少しくすんだ骨董品が、ほこりのかぶったままに、雑然と並んでいる。
誤植まみれの聖書、ピンク色のカッパのミイラ、塩の味がする砂糖、ひび割れ続ける壺……などなど。
曰く付きの品からガラクタまで、所狭しとひしめいていた。
今日売れたのは、【目には見えない腕時計】。
腕につけると全く見えなくなるという、おおよそ使用にたえない腕時計。
買った男はこれは便利だと喜んだ後、ある事に気づいて絶望したそうな。
いったい何があったのかねぇ?
その男は馬鹿ですか?
no 重要ではありません
男は腕につけてから絶望しましたか?
no つけてからしばらくしてからです。 [良い質問]
盗みは重要ですか?
no
目に見えなくなったので、腕から外せなくなりましたか?
yes! キーワードの一つが出ました! [良い質問]
ぶつけることは重要ですか?
no
腕時計全体が,誰からも見えなくなりましたか?
yes [良い質問]
つけると触ってもわからないですか?
yes [良い質問]
時計が消えるのではなく、着用者の視力を奪う呪いのアイテムでしたか?(デロデロデロデロデーデン
now
そもそもつけた男そのものが見えなくなりましたか?
no
眼に見えないので、時間がわかりませんか?
no 時間は正確にわかるのです。 [良い質問]
眼に見えないので、そもそも腕にはめることができませんか?
no 腕時計は腕にはめてから見えなくなりました。 [良い質問]
音声で時間を教えてくれる時計ですか?
no
門限をもう無視することができなくなってしまいましたか?
no しかし、発想は近いです [良い質問]
取り外せないことに気付いて絶望しましたか?
yes! [良い質問]
電池が交換できない(ネジがまけない)ことに気が付きましたか? [編集済]
no
その腕時計は、防水仕様ですか?
yesno 重要ではありません
男がその腕時計を便利だと思った理由は関係しますか?
yes
寝ようとしても時間が頭に入ってきて気が散って眠れないのですか?
yes! それのさらに迷惑な状態になりました [良い質問]
脳に直接時報が鳴る時計でしたか?
no しかし、20と合わせて正解とします [正解]
17より いちいち確認しなくても時間が分かるため、便利だと思いましたか?
yes 19と合わせて正解とします [正解]
腕時計の示す時間は正確でしたか?
yes
鳴ったアラームを止めたくても止められないのですか?
no
腕時計が遅れても時間を合わせられないから、間違った時間が頭に入ってきますか?
no
腹時計は関係ありますか?
no
18 ゲームのように視界に時刻が表示されるものの、画面端にしたり消したりできず、人と話していても車の運転中でも原子炉操作中でも目の前にデカデカと表示があるため生活に支障がありましたか?
no
海亀骨董店の看板を見た男は、首を傾げながら店内に入った。
男はかびのにおいに少し気後れしながら、寂れた店内を見回す。
誤植まみれの聖書、ピンク色のカッパのミイラ、塩の味がする砂糖、ひび割れ続ける壺…。
雑然と並ぶそれらに、男は興味をそそられたが、ひときわ目を引いたのはとある時計だった。
「【目には見えない腕時計】?」
見えるけど。と男は思った。なんの変哲もない、古ぼけた腕時計だ。しかし、文字盤には秒針も何もない。
「針が見えないってか?」
ためつすがめつ見てみても、やはり時刻を指す針がない。透明の針か、その影が、時刻を指すわけでもないようだった。
しかし不思議と男は、その腕時計を気に入った。なぜか言い表せない魅力を感じたのだ。
「買おう」
店の奥には、寝てるのか起きてるのかすらわからない、枯れ木みたいなか細い老婆がいた。店主らしかった。
男は金を払い、店を出た。さっそく、腕時計をしてみた。
「うおぉ?!」
その瞬間、腕時計が消えた。
どいうことだ? と骨董店の店主に聞こうと振り返ると、
「うおぉ?!」
そこには、恐らくずっとシャッターが閉じたままだったのであろう、崩れかけの店があった。ブリキの看板が錆び付いていて、なんの店なのかはわからない。
わからないが、男は恐怖で逃げ出した。
それから、男は時計を必要としなくなった。腕時計をつけてもいないのに、腕を見ると時間が正確に秒までわかった。
そのうち、腕を見ないでもわかるようになった。【目には見えない腕時計】をつけると、どうやら体内時計が正確になるらしい。
男はこれは便利だと喜んだ。
しかし、男の行動は徐々に正確な時間に縛られるようになった。
毎朝7時15分43秒に起き、8時32分17秒に出勤し、12時25分37秒から昼食を食べ、18時34分21秒に退社し、19時24分29秒に帰宅し、19時53分17秒に夕食をとり、20時41分39秒に風呂に入り、22時57分22秒に寝て。
男は翌朝も、その翌日も、その次の日も、休みの日でも、7時15分43秒に、起きた。
その生活は男にとって苦痛だったが、どういうわけだか、止めることができなかった。時間通り行動しない事が、どうしようもないストレスになるのだ。
しかし、【目には見えない腕時計】の外し方がわからない。腕には何もないのだ。外せるわけがなかった。
男は絶望した。
そうして、男はようやく気付いた。
彼自身が、1秒も狂わない、まるで時計のような生活を送っていることに。
ある朝、男の家に男の姿はなかった。
まだ暖かい男のベッドの上には、針のない腕時計が無造作に転がっていた。
要約
【目には見えない腕時計】を買った男は、時計をしていなくても、時刻が正確に分かるようになって初めは喜んだ。
しかし、時間が常に分かる事は男にとって次第にストレスとなり、【目には見えない腕時計】の外そうとしたが、腕には何もないため外す事ができず、絶望した。
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