死者の御魂をその身体に宿し、語らせる能力を有する者。
光明寺(こうみょうじ)家はそんな霊媒の力を有する者の家系である。
光明寺 タト子もその一人である。
タト子は早くして母を亡くしているが、
母亡き後も霊媒の力で、母と共に語らったり、遊んだりすることができたので、
寂しい思いはしていなかった。
ある日、タト子はいつものように母の御魂を身体に宿し、窓の外の風景を見せた。
窓から見えるのは、車の走る道路や高層ビルの外観・・・都会ならどこにでもありそうな風景だ。
それを見た母は特に感動することも無く、そのまま死者の国へと戻って行ってしまった。
なぜタト子はわざわざ母の御魂を呼び出したのだろう?ちょっと霊媒の力を使ってみたくなっちゃったのかな?
glitter
霊媒師の能力は、問題文にあるもので全てですか?
Yes!です。 ちなみに、霊媒の能力を特定するとなると要知識になるかなーと思って必要な情報は全部入れたつもりです。
タト子、母以外に重要人物はいますか?
Yes!です。 [良い質問]
タト子の母親が死んだ理由は関係ありますか?
No!です。
ちょっと霊媒の力を使ってみたくなっちゃったのですか?
No!です。 ちょっと世界田中奇行っぽく仕立ててみました(´・_・`)
タト子の母は、死者の国に帰る前に、景色を見る以外の事をしましたか?
No!です。
非現実要素ありますか?
Yes!です。霊媒があるので。
タト子はもしかしてお金持ちですか?
重要ではない!です。
都会の風景を見せたことが、母が死者の国に帰った理由ですか?
No!です。
タト子の年齢は重要ですか?
No!です。
現代日本が舞台ですか?
霊媒能力を認めたうえでYes!です。
タト子は母の力を借りるために呼び出しましたか?
Yes!です。
霊媒師はタト子一人ですか?
No!です。このエスパーめ(; ・`д・´) [良い質問]
タト子の職業はじゅうようですか?
Yes!です。霊媒師を職業にしています。
タト子は亡くなりましたか?
No!です。
そもそも夕ト子は人間ですか?
Yes!です。
タト子が今いる場所は重要ですか?
Yes?ですかね。(※ミスリード注意)
犯罪要素はありますか?
Yes!です!↓
タト子は監禁されていますか?
Yes!です!このエスパーめ(; ・`д・´)(12と併せて正解にさせていただきました) [編集済] [正解][良い質問]
タト子は母に自分の現状を報告するために呼び寄せましたか?
Yes!です。 [良い質問]
18、19より、監禁から逃れるために霊媒を使っていますか?
うーん・・・最終的にはYes!ですかね。もうちょい詳細をまとめてください。
母の御魂を宿すことで自分が見たかった外の世界を見ようと考えましたか?
No!です。
もう一人の霊媒師である父に監禁されてますか?
No!です。
母に自分の状況と居場所を見せ、他の霊媒師に助けを求めて伝言を頼みましたか?
Yes!正解です(*'ω'*)解説へ参ります。 [正解]
一番下に要約版解説を用意しておりますので、面倒な方はそちらをご覧ください。
ご迷惑おかけします(´・ω・`)
タト子はとても真面目な子供だった。
自分もお母さんのような立派な霊媒師になりたい。
霊媒師の修行は大変だったけれど、母を目標としてひたむきに頑張ってきた。
それだけ、タト子の中では母は偉大な存在だった。
だから、母の訃報を聞いたとき、タト子は誰よりも深く悲しんでいた。
-どうして?
物言わぬ母の身体にすがるタト子。
-どうして!?私を置いていかないでよ!お母さん!お母さん---!
涙も、感情も、抑える事などできなかった。
母の眠る病室の中、タト子の悲痛の叫びが木霊する。
母の葬儀を終えた頃のこと。
愛する母を失ったタト子はすっかり心を閉ざしてしまっていた。
自室にこもりきりになり、あれほど励んでいた霊媒師の修行にも、まともに手を付けられなくなっていた。
それを見かねたタト子の姉である海絵は、ある日、タト子の部屋を訪ねた。
-タト子。とっても大切なお話があるの。開けてちょうだい?
そんな姉の声も耳に入ってこないほど深い絶望の底にいたタト子だったが、
海絵が根気強く話しかけているうちに、徐々に心を開いてきたのか、閉ざしていた自室の錠を開ける。
-お母さんは死んでしまったけれど、だからっていなくなるわけじゃないよ。
-・・・『星になったお母さんが、星空から見守ってくれる』・・・ってことでしょ?よくあるおとぎ話。
私はもう子供じゃないんだもん。そんなの現実にあるわけない。
それに、こんな力があるんだもん。『人の死』がそんなに簡単なものじゃないってこと、よく知ってる。
お姉ちゃんだって、そうでしょ?
-違うわ。逆よ。こんな力があるからこそ、私たちには『これ』ができるでしょう?
海絵はそう言うと、タト子の部屋の中で霊媒の術式を執り行い始めた。
同じ光明寺の血を継ぐ者-タト子と同じ霊媒師として。
-・・・タト子?
海絵が口を開く。いや、厳密にいえば『それ』は海絵ではなかった。
それは海絵に降りてきた御魂が語った言葉。
状況を理解しかねているのか、その御魂はあたりをきょろきょろと見渡す。
-・・・あぁ、そうか。海絵が『私』を呼んだのね。
でも、この場にいる自分はまだしも、この場にいない海絵の名前を知っている人物とは・・・?
それに、聞き覚えのある喋り方・・・まさか!?
-・・・お母さん?
海絵が呼び出したのは母の御魂だった。
---お母さん!
目の前にいる母に思わず抱き付くタト子。
-ごめんなさいね、タト子。あなたを置いて行ってしまって。本当に、ごめんなさい。
-お母さん!お母さん!お母さん・・・!
嬉しかった。
ずっと母の名を呼び続けた。
ずっと母を抱きしめていた。
その嬉しい涙が全て零れるまで。
それからも、海絵は母の御魂を度々呼んでくれた。
まだ子供だったタト子にとって、母の死は受け入れがたい事ではあったが、
海絵が母の御魂を呼んでくれるお陰で、母と語らったり、遊んだりすることができたから、
寂しい思いはしていなかった。
それから数年の後、霊媒師としてまだまだ未熟だったタト子もそれなりに力を身につけ、
御魂をその身体に宿すことができるようになった。
自分が母の御魂を身体に宿すことで、海絵と母との再会も叶った。
海絵もまた母との再会に泣いた。
海絵は気丈な方だったが-いや、あるいはそう見えるようにあえて自分の感情を抑圧していたのかもしれない。
彼女は彼女で、寂しい思いをしていた。その抑圧していた感情が、抑えきれなくなったのだろう。
堰を切るかのように、海絵の口から再会を喜ぶ言葉が溢れ出た。
・
・
・
夢の中の懐かしい記憶に思いを馳せていたタト子が目を覚ましたのは、薄暗い廃墟の中だった。
目に入る光景が、タト子を現実に呼び戻す。
-・・・そっか、私は・・・
あれから何年も経ち、一人前の霊媒師としてその名を知られるようになった。
そして、世間から極秘裏に、警察の未解決事件-主に殺人事件-の捜査協力の依頼もされるようになった。
死人に口なし。しかし、霊媒の力の前ではそんな言葉も無力である。
殺人被害者の御魂をその身に宿し、真実を語らせる。
そうして被害者の無念を晴らす事さえ可能なのだから。
もっとも、国家機関がそんなオカルトに頼っているなどと知れれば問題になる。だからあくまで極秘裏に、だ。
いつものように、タト子はある事件の捜査の協力依頼を受け活動していた。
だが-感づかれてしまったのか、どうやら犯人一味に拉致されてしまったらしい。
部屋を調べる。どこかの廃ビルの一室だろうか。
しかし、出入り口と思われる扉は頑丈に閉じられており、タト子の力では開けようもなさそうだ。
窓から外の様子が見える。しかし、はめ殺しになっていて開けることはできない。
幸い身動きはとれるようだが、どうやら携帯電話を取り上げられてしまっているらしい。
外部との連絡をとる手段はない。
だが、このまま待っているだけでは事態は悪化する一方だろう。
-一体どうすれば・・・!
そんな時、タト子の脳裏に、母の【ある言葉】がよぎる。
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海絵は焦っていた。
「事件捜査中、タト子が行方不明になった」-その報せを警察から聞いたのが先ほどのことだ。
光明寺家の家宅にも警官が配備されている。
タト子の拉致に関しては一切の証拠が残されていない。
おそらく入念な準備を重ねての犯行だろう。
もしかしたら、犯人一味は同じ霊媒師である海絵の事についても調べ上げているかもしれない。
その場合、海絵の身にも危険が及ぶ可能性がある。それを案じてのことだ。
-お母さんを失い、今度はタト子まで・・・そんなの、絶対だめ!
でも・・・今の私に何が・・・
タト子の事は心配だ。だが、そんなタト子に対して何もしてやる事が出来ない。
ただ、祈るだけ。それしか出来ない自分が情けなかった。
-一体どうすれば・・・!
そんな時、海絵の脳裏に、母の【ある言葉】がよぎる。
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-困った時は、私を呼んで。きっと、貴方たちの力になるわ。
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-・・・ここは?
どうやらまた現世に呼び戻されたらしい。
もう何度経験したが解らないが、未だにこの感覚には慣れない。
だが、それ以上に【彼女】を戸惑わせているものがあった。
あたりを見渡す限り、殺風景な部屋。唯一、窓から外の様子を窺い知ることができるのみ。
-何か、嫌な予感がする・・・
明らかにいつもと様子が違う。
【彼女】-タト子がその身に宿した母の御魂の頬から冷や汗が伝う。
ふと、何かを踏んだような感覚がして、自らの足を見下ろすと、
その下に何か紙切れがあるのに気付く。
紙切れにはこう書かれていた。
-お母さんへ。
今、私は警察から捜査協力を依頼されている事件の犯人に拉致されてしまっているようです。
自力で部屋から出ることは難しそうです。私には助けを待つことしかできません。
でも、もしかしたらあまり猶予がないかもしれません。
だから、お母さんにお願いです。
この部屋の窓から見える景色を、目に焼き付けてください。
お母さんは、私たち姉妹にこう言いました。「困った時は私を呼んで」と。
だから私はお母さんを呼びました。
そして、今、お姉ちゃんもとても心配していると思います。
もしかしたらお姉ちゃんも、お母さんの事を呼んでくれるかもしれません。
もし、お姉ちゃんがお母さんを呼んだら、この窓から見た全てをお姉ちゃんに伝えてください。
どうか、お願いします。
タト子
母は窓に駆け寄る。
-『第一製薬』のビル・・・アーティスト『MaKO』の看板・・・!
都会ならどこにでもありそうな風景。だが、母はその全てを目に焼き付ける。
全てはタト子を助けるために。
タト子の霊力が尽き、死者の国に呼び戻される前までに、その全てを。
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-・・・ここは?
どうやらまた現世に呼び戻されたらしい。
見慣れた光明寺家の風景。しかし、周囲には見知らぬ男たち。
自らの座っているテーブルを見下ろすと、そこには海絵からの手紙があった。
-良かった・・・!海絵も私を呼んでくれたのね!
早速母は海絵の手紙を読む。
-お母さんへ。
いきなり、周りに知らない人がいて驚いたかもしれません。
この人たちは警官です。私たちの協力者の皆さんです。
今、タト子が危険な状況にあるようです。
どうやら、警察から捜査協力を依頼された事件の犯人一味に拉致されてしまったようなのです。
お母さんは、私たち姉妹にこう言いました。「困った時は私を呼んで」と。
だから私はお母さんを呼びました。
もしかしたら、タト子もお母さんを呼んだかもしれません。
お母さんがタト子に呼び出されていて、何か知っていることがあれば、警察の人たちに話してください。
どうか、お願いします。
海絵
-・・・やっぱり姉妹かしらね。手紙の文言もちょっぴり似ているわ。
ちょっとだけ、二人の仲の良さに微笑ましく感じながらも、自らの役目を果たすため、
母は警官に語りかける。
-私はタト子と海絵の母です。先ほど、タト子も私を呼んで手がかりを遺してくれました。
私の知る全てをお話します。どうかタト子の事を助けてください!
それから数時間後、タト子の居場所は特定された。
犯人一味は逮捕され、タト子も無事保護された。
帰宅したタト子を海絵は強く抱きしめた。
-タト子!
-お姉ちゃん!
タト子も姉を抱きしめ、二人は再会の喜びを噛みしめていた。
-タト子・・・!良かった・・・本当に良かった!
-お姉ちゃん・・・!私、怖かった・・・でも、お姉ちゃんが助けてくれたから・・・!
二人の目から涙が零れ落ちる。
それは、二人の涙が全て溢れ出るまで続いた。
-そうだ。お母さんにもちゃんと報告しないとね。
そう言うと、海絵は再び母の御魂を身に宿した。
-タト子!良かった!無事だったのね!
-お母さん!
タト子は再び海絵の身体-母の御魂を宿したその身体を抱きしめる。
母もまたタト子を抱きしめる。
-お母さん・・・!お母さん!
-怖かったでしょう、タト子。もう大丈夫だからね。
枯れたはずの涙が、再びタト子の目から零れた。
※要約版解説
見知らぬ場所に拉致監禁されたタト子。
だから、窓の外の風景を母に記憶させ、同じく霊媒師である姉が母を降霊した時に、
その風景を手がかりに居場所を特定してもらえるようにしたのだ。
「Goodスープ認定」はスープ全体の質の評価として良いものだった場合に押してください。(進行は評価に含まれません)
ブックマークシステムと基本構造は同じですが、ブックマークは「基準が自由」なのに対しGoodは「基準が決められている」と認識してください。