小さなミスの結末

歓声が聞こえる―――

それは野球の中継をしているテレビから聞こえてくるものだ。

私にとってはそんな音も日常の一部である。



今、私はいつも通りリビングでテレビを見ながらペットのハムスターをハムスターボールに入れて散歩させていた。

一日に一回、私はハムスターに必ず散歩させてやるようにしている。

といってもただの散歩ではない。

リビングには家族が割といるから誰かに踏まれたくないし、本棚や冷蔵庫の裏に入られるのも嫌だったので

ハムスターボールに入れてから適当に転がしておくという方法を取っていた。



私は自分の足元に転がってきたハムスターボールを取り上げようとした。

これでハムスターの散歩は終わりだと。

その場にいた家族誰もがそう思っていた。

あとはこのハムスターボールを元の場所に返せばいいだけだ。

散歩が終われば、ここにいるマロン（雌・仮名）も家に帰る。

私も私の暮らしに帰る。

そうだな、レポートでもしようかな。

そんないつもと同じ、日常。



そのはずだった。



しかし私は指を滑らせてしまい、ハムスターボールを落としてしまった。

しまった、と思った時にはもう遅かった。



私の大切なマロンが、動かなくなった。



ハムスターは驚くと動きが完全に停止する習性がある。

それなりの高さから落とされた音と衝撃は中にいたマロンにとっては相当だったのだろう。

ハムスターボールから出してやり、掌の上に載せて餌を片手に少しなでてやると元に戻ってくれた。



マロン、ごめん。





※この問題は、実話を元にしたノンフィクションです。