ウミガメのスープ

自立してよね!兎美ちゃん!

作者: 彩蓮燈

兎美ちゃんときらきーちゃんはとっても仲良し。
兎美ちゃんは、幼い頃から泣いてばかりのきらきーちゃんを、いつも優しく導いてきました。
ある日、きらきーちゃんに結婚の話がやってきました。
とても良縁の結婚で、父親は祝福しましたが、兎美ちゃんはひとり反対しました。

「結婚なんてしないで!」

きらきーちゃんは怒りで殴りつけました。
そして泣きながら結婚を断りました。

どういうこと?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

兎美ちゃんときらきーちゃんは共に同性ですか?

Yes!同性を想定しています。

いいえ

非現実要素ありますか?

No!現実で起こりうる話です。

はい

兎美ちゃんはきらきーちゃんの家族ですか?

Yes!家族といえる存在です!

いいえ

きらきーちゃんが殴りつけたのはウサミちゃんですか?

No!殴りつけたのは別の人物です!

いいえ

兎美ちゃんはきらきーちゃんの盲導犬的な存在ですか?

No!兎美ちゃんなのに犬とはこれいかに?

いいえ

きらきーちゃんは父を殴ってうれし泣きながら兎美ちゃんと婚約するため結婚を断りましたか?

No!同性をだって言ったじゃ…キマシタワー!

いいえ

きらきーちゃんは結婚相手を殴りつけましたか?

No!結婚相手は殴られていません!

いいえ

兎美ちゃんはきらきーちゃんの婚約者を寝取りましたか?

No!w どれだけ百合にしたいのですかw

はい

結婚しないで と言ったのは兎美ちゃんですか?

Yes!兎美ちゃんのセリフです!

いいえ

兎美ちゃんはきらきーちゃんのお母さんで、きらきーちゃんの恋人は兎美ちゃんを捨てたきらきーちゃんの父親ですか?

No!それはロクデナシなお父さんだw

いいえ

きらきーちゃんは四六時中泣いていますか?

No!しかし割とすぐに泣きます!

いいえ

兎美ちゃんはきらきーちゃんの母親ですか?

No!母親ではありません!

はい

きらきーが結婚を断る時に泣いた理由は重要ですか?

Yes!重要です!

いいえ

兎美ちゃんときらきーちゃんは同じ家族っと結婚するのでどちらかが『おばさん』と呼ばれてしまいますか?

No!それは結婚しないでといいたくなりますねw

いいえ

きらきーちゃんが結婚すると兎美ちゃんはピンチになりますか?

No!一般的には、とても幸せになります!

いいえ

複数の人から婚約を申し込まれていますか?

No!結婚相手は一人だけです!

いいえ

兎美ちゃん「姉より先に結婚する事は許されないのよぉ」と言うので、きらきーちゃんはぬいぐるみをボコスカ殴ってストレス発散して、大好きな姉のために結婚をやめましたか?

No!なにその展開きらきーちゃんマジ姉思い。

いいえ

うさみちゃんは馬で、きらきーちゃんはムチでうさみちゃんを殴りますか?

No!馬じゃないです!

はい

きらきーちゃんは兎美ちゃんに反対されたから結婚を断りましたか?

Yes!反対されたから、といっていいと思います!

いいえ

きらきーちゃんが殴ったのは、ヨレヨレの耳の長いウサギのぬいぐるみで、たまに夜中に独りでに動き出したりしますか?

No!元ネタがあるのでしょうか?でも違いますから!

いいえ

兎美ちゃんときらきーちゃんに血のつながりはありますか?

No!ふたりに血縁はありません!!

いいえ

13より、きらきーは、悲しくて泣きましたか?

No!悲しみが理由ではありません!

いいえ

兎美ちゃんときらきーちゃんはどちらかが養子ですか?

No!養子ではありません!ミスリード注意!

いいえ

きらきーと兎美は同年代ですか?

No!3より家族です!

いいえ

兎美ときらきーは同一人物ですか?(多重人格?)

No!独立した個人です!

いいえ

兎美は、きらきーの結婚相手が別人なら、反対しませんでしたか?

No?結婚相手に不満があったわけではありません!

はい

二人は人間ですか?

Yes!ふたりは人間です。

はい

二人は人間ですか?

Yes!敢えて二度言いましょう。人間です!

登場人物は、兎美、きらきー、結婚相手、父親の4人ですか?

YesNo!結婚相手はさほど重要ではありません!より重要な人物を入れて、登場人物は4人です!

はい

きらきーには母親がいますか?

Yes!きらきーには母親がいます!

いいえ

きらきーちゃんは兎美ちゃんに逆らえないような関係ですか?

No!そんな関係ではありません!

はい

きらきーが殴りつけたのは父親ですか?

Yes!殴られたのは父親です!

いいえ

きらきーちゃんに母親はいますか?

No!ふたりの両親は面識もろくにありません!

はい

30より、きらきーの母親ときらきーは血縁関係にあるか、4人目の重要人物ですか?

Yes!ふたりは血縁関係にあります!しかしきらきー母は重要人物ではありません!

はい

結婚断るとき、きらきーは嬉し泣きでしたか?

Yes!彼女の涙は幸せの涙です。

いいえ

きらきーは結婚自体にに不満がありましたか?

No!きらきーちゃんは結婚に対して困惑していただけです。ミスリード注意!

きらきー父は、世間一般的に見て非道なことをしましたか?

YesNo!微妙なラインです。しかし娘の幸せは願っていました。

いいえ

縁談自体は(世間的に見て)良縁でしたが、きらきーちゃんは結婚したくなかったのですか?

No!そもそも彼女は… ミスリード注意!

はい

父親とはきらきーの父親ですか?

Yes!きらきーちゃんの父です!

いいえ

兎美ちゃんはきらきー家にお嫁に来た人ですか?

No!お嫁にはきていません!

いいえ

きらきーは兎美の父親と結婚しようとしていましたか?

No!結婚相手は兎美ちゃんの父ではありません!ミスリード注意!

いいえ

きらきーは、結婚するには若すぎた、また兎美はきらきーより何歳も年上ですか?

No!結婚できる年齢に達していました!

いいえ

きらきーはこれからも、兎美と一緒にいれることが嬉しくて泣いたんですか?

No!それもありますが、もっと大きな理由があります!

いいえ

そもそも彼女には婚約者(彼氏)がいた?

No!婚約者は存在しません!

いいえ

兎美ちゃんは関西人ですか?

No!重要ではありません!

いいえ

百合ますか?

No!百合たいけど今回は百合ません!いや…しかし未来なら…!

はい

百合ません?

Yes!男性です!

いいえ

結婚相手は 木 ですか?

No!なぜそうなった!

いいえ

きらきーちゃんは兎美ちゃんの旦那さんのきょうだいですか?

No!きらきーちゃんにきょうだいはいません!

はい

これまでに、残りの重要人物の存在には触れられてますか?

Yes!触れられています!

いいえ

兎美ちゃんときらきーちゃんは孤児院にいますか?

No!ふたりに孤児経験はありません!

もう一人の重要人物は亀夫君ですか?

YesNo!特に想定していませんでしたが、亀夫くんでも構いませんw

いいえ

四人目の重要人物は結婚式に乱入してきましたか?

No!そもそも…

いいえ

もう一人の男は兎美ちゃんの夫ですか?

No!そっちじゃないのですよー。

はい

もう一人の重要人物は、亀夫という名前の、兎美の父親ですか?

Yes!たった今亀夫になりましたが、父親正解です!

いいえ

兎美ときらきーは腹違いの兄弟ですか?

No!その発想もあったか!

いいえ

もう一人の重要人物は兎美の兄弟ですか?

No!前述の通り、兎美ちゃんの父です!

父親に、悪意はありましたか?

きらきーの父、でしょうか?No!少しはあったかもしれませんが、基本は親心です!

はい

47より その性別が重要ですか?

Yes!重要です。女性だと成り立ちません。

きらきーに縁談がきたはいいが、心良くは思いませんでしたか?

YesNo!そもそもきらきーちゃんには…

36より、「今回縁談のきた結婚」について困惑しているのであって、新しく誰かと結婚すること自体は納得していますか?

YesNo!そもそもきらきーちゃんには…(連投では、ありません)

いいえ

結婚することにより誰かが義妹義兄などになることは重要ですか?

No!重要ではありません!

はい

殴られたのは「きらきーの」父親で間違いないですか?

Yes!間違いありません!

いいえ

きらきー父はヤのつく職業の親分。兎美は組織の重鎮の娘であり、きらきー嬢とは幼い頃より姉妹のように育てられた。二人の関係は主従を超え家族よりも濃い、そう、ファミリーなのであった。ですか?

No!でもその関係はときめきます!

「きらきーと兎美の関係」「父親を殴った理由」「幸せに嬉し泣きしながら縁談を断った理由」以外に謎はありますか?

YesNo?でも大きな謎はそのみっつですかね。

いいえ

ラテシンは関係しますか?

No!関係ありません。

はい

タイトルは重要ですか?

Yes?少し関わるくらいです。

いいえ

きらきーは聖職者で、結婚出来ない決まりだったりしますか?

No!そんな職にはついていません。

はい

きらきーは、成人ですか?

Yes!成人しています。

はい

61より、きらきーちゃんは既婚者ですね?

Yes!!きらきーが兎美ちゃんの父の再婚相手、正解です!!

いいえ

時事関係しますか?

No!時事ネタはありません

いいえ

きらきーちゃんが兎美ちゃんのお母さんですか?兎美父と離婚後、きらきー父(兎美祖父)から縁談の話をされたけれど、娘である兎美が「パパと寄りを戻して!」とお願いした…ですか?

No。ふたりに血のつながりはないのです。

いいえ

>70より 物凄い年の差があり、法律上、きらきーの娘に当たる兎美の方が年上ですか?

No!きらきーちゃんの方が順当に年上です!

兎美の父親は既にに死んでいて、残されたのはきらきーと、直接血縁関係にない義娘の兎美。そんな中、再婚の縁談が舞い込んだが、兎美が反対。ところが無理に通そうとした父親を殴った、そして最後は兎美ときらきーがくっついた、ますか?

前半Yes!ただ、父を殴った理由から後が惜しい!

はい

兎美の父親は既に亡くなっていますか?

Yes!故人です!

いいえ

70より 兎美父、前妻と離婚⇒きらきーちゃんと再婚⇒兎美父から良くない扱いを受ける⇒見かねたきらきーちゃん父が、兎美父と別れさせるべく縁談を持ちかける⇒兎美がきらきーちゃんとの親子関係を解消されるのを嫌がって「結婚なんてしないで!」と言う⇒きらきーちゃん、兎美ちゃんから慕われていることを嬉しく思い、自分の父を殴る&縁談を断る ですか?

No!近いところもあるけど、第一に兎美父はひどい人じゃないです!

いいえ

その場合理由は、二人の苗字が変わるのを防ぐため……とかですか?

No!問題はそこではなく…

はい

問題は、「幼い頃から、泣いてばからのきらきーを……」ですか?

Yes!まだ幼い頃から、兎美ちゃんが泣いてばかりのきらきーちゃんを支えていました!

はい

問題は、「幼い頃から、泣いてばからのきらきーを……」ですか?

Yes!そもそも結婚できる年齢に達していません。

はい

きらきーちゃんが結婚することによって兎美ちゃんと離れ離れになりますか?

Yes!!養子に出されます!!

はい

核心80より きらきー、兎美父と死別⇒悲しみに暮れる日々、夫の連れ子の兎美に励まされる⇒きらきー父、きらきーのためを思って縁談を持ちかける⇒しかしきらきーが結婚すると兎美は養子に出される⇒兎美はきらきーと離れたくなくて結婚に反対⇒きらきーは兎美のことを蔑ろにされたことに怒り自分の父を殴る⇒兎美と幸せな家庭を築くことを選び、うれし涙を流しながら縁談を断る ですか?

Yes!概ね正解です!お見事!

はい

核心まとめると

Yes!こちらもその通り!ダブル受賞!

はい

雑談欄より 私の事、そんなに怖いですか?w

Yes!w ゴルゴ13くらい怖いですww

おお! 正解でしたか。

解説で詳しく明かしますが、父が兎美ちゃんを貶す発言をしたことですね。それは解説をお楽しみに!

いいえ

しかし、最後には憎み合う二人・・・ですか?

いいえ、最後に芽生えるのは愛です!

むぅ……きらきーが最後に泣いた理由、父親を殴った訳まで当てないと行けないのかとつい笑

ドラグノフとかいいと思います。いまだに現役ですよ。

3 家族と言える存在です! 23家族です ここの微妙な差異が気になります!

携帯から打っているので、後半打つのが面倒になって端折った結果ですw

答え

おや【親】
子を生んだ人。父と母の総称。また、その一方。
養父母などにもいう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

水平兎美。12歳。小学六年生。
得意教科は家庭科と音楽。苦手教科は理科と算数。
好きな食べ物はモヤシ炒め。嫌いな食べ物はなし。
身長138cm。体重32kg。
家族構成、きらきーちゃん。

私は母と呼べる人の顔を知りません。
母は難産だった私を産んだ後に経過が優れず、生後3日の私と父を遺して死んでしまったそうです。
その話をすると、友達も先生も可哀想と言います。
でも私にとっては最初からいないのと同じことだし、みんなの可哀想がよく分からなかったりします。
だからなのかな。小学校に上がって、お父さんが「今日からこの人が兎美のお母さんだよ」ってきらきーちゃんを連れてきた時も、まるでピンときませんでした。

私のお父さんは絵描きさんでした。
ほとんど売れなかったから家はいつも貧乏だったけど、とても優しい絵を描く人だったのをぼんやり覚えてます。
そんなお父さんが連れてきたのが、きらきーちゃん。
ふたりの馴れ初めなんかは分からないけど、彼女は子供の私から見てもお父さんに不釣り合いなくらい若く、美人でした。
少しぼーっとした所はあるものの、それも神秘的な魅力に感じられる、そんな不思議な魅力をもった女性。 それが私の第一印象。

正直いうと、私は状況をちゃんと理解できていませんでした。
ただ、幸せそうなお父さんをみていると、その幸せ邪魔しちゃいけないと思いました。
だから、私はふたりを祝福して、きらきーちゃんと家族になったのです。

だけどその1月後にお父さんも事故で死んで。
私たちはお互いに何も知らないまま、ふたりきりの家族になりました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

それから5年が過ぎて。
私はきらきーちゃんと一緒に安アパートに住んでいます。
収入はもっぱら生活保護に母子手当、あとは内職のお給金。
最初は色々と大変だったけど、元々貧乏に慣れていたせいかな。私はあまり動じることなく、この暮らしにも慣れていきました。
今日も学校の帰りに、八百屋さんで売れ残りのお野菜をもらって家に向かいます。私たちの生活は皆さんの優しさで支えられているのです。

「今日はお手紙の宛名書きのお仕事だっけ…うん、美味しいご飯作ってがんば…ぎゃーーー!?」

家に帰ってくると、窓から黒煙が上がってました。
私が慌てて家の扉を蹴破るように開くと、すぐそばできらきーちゃんがへたり込んでいて。

「きらきーちゃん!今日は何したの!?」
「違うの…違うのよ兎美…私はご飯を作ろうとしただけなの…でもお鍋が怒りだして…」
「お鍋は勝手に怒らないよ!一体何を…なんでお鍋の横に機械油があるのー!」
「同じ油だし…いいかなって…」
「いいわけないでしょー!!」

一緒に暮らして分かったことですけど、きらきーちゃんは凄まじいほどに生活能力がありませんでした。
というより、常識が完全に欠如していました。

食材は料理しないと食べられない。
部屋は掃除しないと汚れていく。
働かないとお金はもらえない。

そんな当たり前のことを、彼女は知りませんでした。
今までどうやって生きてきたのか、疑問に思わずにはいられないレベルの無知。まるで穢れを知らない赤ん坊でした。
当然、社会で上手く馴染むこともできず、出来る仕事は内職くらい。それもよく失敗しては、子供のように泣きじゃくる。
…正直、どっちが養っているのか分からない状況です。

私はすごい勢いでフランべになってる鍋に蓋をかぶせてどうにか鎮火させ、くったりと崩れ落ちます。
隣ではきらきーちゃんが何かしようとして、でも何をしていいのか分からなくておろおろしてます。

「兎美…あの…あの…」

おどおどした仕草で、涙目になって。なんだかその姿が先生に怒られるクラスメイトと被ってしまいます。
…その涙に、胸の奥がちくりと痛みます。

「もういいよ、きらきーちゃん。悪気はなかったんだもんね。それより、火傷とかしてない?」
「ぅ…ひくっ…ぅん…してない…」
「そっかそっか。よかった。一緒にお片付けしようね?」
「うん…」

目元をぬぐい、鼻をすすってなんとか泣きやむきらきーちゃん。
そのことに私はほっと胸を撫でおろします。
彼女の泣き顔は苦手です。
どうしても…初めてその顔をみた、お父さんのお葬式を思い出してしまうから。
作りもののように綺麗だと感じていた彼女が、ひとりの弱い人間だと理解したあの日を、思い出してしまうから。
だから私は…

「よーし、それじゃあご飯作るから、きらきーちゃんは奥で待ってて」
「ぁ…でも…兎美も疲れてるのに…私が…」
「私は大丈夫だよ!だから…」

ずっと彼女に笑っていて欲しくて。

「私のことは気にしないでっ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……結婚?」

それは新年を迎えようとしている、年の瀬のある日。
きらきーちゃんの父親を名乗る人が、アパートを訪ねてきました。
彼はとても立派な格好をした壮年の男性で、なんていうのだろう。すごく自信に満ち溢れた人でした。
一方できらきーちゃんは、お父さん…私にとっては義理のお爺さんになるのでしょうか。彼の前では目を伏せたまま、怖がるようにいつも以上に小さくなっています。

「お前も夫に先立たれてもう5年だ。流石に頭も冷えただろう…相手はうちのお得意様の息子さんだが、お前の結婚歴も気にしないと言ってくれている。悪い話ではないぞ」

そういって差し出す写真に写っていたのは、私でも知っている大手企業の御曹司でした。
驚きました。こんな話が来たことより、きらきーちゃんがそんな相手に選ばれるような、お金持ちのお嬢様だったことに。

「お前は何も出来なくていい。仕事は全て使用人がやる。こんなところでロクに金にならん仕事をして、貧しい暮らしをするより、ずっとお前のためになる」
「ぇ…ぁ、その…でも…」
「……っ」

きらきーちゃんの顔が、泣き顔に歪んでいきます。
やっと彼女の無知の理由がわかりました。
きらきーちゃんは、教えられていなかったからなんです。
ずっと知る機会を与えられなかったから。
ずっと考えることを許されなかったから。
だからきらきーちゃんはこんなにも真っ白で、純粋になってしまったんです。

胸が痛い。
ちりちりと焼け付くような痛みが広がっていきます。
…でも、今度ばかりは私が口を出していい問題じゃありません。これは家庭の…きらきーちゃんの家の問題。
だから私は口を出しません。
どんな答えを選んだとしても、ずっときらきーちゃんについて行くことに変わりはなかったから。

…でも、私のそんな思いは次の言葉で砕かれました。

「子供のことなら心配いらない。この子の受け入れ先も、ちゃんと準備してある」
「え…?」
「懇意にしている代議士の先生でな。子宝に恵まれずに嘆いていたのだが…健気な娘だと気にいられ、是非とも養女に迎え入れたいと言ってくださっている」
「あ…え…?」

…あれ?どういう意味でしょう。
どうしてここで知らない人の話が出てくるんでしょう。
理解できません。したくありません。
だって、他の人の養子になるっていうことは…。

「あ、あのっ!」

それはつまり…。

「…私、きらきーちゃんと一緒にいけないんですか…?」

声が震えます。
声だけでなく、指先も…全身が小さく震えて止まりません。
けれど、彼はそんな私の様子には気づかず、当たり前のように言います。

「何を言っているんだ。新婚の夫婦の元に連れ子が、それも血の繋がりもない子が付いていって、関係が悪くなったらどうする?君くらい聡明な子なら、それくらい理解できるだろう」
「それは…分かります、けど…」

…そうだよ。それくらい、当り前のことじゃない。
結婚相手の子供でもない、赤の他人の連れ子を迎え入れるなんて、そうそう出来ることじゃない。
お互いに気まずくなるだけにきまってるじゃない。
それならお互いに違う場所にいた方が、幸せになれるに…決まって…。

「分かってくれたようだな。なに、先生もご婦人も、人格者としても有名な方だ。きっと君も幸せになれる」

この人の言葉に嘘はないんだろう。
新しい家族のところにいけば、なに不自由ない暮らしが私を迎えてくれるだろう。
貰い物じゃない綺麗な服を着て、食べたことのない料理が並んで、テレビで見たような豪邸に住んで。
学校から帰って、遊びにも行かずに家事をしたり、造花を作ったり、手紙を書いたり、そんなことしなくてもいい生活。
私が今まで経験したことのない、夢みたいな毎日。

「ぁ…う…兎美…」

きらきーちゃんが、縋るように私を見つめます。
いつも私が守ってきたきらきーちゃん…でも彼女も、この話が決まれば、私じゃない誰かに守ってもらえるようになるんだろう。
その人は私なんかよりずっと大人で、ずっときらきーちゃんを幸せにできるんだろう。

「きらきーちゃん…」

それなら…私にできる最後の手助けは、きらきーちゃんの幸せに向かって背中を押してあげることだけです。
ひとりでは何も決められない彼女を、導いてあげることだけです。
いつものように言ってあげればいいんです。

ーー結婚した方がいいよ。
ーー私のことは気にしないで!

それできっと、きらきーちゃんはなんの迷いもなく、結婚に踏み切ってくれるから。
私もきらきーちゃんも、なに不自由なく幸せになれるから。

だから私は、いつものように笑顔で。

……言おうとしました。
でも、私の口から出たのは、まるで違う言葉でした。

「………やだ」

笑顔で告げようとしたはずなのに、私の声はひどく掠れていました。

「…なんだと?」

声色が変わったのを感じました。
引きつった、威嚇するような声。
でも、一度外面の壊れた心は止められません。

「やだっ!やっぱりやだ!綺麗な服着れても、豪華なご飯食べれても、大きな家に住めても!きらきーちゃんがいなきゃやだ!」

溢れ出します。
隠していた弱い私が、堰を切ったよう私の中から氾濫します。
喉の奥が熱い。体が勝手に震えて、目からは涙が零れます。

『ーーお願い…一緒にいて…』

まるで…

『ーーひとりに…しないで…』

あの日のきらきーちゃんみたいに。

「もし新しいお母さんができて…それがすっごく優しい人だったとしても!」

あの日から私は…

「お父さんのために泣いてくれたのは!きらきーちゃんだけなんだもん!」

この人と一緒に頑張りたいと思ったんだ。

「結婚なんてしないで!私のことをひとりにしないで!!」

認めてしまうと、もう我慢できなかった。
離れたくない。一緒にいたい。
どんなに貧しくても、苦しくても、きらきーちゃんと…お母さんがいなくなるよりずっといい!

「こ、の…っ!身内の問題に、関係のない子供が出しゃばりおって!!」

お爺さんの分厚い大きな手が振り上げられました。
その顔は真っ赤になって、怒りに我を忘れているのが分かります。
思わず瞳を瞑り、体が緊張に強張ります。
パシン!と鋭い音が部屋に響きました…でも、私の頬はまるで痛みを感じません。
恐る恐る目を開くと…映ったのは、お母さんの背中。
お母さんはそのか細い手で、実の父を張り倒していました。

「なっ…な、な…!おま、お前、何を…!」
「私の娘が、関係ないと言いましたか」

お母さんは、一語一句ハッキリと言い聞かせるように言葉を紡ぎます。
それは私が今まで聞いたことのない、見たことのない…凛とした彼女の姿。
それは彼にとっても同じだったんでしょう。予想外の反撃に、お爺さんはすっかり及び腰でした。

「な、なにを…事実だろう!まるで血の繋がりのない子供が、知ったような口を!」
「血の繋がりがそんなに大切ですか、お父様」

相手の大きな体にも、怒鳴りつけるような声にも怯むことなく…。

「この子は…悲しみに壊れそうな私をずっと支えてくれました。側にいてくれました。優しさをくれました」

私を守るように、堂々と…。

「お引き取りください、お父様。私は家には戻りません」

それは私が密かに憧れた、母の姿でした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

お爺さんを帰した後、私は崩れるようにぺたんとへたり込みました。

「兎美…大丈夫だった…?」
「…うん。きら…じゃなくて…その…」
「…?」
「ーーお母さんが…守ってくれたから」

出来るだけ自然に言うよう頑張ったつもりですが…私の顔は林檎みたいだったと思います。
その証拠に、お母さんは不思議なものを見たような顔で固まってーーぼろぼろに泣き出しました。

「え、えええ!?お、お母さんどうしたの!やっぱり怖かったの!?」
「だ、だって、ひぅっ、兎美が、おかっ、お母さんって…う、うぅぅ〜…」

そう言って泣きじゃくるお母さんは、私のよく知ってるいつものお母さんでした。
ただいつもと少しだけ違うのは…今度の涙は、胸が暖かくなる喜びの涙だっていうこと。
私はそれが嬉しくて…ふたりで抱き合って、気が済むまで泣いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねえ、お母さん」
「ぐじゅ…ひぅ…なあに…兎美…」

しばらくして。
ようやく気持ちの余裕を取り戻した私は、まだ腕の中でぐずり声をあげるお母さんに尋ねます。

「あの時…私が我儘いわなかったら、お母さん結婚してたの…?」
「それは…わからないわ…あの時は…どうすればいいかわからなかったし…」
「そっか」
「でも今なら」

お母さんは、涙と鼻水だらけのみっともない顔に満面の笑みを浮かべて言いました。

「ちゃんと言える…私の夫は亀夫さんで…私の娘は、兎美以外にあり得ない」

その言葉に私は笑顔で応えて。
今夜からはお母さんと一緒にご飯を作ろうと、心に決めた。

— 九作目です。結婚式に乱入って素敵だと思います。

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