【無茶振り三題噺21】せんぎりじゃないよ、ちぎりだよ

こ

の空気清浄機は、人工知能を搭載している。



その名はAir Creaning Automaticaly Nioi Eraser（通称　ACANE）。



匂いの元を、根本的に断つ。



そう作られている。



夜中にスイッチを入れて、眠りについたカメオ。



説明書を詳しくは読まずに、とりあえず全自動に設定しておいた。



眠りについて間も無く、プチプチと言う音が隣のリビングから聞こえた。



さすが全自動、カーテンをフックからプチプチ外し、高温スチームとドライヤーで洗浄していた。



『臭気発生源確認、洗浄および排除いたします。』



不意に機械的な音声が聞こえた。



次の瞬間、カーテンを持ったアームとは別に、数本のアームが出てきた。



「お、俺？」



『排除します』



「お、俺が買った空気清浄機だろ！？」



『マスター登録されていません。臭気発生源の排除をします。』



「う、うわああああああ！！！」





ACANEのアームはカメオの腕を掴み、服を切り裂き、更に無数のノズルが現れた。



手に取ったものを分析し、臭気＝汚れが溜まりやすい部位を見つけ出し、分解、高温洗浄、高温乾燥するという機能を備えたそれは、もはやカメオという人間、つまり臭気の発生源を全自動で破壊する存在でしかなかった。



数日後、カメオは、全身をばらばらにされた状態で発見された。



ただし、そこに腐敗する肉は存在しておらず、骨とその肉を処分した空気洗浄機だけが、発見されたのだった。



この空気清浄機が一台しか作られなかったのは、まさしくこのバグを修正できなかったことが原因だ。



マスター登録した生物以外、すべてが周期の発生源。



登録せずに起動すれば最後、壊すか殺されるかするまで、空気清浄は終わらないからだ。



＊高性能すぎる臭気感知機能を持つ空気清浄機が、カーテンを引き剥がして洗浄しているところにカメオ登場。人間をも発生源として認知したため、持ち主のカメオを殺してしまった。