舞踏会に行って、王子様と踊りたい。
私には舞踏会に参加するような資格はないけれど、それでも――
様々な手助けを借りてようやく着いた舞踏会。
きらめくシャンデリア、絢爛豪華な装飾品に、きれいに着飾った沢山の女の人たち……。
幼い頃憧れていたのとそのまま同じ光景が、そこには広がっていた。
宮廷音楽士の音楽が途切れると、王子様が手を差し伸べてこう言った。
「美しいお方……私と踊ってくださいませんか?」
荘厳な音で12時の鐘が鳴り響いた。私はホールの外、お城の外へと駆け出した。
お城の大階段に落ちてしまった靴に気づくと、私は急いで拾って帰った。
置きざりにしておけば、王子様が持ち主を探しだすかもしれないと思っていたのに、一体なぜ?
【ウミガメ】
サンドリヨンは関係しますか?
NO. モチーフがシンデレラなので使っただけです。
靴のサイズは重要ですか?
NO! 靴については、「シンデレラのガラスの靴」であり、それ以上の特定は必要ありません。 [良い質問]
靴も一緒に魔法がとけてしまいますか?
NO. 靴は原作通りに残りますし、私も残ると思っていました。
魔法はでてきますか?
YES. シンデレラの魔法は原作通り12時に解けます。
探されると何か困りますか?
YES! 困る事情があります! ミスリード注意! [良い質問]
「美しいお方…」は私が言われたセリフですか?
NO! まとめられますか? [良い質問]
王子が好みではありませんか?
NO. そんな理由は辛いですね……。
私は、王子が靴の持ち主を探せないように、靴を拾って隠そうとしましたか?
YES! 11と合わせて正解とします! [正解]
「私」は男ですか?
NO. 私は女です。
問題文までの経緯は童話『シンデレラ』と同じですか?
YES. ですが、ミスリード注意です!
落とした靴は「私」が履いていたものですか?
NO! 8と合わせて正解とします! [正解]
私は王子に片思いしているが、身分的に舞踏会に参加はできなかった人ですか? [編集済]
NO. ですが、王子に片思い、まではYES! [良い質問]
王子様は私に手を差し伸べましたか?
NO. 私ではなかったのです。 [良い質問]
王子様のルックスは重要ですか?
NO. 王子様は格好いいです。
非現実要素がありますか?
YES. シンデレラにかけられた魔法があります。ただし……
私は犯罪者ですか?
NO. 関係ありません。
舞踏会の臨時スタッフは、王子に一目惚れされたシンデレラに嫉妬して二人の仲を引き裂こうとした訳ですね?
大体YES! そういうことです。 [良い質問]
「私」は魔法によって容姿も美しくしていますか?
NO. 私には魔法は掛かっていません!
私はシンデレラですか?
NO! [良い質問]
私と王子様は知り合いでしたか?
解説ではYES. ですが、私がシンデレラでさえなければ成立します。
さらさらの金髪にくりっとした碧い目、目鼻立ちも整っていたし、背も高く力も強い。勉強だって得意で、趣味のヴァイオリンはそんじょそこらの楽士よりも上手い。婚約者という意識の薄い昔、色々なことで彼と張り合おうとしていたけれど、私は彼に全然勝てなかった。彼の致命的な弱点を発見したいと、色々な事を試してみたけれど、結局私が彼に勝てる事は一度もなかった。
でも、その後、意外な所で彼の致命的な弱点は見つかった。
彼は、私と結婚したくないとごねたのだ。自身が本当に愛する女性とでなければ結婚できない、と。
そう、彼は、あてがわれた相手と幸せになる、ということができなかったのだ。
そんなことを言われたら私の立場はどうなると思っているの。そう訴えても梨の礫。王子は瞬く間に両親を説き伏せ、自身の花嫁を選ぶ舞踏会の開催を決めてしまった。
当然、振られたも同然の私に参加資格はないし、行ってもみじめな思いをするだけだと友人や両親に言われた。でも――
私は、侍女と従者に手引きしてもらい、舞踏会の開かれているお城へ行った。
お城のホールに辿り着くと、ちょうど音楽が途切れた所だった。
「美しいお方……私と踊ってくださいませんか?」
という聞き慣れた声に振りむけば、王子は一際美しい女性に声を掛けていた。
私になんか目もくれず、二人は優雅に舞い踊る。女性には見覚えがなかったけれど、彼女に向ける王子の目で、その気持ちが完全に彼女にあるのだけは分かった。……私にはそんな目、今までに一度だってしなかったのにね。
やがて十二時の鐘が鳴り響くと、女性は何か大事なことを思いだしたかのように、お城の外へ一目散に駆け出した。皆ぽかんとしていたけれど、私は急いで彼女を追い掛けた。こんなに急に駆け出すなんて、何か後ろ暗いことがあるに違いないから。そんな女が王子と結婚なんて、有り得ないことだから。彼女を追い掛けると、階段でつまづいた彼女が何かを落として行った。近づいてよくよく見ると、それはガラスでできた靴だった。もし王子がこれを拾ったら、きっとどんな手を使ってでもこの靴の持ち主を探しだしてしまうだろう。
私は、ガラスの靴を拾うと、そのまま自分の国に帰った。靴という手がかりがあればまだしも、手がかり無しなら、彼女を特定する手段は王子による首実検しかない。国中の女を集めた舞踏会を開くだけでも大変な事なのだから、いくらなんでもそれは認められないだろう。つまり、この靴さえ無ければ、王子は彼女を探しだせないはずだ。そして、あの舞踏会の日、王子はずっと、私がいることにさえ気づかないほどに彼女の方ばかり見ていたから、彼女以外の花嫁候補はいないだろう。そうなったら、許婚の私が王子様と結婚してめでたしめでたしという、予定通りの展開が戻ってくる。
笑いがこみ上げてきて、もう表情は誤魔化し様がないほどにやけているに違いなかった。そう、これはチャンスなのだ。
私は、拾った靴をドレスに隠し、ひっそりとお城を後にした。
一行解説:舞踏会開催に当たって婚約破棄された王子の元婚約者が、シンデレラの身元特定を妨害するため。
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