ハロウィーンということで

ある日、外で遊んでいた娘が、何かを拾って帰ってきた。

｢それはなに？｣

｢…ミミカ。｣

見ればつばめのひなだった。

｢ミミカって名前なの？｣

｢うん。拾ったの。ねぇママ、家でミミカ飼ってもいいでしょ？｣

うーん。正直ペットなんて飼ったこともないし、鳥の臭いもあまり好きではないと思った。

｢ごめんね、ママ鳥さんの飼い方わかんないや。つばめはね、渡り鳥なの。

お家に返してあげて、みんなと一緒に南の島へ行けるようにしてあげた方がいいと思うなー｣

娘は納得したようである。

｢どこで拾ってきたの？｣

｢うちのお庭｣

そこで私はつばめのミミカを巣に返すことにした。幸い、巣から落ちたのにけがをした様子はない。

｢こんなとこにつばめの巣があったんだなぁ｣

娘と違い生き物にはてんで無頓着な私である。

我が子が拾って名前をつけたこのミミカでなければ、巣に戻してあげようとも思わなかっただろう。

柔らかい竹ぼうきの先っぽにミミカを乗せると、どうにか巣に帰してやることができた。

ミミカのきょうだいがピチュピチュ鳴いている。しばらく眺めていたが、まだ空を飛べないのはミミカだけのようだ。



１０月。街がハロウィーン飾りにつつまれる頃。

南に帰るつばめの群れを見るとき、私はふと｢ミミカは南に渡れたのかな｣と思うのだった。

(余談ですが、挿絵のカボチャの目と口は、つばめのシルエットを意識しています)