デカイ家の秘密

太郎君の家の犬はデカイ。

そして犬小屋もやたらとデカイ。

太郎君の父親が日曜大工で作ったらしい。



よほどの愛犬家なんだろうなと思っていた。



ある日僕らは太郎君の家の前でサッカーをしていた。

その時僕はボールを蹴りあげてしまい、犬小屋に転がってしまった。

犬は太郎君と散歩中らしい。



僕は急いでボールを取りに行った。



犬小屋は臭かった。

犬臭さとは違う、別の生臭さ。

中は赤いペンキで塗られていたが、ところどころ赤さが違う。

何より異色だったのは、大量に置かれた骨だった。



僕がそのことを両親に告げた時、街中大騒ぎになった。





その骨は人間の骨だった。

歯の形状から、太郎君のお母さんの骨だということが分かった。

数本の骨は犬小屋にはなくて、庭のいたるところに埋められている。



普通ならば家族の誰かが逮捕されそうなものだ。

しかし太郎君のお父さんはこう言った。

「1ヶ月前に妻は失踪していた。実家に帰っていたのだと思っていた」

「うちの犬が全てやったのだろう。殺しも死体の隠蔽も」



実際死因が分からなかった。

小屋には骨しか無かったのだから。

そして僕があの時中に入らなかれば、骨は完全に埋められ、きっとこの事実でさえ明るみに出なかったのだろう。



とにかく殺人の証拠は出なかったので、家族の罪が問われることはなかった。