儲けもの

あ

る夏の昼休み。



私の会社ではセキュリティ対策の一環で、事務室で食事を取ることを禁じられている。



かといって社内に休憩室もなく、給料日前の私はお金をかけずに休憩をしたかった。



仕方なく、公園にあるガゼボ（ベンチやテーブルがある、屋根だけの施設）で適当な食事を取った。



暑さが苦手な私はいっそ眠ってしまおうと思いテーブルに突っ伏した。



うとうとしていると、何か仰がれているような風を感じた。



目をあけると少し前にすれ違った近所の携帯携帯ショップの販売員がうちわを仰いでいた。



「あ、おきた。全く動かないから、死んじゃってるのかと思っちゃいましたよ（笑）」



「あ、うん、ありがとう。」



「大丈夫ですか？よかったら冷たい麦茶飲みますか？一口飲んじゃってますけど…」



「あ、ああ、ありがとう」



一口もらう。



「間接キーッス！」



「うお、頭ボーっとしてた！ごめん！」



不意打ちにびっくりして、あわててティッシュを探した。



「冗談ですよw」



「びっくりした…。からかわないでくれよ」



「元気でました？」



「…そうだね。そうだ、お礼にアイスでもどう？」



「え、ほんとですか？いただきます！」



「（うわ、かわいい。数百円でこの笑顔なら安いもんだな…）」