用心しすぎた女

私の名前は晴子。24歳、花も恥じらう乙女よ。



最近ね、あたしの家（一軒家である。突っ込んではいけない。）の周りで、立て続けに空き巣が起きたの。怖いでしょ？



だからね、この前あたし、家の鍵を新しく２つつけたの。



合計鍵３つ。しかも、最後の一つは他と鍵穴が違うのよ！

これなら絶対空き巣になんか入られないわ！



あ、そういえば最近、大学時代の元カレの賢一にストーカーされてるのよね…



大学時代からアイツ、執念深いって噂だったけど、本当に困った限りだわ。



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その日、晴子は仕事帰りに駅前のケーキ屋に寄っていた。あれこれ悩んでいるうちに外は真っ暗。



（あ～ぁ、もう外も真っ暗だ。はやく帰らなきゃ…）



そんな時、彼女は聞いてしまう。自分の後ろをつけてくる足音を。



（まさか、賢一？もう、本当にいい加減にして欲しいわ…）



晴子は足を早めた。賢一も同じように足を早める。



そして曲がり角を曲がった時、晴子は見てしまう。



彼の手に、光り輝くものが握られていることを。



（あれは…出刃包丁！？ちょ、わ、私、死んじゃう！）



晴子は猛然と走る。それに気付いて、賢一も走り出した。



晴子は死に物狂いで走り、何とか家に着いた。



（え、ちょっと…この家、鍵多すぎるって！）



ガチャガチャ。ガチャガチャ。２つ目の鍵が開いた。



（ちょっと、もう一つの鍵どこ！？）



晴子は焦っていた。そして焦れば焦るほど、鍵は見つからない。



そのうちに賢一が追いついた。家の場所を知られていたのだ。



その手には輝くナイフ。晴子は死を悟った。



ぐさり。背中に深く突き刺さるナイフ。



（こんなことになるくらいなら、空き巣なんかに備えるんじゃなかった…）



空き巣に備えた事に自己満足していた自分を深く悔やみ、晴子は死んでいった。