【イージースープ】仇無のリンゴ

環境破壊によって、故郷の街は一変してしまった。街は荒れ果て、今はほぼ誰も住んでいない。川の水は汚れ、大気はスモッグでおおわれている。

２０年前は住みよい街だったのに、どうしてここまで急に変わってしまったのだろう。壊れた建物を見ながら、男は実家を目指した。



実家はもう屋根がボロボロになっており、住める状態ではない。しかし、庭に残っていたリンゴの樹だけは、今も立派に育っていた。植物というものは、長生きするものだ。

さて、ふと見ると、そのリンゴの樹に一つ実がなっている。幼いころ食べさせてもらった味を思い出そうと、男はリンゴにかじりついた。

味は……少し甘みが足りないようだが、それでも昔とあまり変わらない味だ。空腹だったこともあり、男は丸々一つを平らげた。

しかし、直後に体調に異変が起こる。どうやら、さっき食べたリンゴが原因のようだ。



ああ、そうか……土壌汚染でリンゴも毒を持つようになったのか……



汚れた雨が降る中、男は昔共に育った樹のそばで、眠るように息を引き取った。



要約：環境汚染によってリンゴの実が毒を持つようになったため



【カメコのアドバイス：物語の先を追及する】

例えばこの話だと、「リンゴが原因」だということがわかれば、すぐさま「リンゴに毒が入っていた」ということは容易に想像できるわよね。でも、それだけでは不十分。「何故リンゴに毒が入っているのか」まで推理する必要があるわよ。

単純な問題であれば、一つの原因を突き止めればいいけれど、複雑なものになると「何故その原因が発生したか」というところまで突き詰める必要が出てくるわ。スナイパーと呼ばれる人は、そこまで考え抜いて自分なりの物語を作り上げていくの。



もちろん、一つの原因をひとまず突き止めておき、そのあとに何故そうなったのかを考える、という方法もあるわ。でも、あんまりのんびりしていると、スナイパーに先を越されちゃうわよ。



ちなみに、問題を作る際も、このように一つの現象だけではなく、それが起こった原因を追究させることでスナイプを防ぐことができるわ。ただ、ちゃんと解説が納得できるように、適切にクルーを入れることね。