君の瞳にドロップキック

（短い版）

カメサクが故郷で会った友人の顔、それはカメサクの片思い相手であるウミコの娘、カワミの顔だった。

カメサクはカワミのことをウミコと勘違いして話しかけた。

カワミにとっては『見知らぬおっさんからいきなりオバさん呼ばわりされた』と受け止められたため、カメサクに対して怒りを覚えた。そしてドロップキックを放ったのだ。



（長い版）

【カメサクの視点】

ウミコと最後に会ったのは俺が18歳の時、俺がこの町から出て行った日の夜だ――――



ウミコ「本当に行くの？」

カメサク「あぁ、俺は東京に行ってBIGになるんだ。」

ウミコ「そう・・」

カメサク「大丈夫。BIGになったら必ず帰って来るさ。」

ウミコ「約束よ。」



あれから19年。

有名IT企業『BIG』の社長に昇りつめた私は、ウミコに会うため海亀市へ帰った。彼女に結婚を申しこむためである。

海亀市の駅に着いたとき時、私は目を疑った。



ウミコが19年前の姿でこちらを見ているのだ!!



私は嬉しさを抑えながら、彼女に声をかけた。・・・ジョークを交えながら。



カメサク「久しぶり!凄く若作りしてるじゃないか!!」



【カワミの視点】



あたしはママが嫌い。

だっていつまでたってもあたしのことを子ども扱いするもの。

もう18歳になるのに「9時までには寝なさい」とか「うちの門限は7時です。」とか・・・

一緒にお風呂なんて考えられない!

それにママはかなり若くみえる。それはもう、憎たらしいほどに。

特にあたしが高校生になってから、ママのことをあたしと勘違いした人まで出てきた。近所の人たちならまだしもあたしの友達まで間違えるなんて…

そして今日、あたしは駅でついに見知らぬおじさんに勘違いされた。



その人はあたしのことを、ママだと勘違いしたのだ。



カメサク「いや～、19年前と変わらないからびっくりしたよ。若さを保つ秘訣でもあるの?」



何?若作り?若さを保つ秘訣？フフフ…



カワミ「あたしはまだピッチピチの18歳よ!!」



あたしは大きく助走をつけ、おじさんにドロップキックを決めた。



カメサク「うぼゎ!!」



………



のちにそのおじさんがあたしのお父さんになるんだけど、それはまた別の話。