みんな同じさ

とある携帯電話での会話



プルプルプル……ピッ

「…もしもし」

「おぉぉぉぉ、お前TV見てるかぁぁぁ」

「…おかけになった電話番号は現在、使われておりません」

「うそつくなよぉぉぉ」

「で、用は？」

「だ・か・ら　TV見てるか、今!」

「見てないけど…それが何か？」

「今すぐ見ろよ!!!　なんでこの感動ストーリー見てないんだよ!!!　頭、金づち割るぞコラァァ!!!」

「…それ、お前の死んだ知り合いじゃん。で、要するにTV見ればいいんだな。何ｃｈだ？」







………

その少年はとぼとぼ学校への道を歩いていた。

久しぶりの学校なのに嬉しくない。



ガンで入院してから５カ月。ガンはなんとか治ったが、長い闘病生活で髪の毛がすっかり抜け落ちてしまった。



教室の後ろのドアから頭を帽子で隠し、うつむきながら入る。どうせ誰かが僕を見て…そんな事を思いながら。



みんながこっちを見ている。しぶしぶ顔を上げる。

そして気づく。みんなが少年と同じように帽子をかぶっていることに。





みんなが帽子を宙に投げた。みんなの頭を見ると髪の毛を剃っている。男の子も、女の子も。



少年が涙でうるんだ目で黒板を見た。そこには大きな字でこう書かれていた。





「みんな同じさ!みんな仲間だ!」





………

プルプルプル……ピッ

「どうだった!!!」

「…なあ…」

「うん？」







「…生きるって素晴らしいな!!!」