『えっと、死んだ彼女の手作りで、彼女の命が宿っているんです』

カメオの趣味は夜のドライブと散歩。

週末にはよくお気に入りの夜景スポットまでドライブして、現地をぷらぷら歩いていた。

最近よく行くスポットは海に面した小高い崖の上なのだが、そこは自殺の名所でもあった。

夜中に目的もなく歩いていると自殺者志願者だと勘違いされ、付近の住人から通報を受けてやって来た警察に職務質問されてしまうことがよくあった。

そこでカメオは、大きな犬のヌイグルミにキャスターをつけて引きずることにした。

そうすれば夜間だと遠目には犬の散歩をしているだけに見えるので、自殺志願者だと勘違いされることがない。

カメオは警察に通報されることがなくなった。









「すみません。近くの住人の方から、ヌイグルミを引きずっている怪しい男がいると通報を受けたのですが」



「えっ?」