ハハ、君をYOMIの国に連れて行ってあげるよ！

スキニーランドの控え室で仮眠をとっていた吉田は、ついつい寝過ごしてしまった。



「やばい、もうパレードの時間だ！」



吉田はヒッキーマワスの着ぐるみを着て、外に飛び出した。

ヒッキーの格好では、全力疾走などできない。スキップをしながらパレードのスタート地点に向かう。エレクトリカルな音楽が、焦る気持ちを助長する。

急げ吉田！ スキップ、スキップ、スキップ！！！



と、前方に人だかりができている。キャラクターの一人を子供達が囲んでいるのだ。相方のヒッカキーだろうか。なかなか人気あるんだな。ま、俺が近づけば全員こっちにくるけどな。

人垣の間から、中心にいるキャラクターがちらりと見える。

特徴的な福耳に、愛嬌のあるアヒル口。そしてパッチリとしたドライアイ。



「え！？」



吉田は我が目を疑った。それは紛れもなく、ヒッキーマワスだったのだ。

ここにきて彼は、自分がシフトを間違えていたことに思い当たる。



まずい、この世界にヒッキーは一人だけということになっている。

二人のヒッキーが同時に存在しているのを見られたら、大変なことになる。

吉田はすぐに踵を返すと、一目散に走り出した。



「あれ、あっちにもヒッキーがいるよ！」



後ろから子供の声が聞こえた。



吉田は明日からの生活を思い、着ぐるみの中で涙を流した。





※この問題はすべて完全なフィクションであり、いかなる事実、団体、作品にも基づいていません。仮に何かしらのキャラクターが連想されたとしても、そのキャラクターの中には断じて人など入っていません。