【ラテクエSEVENTEEN】キセキノサクラ

東北地方のとある小学校の校庭にて。

「この命はもう長くない。それならば、いっそ・・・。切ってくれたまえ。」



3月31日当日、24人の全校生徒と11人の校長を除く教職員全員に、桜の挿し花が一通の手紙とともに送られた。

「前略。

今年度、我が小学校の全生徒・全職員が集まっての卒業式は、今はできません。それどころか、私の力不足で閉校せざるを得なくなってしまったことを、心からお詫び申し上げます。

お詫びというにはささやか過ぎるものではございますが、この桜の一輪挿しをもって、執り行うことができない閉校式や卒業式の代わりとさせていただきます。

この桜は、毎年見事に咲き誇る、我が校庭の桜の木です。

残念ながら、あの震災の津波で何とか生き残った桜が、最後の命を振り絞ってつぼみをつけました。

しかし、桜の専門家の先生に診断をいただいたところ、これ以上の延命は困難だということ、ならばその最後の姿を皆様へお見せしたく今回のプレゼントの運びとなりました。

本校の桜の奇跡はこれで最後となります。

しかし、しかしながら私たちの、人のキセキはこれから。

生きるという奇跡、出会いという奇跡、そしてそれらの軌跡を、一人一人が作り上げていきましょう。

またいつか、あの場所へ帰ることを願って。」





※おおむねフィクションですが、実際に直後に報道されていた津波被害にあった「奇跡の桜」がモチーフとなっています。

新年度を祝して、皆様にさまざまな楽しいキセキが訪れますように！