ぼくの勝ちだね

前々からおかしいなとは思っていた。



この間兄が弟にマリオブラザーズを教えているのを見たとき、

こんなことを言っているのが聞こえたのだ。



「ねえお兄ちゃん、これってどっちがマリオなの？」

「は？お前何言ってんだ、こっちの背が低い方に決まってんだろ。赤い帽子っつったらマリオじゃん」

「あぁ、そうなんだ。でも･･･赤いって言っても、これって色はどっちも茶色じゃないかなー？」

「？？･･･まあいいや、続きやろうぜ」



もしやと思い、俺は二人にゲームを促した。

こんなことはしたくなかったが･･･「色覚障害を確かめるための」ゲームだ。

それ自体は簡単なもので、シートに丸が六つあり、丸の中に色でぼかされた数字がちゃんと見えたら正常。



･･･ただし、最後の一つ以外の。



六つのうち、最後の一つだけはトラップ。

つまり、「色覚障害者にしか見えない数字」なのだ。



本来なら答えられない数字を弟は答えた。

弟は恐らく色覚障害。これから病院に行って、

これからの人生について色々なことを伝えられるだろう。



だからなんだ。

人とは違う景色が見えたって、

目には見えない色んなモンを俺が教えていくだけだ。