーブルについているのが見えた。
黒スーツの二人は祖母の問いかけに答えず、剣呑な表情のまま、
「SNS諜報部員【10,12】、『ツインフォックス』【14】だな?」
それだけ言った。
途端、祖母が信じられないような俊敏さで黒スーツに襲いかかった。
手も足も動きが全く見えない祖母。私はさぞ間抜けな顔をしていたと思う。
が、黒スーツの反応はそれよりも早かった。
これまた何をしたかわからないうちに、祖母は床に押さえつけられ気を失っていた【8】。
「助かったよ。あと2日遅かったら俺の首が飛んでたんだ【13】。文字通りな」
手際よく祖母と金貸しを拘束し、外から駆け付けた新手に二人を運ばせていく。
窓の向こう側で、家の周りをやじ馬が取り囲んでいるのが見えた。
黒スーツは村長に事情を説明しているらしい。いくつか言葉を交わした後、彼は周囲に大声で言った。
「孫役もここにいるはずなんだが、行方を知らないか?」
黒スーツの言葉は、真冬の空気よりも鋭く私を刺した。
その痛みのせいか、それとも本能か。
私の足は勝手に動いて、その場から逃げ去っていた。
がむしゃらに走って息が切れたころ、私は村を振り返った。
陰気な、でも何の変哲もないはずの風景は、一転して理解の及ばない異質な世界に変わっていた。
あたたかな寝床も、やんちゃをした日々も、友達も先生も知り合いもみんな、
遠いどこかに行ってしまったのだ【15】。
ぐちゃぐちゃになった頭で私は必死に足を動かした。
思えば、その時点で正気を失いかけていたのだろう。
野鳥の鳴き声がして、私は上を向いた。
暗闇に浮かぶ針葉樹の化け物が、私を見下ろしていた。
不気味な笑顔を浮かべ、異質な世界に取り残された私を嘲笑っている。
私は恐怖のあまり後ずさった。そして、
足を踏み外し、冷たい川へと落ちたのだった。
意識がうっすらと戻ってきて、最初に知覚したのは匂いだった。
湯気に乗って漂う小麦粉の匂い、バターの匂い、肉の匂い、それから、
あ、チーズの匂い。この香りはパルメザンだ【6】。
そう思った瞬間、瞼の裏に光が差し、私の意識は完全に引き戻された。
起き上がった私の視界に入ったのは、心配そうな顔をした中年の夫婦だった。
川岸で気を失っていた私を運んで来たらしい。
身体は冷えていたが、幸いなことに怪我はなかったと教えてくれた。
本来なら感謝を口にするべき二人を、私は警戒心むき出しで睨み付けた。
私を生かして助けたのは、あの黒スーツに引き渡す為ではないか。そう疑心に駆られたのだ。
幸い二人は私の態度に気を悪くしなかった。
むしろ気遣うように、女性が器に盛ったシチューを渡してくれた。
未だ警戒を解こうとしない私に男性は笑いかけ、毒など入っていないと言わんばかりに大口を開けてシチューを頬張る。
が、どこか微妙な顔をした後、彼は言った。
「ん~? 何か薄いな。塩足りないんじゃないか?」
そして、手元の小瓶を取り、中に入ったピンクの砂のようなものをシチューに振りかける。
疑問符を浮かべる私に気づき、男性は中身を教えてくれた。
「ああ、これは藻塩っていうんだ。海の藻から取り出して作った塩だよ。
何を隠そう、俺の手作りなんだぜ」
その一言で。
私の目から涙がぼろぼろ溢れ出た。
泣いているのに口元は嬉しくて笑っている【問題文】。
そんな私に、夫婦はおろおろとしつつ背中をさすってくれた。
海。海。私の国にはなかったものだ。
あの恐ろしい世界から私は逃げ出せたのだ。
私は生きている。生きている。泣き笑いながら、心の中でそう繰り返した。
それから私は、夫婦の養子になった。
私はそれまでの事を何も覚えていないと言い張り、
父も母も何も言わず私をそばに置いてくれた。
父と母は、色々なことを私に教えてくれた。
貝や魚を使った料理の仕方。髪を可愛らしく結い上げる方法。漁船の乗り心地と船酔いの対策。
そして、海について。
海は毎回、新たな驚きと興奮を私に届けてくれる。
これから先も、私を飽きさせることなどないのだろう。
「世界は青かった」これは私の言葉。
うん、青い。青くて美しい。
【了】
[編集済]
心理描写が掘り下げられておりGOOD。読みやすい語り口でした。 [正解]
「目指せ!料理上手男!」
隠し味は愛情‼ 男のかわいい奮闘記。 [良い質問]
男は有名宇宙飛行士としてこれまで数々の研究を行ってきた。(7)
例えば遺伝子組み換えにより突然変異をさせたペンギンを宇宙で飛ばすことや濃くなってきた霧を宇宙上で雲と気圧を意図的に操作させて消すことに成功してきた。(9)(11)
また地球上でも生物学者としてすでに溶けてしまった雪だるまや予め首を飛ばした2匹の狐を宇宙の星から得たクローン用細胞で復活させることに成功してきた。(5)(13)(14)
そんな男はやがて、元スパイの女と結婚することになった。(10)
彼女はかつてカウンターとしてやってきた敵国のスパイを、殴られながらも最終的に全員ぼこぼこにして倒したり、5km以上先にある蜂の巣を石でピンポイントに投げつけて落としたりするなど身体能力が恐ろしくすぐれており、全世界のスパイにその名が知られていた。(1)(8)
が・・・・・男は1つだけとてつもない欠点があった。それは彼は究極の味音痴であったことだ。
例えば、彼はよくさんまの煮つけにパルメザンチーズを大量にかけてそれを「おいしい」と思って食べることがよくあった。
さらに彼の味音痴エピソードはそれだけではない。彼は同僚の宇宙飛行士の誕生日にケーキをふるまうことになったのだが、ケーキに大量のハバネロパウダーを練りこんで友人に食べさせてしまった。
それがきっかけでかつてはお金の貸し借りをよく行うほど仲の良かった友人は彼からだんだん疎遠になり、気が付いたらかつては頼りになっていた友人は彼と絶交してしまった。(4)(15)
それでも自分が味音痴であることに全く気が付いてなかった男。しかしある日、自分が味音痴であることを自覚する日が来た。
きっかけは彼が妻のSNSの裏アカウントを見つけてしまったことであった。そこにはこんなことが書かれていた。
「私の夫の料理は絶望的なほどまずい。はあ・・・どうしたら離婚できるかしら。それどころか殺したいぐらいだわ。」(12)
彼はこの書き込みにショックを受けた。そして自分が食事を作った時、彼女がいつも笑わずに暗い顔をして食べていたことを思い出し、自分が味音痴であることを自覚することになった。
しかしながら、このことに気づいたからと言って彼の味覚はすぐに変わるものではなかった。何せ小学生の時は家庭科のテストでいつも0点を取り、それを隠すのが当たり前の生活を送っていたのだ。(3)
どうすれば妻の愛情をとりもどせるだろうか。彼は悩んだ。
そこで彼は義母であり、料理研究家として有名な妻の母に相談することになった。妻の母は今や70歳を超えているものの、その味覚は確かだ。(2)
こうして男と義母との特訓が始まった。調味料や包丁の使い方など基本的なことから、クリスマスケーキや懐石料理のフルコースなど多種多様な料理を作ってきた。
はじめのうちは義母は彼のあまりの味付けに卒倒していたものの、彼の料理が上達するごとに文句を言わなくなっていた。
やがて、妻の誕生日が来た。彼は肉が大好きな妻にステーキをふるまうことになった。
妻は心配だった。かつて彼は塩と砂糖を間違えて大量の砂糖をステーキにかけてしまい、とてもまずくて食べられないステーキを作ってしまったことがあったからだ。
そして、彼が妻にステーキをふるまうときがやってきた。
妻はあまり甘いものが好きでないことを知っていた彼は、塩の瓶を取り出すと、妻の食べるステーキと、自分の食べるステーキにそれぞれ一振りした。
その瞬間、妻は驚いた。そこに、かつての料理ベタで味音痴な男はいなかった。
妻は初めて食事の時間に笑い出した。そしてステーキをひときれ食べてこう言った。
「おいしい」それは彼女の嘘偽りのない言葉だった。
それ以来、彼の味覚は正常なものになり、妻のSNSに彼の愚痴が書かれることはなくなったという。(終)
[編集済]
要素が過不足なく使われ、文ごとのつながりも自然です。内容もほほえましく、笑顔で読ませていただきました。
雑談欄の「出題者にのみ表示」機能で最も好きな解説(タイトルorその解説の始まりの質問番号をお書きください)と最も組み込むのが難しかった要素(要素の番号(質問番号ではありません)をお書きください)を投票してください。
なお、要素募集や解説投稿に参加していない方も投票いただけます。
投票先はまとめも参照!!
解説:??(質問番号)【???(タイトル)】
要素:要素?番
皆様ご参加ありがとうございました!
まずは最難関要素賞です。
最難関要素は……
綾太郎さんの「パルメザンチーズは重要です」です!!
綾太郎さん、おめでとうございます!!
食材の扱いに苦心された方が多かったようです。
続きまして、最優秀作品賞です。
今回は皆様が一作ずつの投稿なのでこの賞の受賞者がシェチュ王となります。
最優秀作品賞は……
生姜蜂蜜漬けさんの【青から始まる】です!!
生姜蜂蜜漬けさん、おめでとうございます!!
5票中3票獲得という圧倒的強さでした。
また、生姜蜂蜜漬けさんは次回の創りだす出題をお願い致します。
さて、第47弾の創りだすもそろそろお開きの時間となりました。
ご覧下さった方も、ご参加いただいた方も、皆様ありがとうございました。
さて、ここからは恒例の出題者解説です。
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「働かざる者喰うべからず」
超就職氷河期。
人類の仕事の80%を人工知能が担うようになった現代。若者たちの就職難は深刻な社会問題となっていた。
飯喰(いいばみ)カメオ。彼もまた、就職難にあえぐ若者の一人。食うためにお金を借りるが【要素④】返す当てもなく、日課は蜂の巣を見つけては石を投げ【要素①】はちみつを摂取する日々。
そんな彼が最後の希望としてやってきたのは『宇宙飛行士採用試験場』【要素⑦】。
SNSで募集されていた新惑星『ラテシン星』の調査員を募る試験。怪しい【要素⑫】と思いながらも俺には養わなければならない祖母もいる【要素②】。賭けるしかなかった。
「おう、お前も来たのか」
試験会場でばったり会ったのは親友の久比桐(くびきり)ラテオ。彼も試験参加者の一人だ。
『第一プログラム、筆記試験を開始します』
アナウンスがかかり、皆が席に着く。ラテオはちょうど俺の後ろの席になった。
『ラテシン星では連れていかれたペンギンが突然変異し空を飛ぶ【要素⑪】ような奇怪な星です。探索には相応な知識が必要となります』
配られる回答用紙。
「……分からん」
当然だ。一昨日試験の存在を知った俺に準備の時間はなかった。
くそ、いったいどうすれば。
そう考えたとき、コツン、と。
俺の頭に何かがあたり、膝へと落ちた。不審に思われないようあたりを見回しそっと、膝へと手を伸ばす俺。
つかんだ物を広げると、そこには数字の羅列が。ラテオが回答をメモして俺に知らせてくれたのだ!
ラテオ、お前ってやつは。
俺が心の中で感謝を告げると同時に、ヒュン、と。俺の首の横を何かが通り過ぎる。
思わず後ろを振り返るとそこには頼りになる友の姿はなく、彼の首だけが中を舞っていた。【要素⑬,⑮】
突然の事態に困惑する俺。物が飛んできた方向に目を向けるとそこには女が一人立っていた。
「不正には死の罰を」
どうやら彼女がスパイで【要素⑩】、参加者に紛れ会場内を観察していたようだ。
「でも困りました。カメオさん、でしたっけ? あなたの処罰はどうしましょう」
彼女は突如手の中に生成された氷の刃を俺に向けゆっくりと近づいてくる。
なんだ、この状況。どうなっているんだ? 俺はない頭を絞り必死に考える。
女からは冷気が漏れ出しており、周囲には温度低下により霧が立ち込め始めていた。【要素⑨】
「あなたは間違いなくカンニングペーパーを受け取った。けれどもそれは後ろの男が勝手に行ったことであるように私には見えた。つまりあなたは見方によっては被害者。このまま試験を続けてほしいところだけどあなたはそのカンニングペーパーを見てしまった。これではあなたは満点を取ってしまう。試験を続けられない」
無表情に彼女は続ける。カンニングペーパーの内容なんて覚えていない。俺は無意識に白紙の回答用紙を隠す【要素③】
「ならこうしましょう。あなたには実技試験を受けてもらう。その結果次第で合否を判断する。それでよろしくて?」
情けなく首をコクコクと縦に振る俺。この状況、相手の機嫌を損ねるわけにはいかない。
「ではあなたに『ショク』を与えます」
俺の手の甲に『喰』の字が浮かぶ。
「それがあなたの異能。すべてを喰らい、食をつかさどる『喰』の力」
女はさらにゆっくりと俺に近づきそして、通り過ぎる。
俺が振り返るとそこには雪だるまが。
「彼、お友達なのでしょう? 幸い私は『氷』使い。彼の首をはねた瞬間、全身くまなく細胞の一つ一つまで凍らせたわ。傷もついでにふさいでおいた。危ない状態ではあるけれど、今処置すれば助かる」
俺は混乱していた。そして『喰』の能力で塩を生み出すと雪だるまになったラテオめがけ振りかけた。
「その程度の塩で氷を溶かそうと? 無理だわ」
今まで無表情を崩さず、笑うことはないと思われていた女が初めて笑顔を見せる。
けれどもそんな女に構わず俺は氷を溶かすため雪だるまに塩を振り続ける。
「溶かさない方がいいわ。それは彼の命をつなぐ生命線。リミットはあと1時間。それまでに『ヒョウ』議員の一人、『兵』を倒せれば試験は合格。あなたの友達の命も助かる」
女の言葉に俺は動きを止める。助かる? この状態のラテオが?
にわかには信じられない話であるがさっきの女の能力に、俺に目覚めた異能。もしかすると。俺はそのわずかな可能性に賭けることにした。
~~~~~~~
「ようこそ、僕の『兵』たちはすでに臨戦態勢だ」
男――坤 艮(ひつじさる うしとら)は、自身の手の甲に書かれた『兵』の字を掲げそう宣言した。
「カメオ、準備はいいかしら?」
『氷』使いの女――氷柱(つらら) ラララは、その力により会場内を氷で密閉空間へと変えていた。これで逃げ場はない。彼女は横にたたずむスノーマン姿のラテオに体重を預けこちらを見ている。ラテオの命は自分が握っている。その眼はそう語っているのだろう。
ウシトラと俺の視線が重なる。時間はない。俺はすぐさまウシトラめがけ跳びだした。
「即席兵(アニマライズ)、触手(ワーム=アーム)」
男の左腕が軟体動物のようにグネグネとうねりだす。
『氷』使い――ツララは言っていた。ウシトラの能力は無生物を生物に変え、操る力だと。
ウシトラの触手が近くにあったカウンターにまとわりつくと、それをおもむろにこちらに投げてよこす。
「強喰(メガ・バイト)‼」
能力によりカウンターを喰らう俺。【要素⑧】カウンターは俺の口の中に吸い込まれていく。
「『喰』、いい能力だ。僕の能力、『兵』の次ぐらいに」
ウシトラが右手を突き出すと、突如その拳が犬の顔に変わる。
「即席兵(アニマライズ)、忠拳ケルベロス‼」
犬の顔となった拳が文字通り唸る。するとその口から火が噴かれる。
「うわっ」
慌てて横によける俺。そこに触手による追撃が襲う。
「凶喰(ギガ・バイト)‼」
その腕に食らいつく俺。しかし、ちぎれた傍から触手は再生していく。
俺が喰うことができるのは固体、液体、気体のみ。プラズマや、ケルベロスの吐く炎を飲み込むことはできない。
ウシトラの攻撃により徐々に追い詰められていく俺。
「さあ、これで仕上げだ。即席兵(アニマライズ)、狐憑き(きつねつき)‼」
先ほどのカウンターの残骸が2体の狐を象る。【要素⑭】3対1。絶望的な状況だ。
ごめん、ラテオ。せめてお前だけでも助けられれば……
氷を溶かすイメージ。それが俺に起死回生の策を与える。
「逃げ回るばかりか? これで終わりだ‼」
ウシトラの攻撃を必死で交わしていく俺。仕込みは完成した。
俺は向かってきた狐に向かい粉チーズ【要素⑥】を投げつける。
視界を奪われた狐は互いにぶつかり転がる。けれどもすぐに戦線に復帰してくるだろう。
ウシトラにも焦りの色は見えない。
狐を失ったウシトラ。触手も先ほど俺が喰ったイメージが残っているはず。
つまりウシトラの選択するであろう攻撃は……
「焼け死ねえええ‼」
犬の頭が口を開く。今だ‼
俺は大きく空気を『喰らう』と、一気に喰らった空気を吐き出す。
空気は戦いの中で床に積もった粉チーズをすべて舞い上がらせる。
密閉された空間、舞う粉チーズ、そして炎。
――ダーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
粉塵爆発によりすべてが吹き飛ぶ。
「カメオ、カメオ‼」
ラテオの声が聞こえる……ラテオ⁉
起き上がるとそこにいたのは目の周りを赤くし泣きはらすラテオの姿。
あの時、俺は咄嗟に床を喰らい地面へと退避していた。
どうやら火傷は負ったみたいだが死は免れたようだ。
こうして俺の初陣は終わった。あとで知ったことだが俺はラテオとともに宇宙飛行士に採用されたそうだ。宇宙にはまだ未知の生命体が潜むという。俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ。
【完】
要素② お婆さんは重要です
要素③ 零点のテストを隠します
要素④ お金を貸します
要素⑤ 雪だるまはもう溶けました
要素⑥ パルメザンチーズは重要です
要素⑦ 宇宙飛行士は登場します
要素⑧ カウンターを喰らいます
要素⑨ 霧が濃くなってきます
要素⑩ 彼女はスパイです
要素⑪ 突然変異したペンギンが空を飛びます
要素⑫ SNSに潜む闇は関係します
要素⑬ 首が飛びます
要素⑭ 二匹の狐が出てきます
要素⑮ 振り返れば頼りになる友がいません
【作品一覧】
77【辺境の黄昏】 ロゴス=バイアス
80 『南アフリカにて』――アンドロイドと少女 第2部 KUZUHARA
81 【青から始まる】 生姜蜂蜜漬け
83 「目指せ!料理上手男!」 まりむう
「Goodスープ認定」はスープ全体の質の評価として良いものだった場合に押してください。(進行は評価に含まれません)
ブックマークシステムと基本構造は同じですが、ブックマークは「基準が自由」なのに対しGoodは「基準が決められている」と認識してください。