噂のドン・キホーテ

彼女はミツバチだった。

ある日、彼女は巣の近くを黒く大きな物体がうろうろしているのを見た。

もしかしたら危害を加える敵かもしれない！

そう考えた彼女は、勇猛果敢に黒い物体に向かい、そして槍を突き刺した。

その槍は、彼女の内臓に繋がっている、言わば諸刃の剣だった。

彼女は自分が命を落とす事は分かっていた。しかし、大好きな母の為ならば、命は惜しくない。

大好きな家族を守れた事を幸福に思いながら、彼女の意識は、途切れた。



「ねえ、ウミコのスクバ、ミツバチが刺さってない？」

「え？　うそっ気持ち悪いー」

「でも死んじゃってるみたいだねー。鞄、人間と間違えたのかな？」

「なにそれ、馬鹿すぎる。あははははは」

「そうだよねー。ふふふふふ」



その後、危険だからという理由で巣は撤去された。