キルアンドテイク

こんにちは、うわぁ、この蝋人形、精緻ですね。都会に売り出せば売れますよ。

この前からこの店見てたんですけど、思い切って入ってみたんです。



春色のフリルをあしらった可愛らしいスカートを着た女性は目を輝かせて入ってきた。



いらっしゃいませ。田舎で地味に頑張るのが私らのポリシーですから。それで、ここはあなたそっくりな物を作るメニューしかないんですが、いいですか?



銀髪を後ろで束ねた高齢らしい男性は微笑んでいった。



あぁ、はい。ドッキリをやろうと思って。で、代金はいくらになります?



いりませんよ。サイズ測りますので、こちらへどうぞ。



どういう事ですか、と怪訝な顔をした彼女を三人の若男が押さえ、

え、何するんですか、ちょっ、ぐえ、っぶぅごぶ



高齢の男は人形の前に立っていた。

さて、オーダー通り作りましたよ。お代がいらない理由はわかりますね?

――――――貴女の『中身』で、お支払いを、頂きましたから。



ドアを開ける音がする。

その男は営業スマイルを作ってそちらに向かっていく。

はは、こずるいなんて言わないで、あくまでも。



ギブアンドテイクなんですから。